テーマ ありがとう
「ねぇ知ってる?この森の奥深い所の滝の石の中にあるものを見つけたものはーーーーーー」
森の中遠くから囁くような声が聞こえた。その声は人間とは言い難い声をしていた。
「あほらしい、」
僕はそう言い、森を去ろうとした。けど、無理だった。
「あれ?逃げちゃうの?駄目だよ〜」
足下から声が聞こえたと思ったら、足を掴まれて転げ落ちた。それと一緒に強く頭を打った。
「..足、」
足、遠くにあったら面倒くさいな。幸い近くに転がっていたのですぐに動けるようになった。立とうとしたとき、頭がキーンと痛くなった。そこまで長く転んでないのに。
「あれ?もう治っちゃったか〜」
ヘラヘラした声が右の茂みから聞こえた。
「僕は帰る。」
僕は強く言葉を吐いた。
「ざ〜んねん、それは無理だよ!だってもう入っちゃってるからね。」
後ろを見ると、森にはさっきまで無かった壁があった。
「じゃあ、滝を探してね〜」
滝?あぁ、綺麗なあの場所か。
「ここは本当に人間が来ないな、」
静かで、少しさみしい場所。僕はその後石の近くにあるものというのを探してみた。だが、それも噂のようなものだからあまり期待はしていなかった。
「なんだこれ?」
一つの瓶が滝の石に隠されて置いてあった。その中には綺麗な、緑に輝く石が入っていた。
「開けてみるか」
固い瓶の蓋を開けた。すると、何かが瓶の中から出てきた。
「ありがとう、助かったよ。君のおかげで(笑)」
この言葉吐き捨て、悪霊が豪快に笑った。
「ほんと助かったよ〜」
足を取ったものは悪霊の近くへ行き、一緒に森を去っていった。
あれ?、なんで僕はこの森の封印を...
『ここの封印の守護神だから森からは出てはいけないよ。』
おわり
テーマ 永遠の花束
「今日も来たよ〜」
扉で強く音を出して一人の少年がやってきた。
「君はよく僕に飽きないね〜」
光の灯らない少年は来た一人の少年に対して微笑むわけもなく見ていた。
「ねぇ、新しい少女を見せてよ!新しいのが見つかったんでしょ?」
曇りのない笑顔で少年は話した。
「はいはい、じゃあその少女のお話をしようか」
そう言うと机にあった砂時計を逆さにした。
「この宿題写させて!」
そう言い、ケラケラと笑って強引に自分のものを奪っていった少女。
「..あーあ、返ってこなくなっちゃったな」
これで5つ目、でも流石にワークは酷いな(笑)。
「事実に嘘を少々入れて話すのがいいんだよ」
誰かが耳元で話しかけてくる。あぁ、まただ。この声は今いる廊下、家、場所関係なく聞こえてくる。
「あなたは誰!!!」
こんなことを大きな声で言ったとする。でもその後、変なやつとして言われていくに違いない。そんなのは嫌だ。自分は最近は自分が友達と話せなくなってしまった。まぁ原因は目に見えているんだけど。うーん、あの子より多いのにね。
「いないなら奪えばいいじゃない」
後ろから聞こえる。うるさい、うるさい、うるさい。あなたにかまってる暇はないの。耳を必死で塞ぐ。
「ほら、地獄に落としてあげないと。」
あぁ、地獄に落としてあげないと。
『感謝の気持ちを伝えるには何をあげますか?』
黒板に先生が綺麗に書く。
「はいはい!」
元気なあの子が手を挙げる。
「プレゼントをあげます!」
「どういう物をあげるんですか?」
「花や手紙、お菓子などです!」
良い子ぶってるあいつを見ると吐き気がしてくる。
「気をつけ、礼」
「「「「ありがとうございました」」」」
やっと学校が終わった。退屈な学校生活だけど、面白いことを思いついたかもしれない。
「暇じゃないんだけど、何、」
少女がだるそうに見てきた。学校とは大違いだね(笑)。僕の持ってる凶器はすぐに殺せる。だけど、
「これをあげに来たんだ」
凶器を持ってる逆の手で持っていたものを渡す。
「これは...」
「黄色のカーネーションの花束だよ」
少女は驚いている。
「ずっと大切に持っててね!」
めいいっぱいの笑顔とともに少女を刺した。初めて人を殺した。
「だって、死んだら一生忘れないでしょ?」
ね、
少年。
「?、凄い少女だね〜」
