テーマ 冬休み
「これで終業式を終わります。礼。」
終業式の終わりの言葉が体育館に響き渡った。
「やーっと冬休みだー!!」
下校の時間になった瞬間、あいつが大声で叫んだ。
「はしゃぎすぎ」
「あいてっ」
「じゃあ冬休みにな!」
元気にあいつがそう言うと、僕らは家の前で別れた。家は近いとは言い難いがすぐに行ける距離ではある。
ー 12月??日 ー
遅く起きたな。まぁ冬休みだから大丈夫なんだけど。
「母さん出張か」
机に置かれていたコンビニ弁当を見て察した。これにも慣れてきたな。
「ピーポーピーポー」
救急車の音が聞こえた。
「なんかあったのかな」
自分の部屋のカーテンを開けて救急車の場所を探す。
「...ん?」
停まっていた場所はあいつの家。まさか。まさか。ないだろ(笑)。
「見に行こう」
ろくな支度もしないで、スマホ一つで家を飛び出た。
『お前んち行くね』
ラインで打ってたくさん走った。
「冗談キツイって...」
そこには横たわっているあいつが居た。
そして僕はここから記憶がない。
そうだ。あれは夢だ。ただの夢だ。そうだ!そうだ!嘘なんだ!そうさ、あんな事があるはずない!あんな事...あるはずないだろう?
「あの子、どこいくんだろう」
小さな子供が喋る。
「大丈夫ですかー?」
この言葉は少年に届かなかった。狂った少年は崖からただ落ち、
ただ一人の友に会いに行き、現実で起きたことを夢にしようとした。まぁ、死んでしまったのだから関係ないのだけれど。
おわり
テーマ 大空
人々に幸福をもたらす少女。その姿は綺麗で女神のように慕われていた。
「ねぇ兄様、いつになったら私は外を見れるの?」
幸福な少女は外を見たことが無い。というか見てはいけないと言い聞かされていた。
「うーん、まだまだ先かなぁ」
白衣を纏った兄様と呼ばれる者はそう言った。
「えぇ...」
悲しそうに少女はベッドに顔を埋めた。
ー ? ー
ある夢を見た。
目が覚めるといつもと変わらない室内。白いカーテンはヒラヒラとゆれていて、窓には綺麗な月が室内を照らしていた。
「..早く起きちゃった?」
兄様と呼ばれる者は少女よりもいつも早く起きている。けれどその兄様の足音は一切聞こえてこない。
「ねぇ君、動けないの?」
室内の扉を眺めていたらふと窓の方から声がした。
「ううん、動けるけど『君はここから動いたら駄目だ。絶対に。』って言われたから..って誰?」
窓の方に居たのは一人の少年。少女は目を大きく見開いて少年を見た。
「あぁ、じゃあ自己紹介...と言いたいところなんだが生憎言えない事情があるんでごめんな」
手を合わせて謝る少年。
「はいはい、じゃあ帰ってね〜」
「なんで?僕は連れて行くよ?」
「は?」
少女はこの赤いものが溜まるスタンドが腕の所のどっかについていて動けない状況にある。だから遊べないから帰ってもらおうと思ったのだ。
「行ける行ける〜」
少年は赤いのが溜まるスタンドについてる紐状の物を勢いよく引っこ抜いた。
「痛い..事前に言ってほしいです」
「あぁ、ごめんな。でも言ったら拒否するだろ?」
「うぅ...」
図星を突かれた少女は少し俯く。
そこから2人は室内から飛び出た。長い長い白い廊下を通って、階段と呼ばれる者になれない少女は苦戦しながらも降りていった。
「わぁ...きれい」
夜に星と呼ばれるものを観ることができた。
「だろ?病室から出てきてよかっただろ?」
病室という言葉を知らない少女は首を傾げたが、すぐに考える事を放棄した。理由は簡単、綺麗な星に目を奪われてしまったから。
「君が目が覚めても、眠ったとしても待ってるよ」
そう言い、少年はポピーを少女に渡した。
ーーーー
「また失敗...」
白衣を纏った大人が言う。
「だーかーら言ったじゃんか、もうこのドローンは使えなるって」
怒り顔で大人に言う少年。
「あー、お前の警告を聞くべきだったよ」
「...お前が完成作を作るのは何時になるのやら」
「さぁな」
「ごめんな..次は完璧作を作って救って見せる」
少年はそう言い、341号機を外の庭に埋めた。
おわり
テーマ ありがとう、ごめんね
