「おまつり、いこうよ」
「……いやだ。いかない」
「なんで? だれかといけば、たのしいよ!」
「じゃあ、べつのだれかといけばいいじゃん。ぼくじゃなくてもいいでしょ」
「よくない」
「なんで?」
──だって、好きだもん。
なんて言えるわけが無くて、俯いてしまう。
彼は溜息をついて、私の手を引いた。
顔をあげると、彼はこちらを見ずに、こう言った。
「さみしいなら、さみしいって、ちゃんと言いなよ」
「で、でも、さっきいかないって」
「……じょうだん、だよ。分かるでしょ」
「!」
そっか、そっか。
私は嬉しくなって、ニコニコ笑った。
「すなおじゃないんだね」
「うるさい」
「えへへ、おまつり、たのしみだなぁ!」
「……うん、そうだね」
困り顔の彼が可愛くて、ニコニコ笑った私。
文句言いながらも、つき合ってくれるのが大好きだなぁ。
本人に言うのは、緊張しちゃうけど、絶対付き合ってやるんだから!という気持ちが出てきた。
7/28/2022, 10:21:55 PM