「あぁ、凄い記憶だよ、傷一つないんだもの」
そう言って曇った顔の少年は結晶の中に入った黄色いカーネーションを見せた。
「..そうか、君が僕を殺したのか」
さっきまで笑顔だった少年の顔が曇っていく。
「あーあ、ばれちゃった。まぁいいけど」
手のひらにあったその水晶を少年は粉々にした。
「ねぇねぇ、新しい少女見せてよ!」
ほら元通り。だけど、昔の君はずーっと知ってる。
「新しくなっても意味がないよ」
「?」
おわり
テーマ 終わらない物語
「ねぇねぇ、君」
夜十時半を過ぎたくらいの時間、後ろから声がした。まぁ、僕じゃないかもしれないからと思い、振り返らず僕は歩いた。
「ちょちょちょ歩かないで〜」
その言葉と一緒に左側に強い風を感じた。
「...うぅ、寒っ」
そう言うと、ケラケラと笑う声がした。その声がやんだ後、声が聞こえた。
「ねぇ君、死中折幽物語を知ってる?」
その死中折幽物語(しなかおりゆうものがたり)というのは昔、地元で噂として出てきた物語だ。あんまりはっきりと覚えてはいないけれど..最終巻が無いことで地方では有名だったな。まぁ昔のことだけど。
「まぁ..知ってはいます」
「良かった〜最近は知らない子多くてね〜」
今更だったが話し声が聞こえる方向をみてみた。すると、傷と痣でいっぱいになった体で、さらに裸足で歩いている少年がいた。
「...え」
さらにその少年、透けているのだ。これは..幽霊なのかな...。いやいや、そんな事考えているんじゃない、急いで幽霊から離れなければ。あ、思い出した。この流れ、死中折幽物語と同じ。
「そうだ!まだ夜遅くないし〜遊びに行こう!川に!」
そう言われ、手を強く引っ張られながら僕は何処かに行った。
次の日、一人の大人はたくさんのところが折られた死体で川で発見された。
「物語更新だね!さぁーて次に物語になる子は何処にいるかな〜」
はしゃぎながら少年が川から去っていった。
おわり
※死中折幽物語(しなかおりゆうものがたり)は勝手に名前を創り出しました。
テーマ あの夢の続きを
「今日はテストをするぞー」
才能がなかったわけじゃない。
「また78点...」
高得点が取れてるわけでも、かと言って低得点でもない。こういうのを普通って言うと思う。だから僕は普通の人。
「勉強めんどくさいけどしなきゃな」
努力をしている人でもない。しなさすぎてる人でもない。あぁ、僕はやっぱり普通の人なんだな。
ある日、僕は静かな外で歌を歌った。いつものように普通に。その時、
「凄いね!凄いよ!才能があるね!」
一人の人に賞賛された。あぁ、気を使ってくれたんだな。こんな僕は普通なんだから嘘に決まってる。
「うーん、でももっと自信を持って歌ったほうが良いかな」
どうせ才能も努力も無いから意味がない。
「じゃあね〜」
そう言い、手を振って去っていった。今思うとあの時、言われて少しだけ自分を認められて嬉しかったと思う。
次の週、ニュースであの人が死んだ事を知った。事故死だって。
「なぁんだ、君は僕を捨てたんだね」
おわり
テーマ 君と一緒に
一つの山に一つのお人形。いつものように楽しくおままごとをしていたの。親にはここにおいてかれたの。でも大丈夫!お人形が助けてくれたの!
「こんなところで何をしてるの?」
誰かが来たよ。おままごとの邪魔になっちゃうねー。
「じゃま、かえって」
「まぁまぁそんなこと言わず...に」
誰かはお人形をみて固まっちゃった。可愛いから気に入っちゃったのかな。あげないけど。
「ねぇ、早く去らないとどうなるか分かるよね?」
「...っ帰らないと..!!」
急いで帰ろうとした誰か。あぁもう手遅れだね。
「ごぉー」
足音がよく聞こえる。
「よぉーん」
ズルっとコケた誰か。
「さぁーん」
立ち上がる誰か。あぁもう無理なのに。
「にぃー」
あ、たどり着いちゃうかも。
「いーち」
でも残念、出口は上だよ。ここの山は普通じゃないから。お人形が守ってくれてるの。
「ぜぇーろ」
さようなら。
少女は眼も手も全てが散り散りになった人形とは言い難い物持っていた。
おわり