「プー」と音を鳴らして走っている車。そんな光景をぼーっと眺めていたあいつ。
「あ、こんなとこに居た」
今日も学校を休んでいたから...どっかでぼーっと外を見ているんだろうなと思った予想通りだった。
「だって~本当に学校めんどいんだもん」
あいつが学校に来なかったら僕が探すのがいつも。
「こねぇと卒業できないぞ?」
「それはやだな〜、あ!僕の分も授業受けてよ!」
「んなことできないって」
呆れてきた。そうして僕は帰ろうとした。
「ねぇね」
「ん?何?」
あいつに呼びかけられた。
「僕が居なくなったらこんな面倒なことしなくてすむよね?」
「はぁ?」
「今までありがとう、そしてごめんね」
「何いってんだよ...」
「君に祝福が訪れますように!!!!」
そう言い、車の方へ走っていった。
それからの記憶は全くない。ただ、分かったのはあいつはもうこのセカイには居ないことだけ。その事実だけで僕の見るセカイは苦しいものへと変わっていった。
おわり
テーマ 太陽の下で
「これなに?」
純粋な子供が話しかける。
「...なんでこんなところに子供が」
一人がそう言葉を発する。なぜならここは黄泉の国。簡単に子供なんか来ることはない。あと僕が黄泉の国に滞在して図書館に入り浸ったりしてたくさんの言葉を覚えた日からカウントして8年もの間、子供は来たことがない。
「ん?お前..人間か?」
そう子供に聞くと、綺麗な目がギラギラと光り、尻尾が段々と生えてきた。そして身長も子供の姿より高くなっていた。
「あーあバレちゃったー」
演技をしなくなった竜の末裔はだるそうにそう言った。
「竜の末裔か...」
青い鱗が綺麗に着けられた尻尾が揺れる。
「そーそー」
ふとこの竜に違和感を感じた。
「...ここの住人ではないな」
「御名答ー現世で退屈に生きてるよー」
気だるげに返す竜。どこか苛立ちを感じた。僕はあまり生きられなかったからだろうか。現世を退屈と言われたことが癪だったのか。僕にも本心は分からない。
「ねぇねぇ」
「なんだ」
「一緒に現世に行こうよ」
「は?」
何を言ってるこの竜の末裔は。僕を現世に?は?
「お前それがどういうことか分かっているのか?」
「うんよく分かっている」
分かっているなら、
「なんで?どうして?」
「君が後悔してそうだから
ね?3歳で死んじゃった可哀想な子」
そう竜の末裔はしゃがんで手を伸ばした。
あぁ、なんて君は馬鹿で、それでもって綺麗なんだ。
ここでこの竜の末裔の手を取れば黄泉の国で酷い処罰を受けるかもしれない。
けれど、けれど、
「また綺麗な青い空を見たくなった。」
そう言い、竜の末裔と黄泉の国を出た。
「...眩しい」
空の上にある光が眩しい。
「さぁ、また人生再スタートだね」
竜の末裔が元気に声を出した。
おわり
テーマ はなればなれ
いつもの裏山で友達に会う。
「ねね」
「..なひ」
「僕ね..っておいアイス食うな」
真夏の日。買ってきたアイスを頬張るあいつ。そーいや僕のも買ってたは..ず
「...お前食ったな」
「い、いやぁなんのこと?」
「あっ、お前のアイスの棒当たりだって」
「やった〜これで3本m..こほん、なんでもない」
「..おまえーーー」
なーんて楽しい生活をしていたな。
その時言いたいことが言えなかったこと少し今では後悔してるや。
「体育だっる」
「..はぁグズグズしてないで行くぞ」
「ちょちょちょ引っ張らないでちゃんと行くからー」
あの日は学校で体育の授業があった。
「..やるぞ」
跳び箱7段。普通に体操とか運動神経が良い人は越せる高さ。だけど僕は体育が破滅的に駄目だった。でも、今日は成功させなきゃ。絶対に成功させなきゃ。
そして、その跳び箱7段をとんだ。
「あっ」
通り越せはした。けど、最後に体勢を崩して倒れてしまった。
「いったぁ」
当たった所がヒリヒリする。
「おい大丈夫か!!!!」
あいつが走ってきてくれた。
「ぜーんぜん大丈夫」
「いいや、保健室へ行く」
「えぇ、行かなくてもいいし」
「だめー」
そう言って僕のてを引っ張っていくあいつ。
「...立場逆転してる」
「..ww」
放課後になった。体育で怪我をしたところ、案外重症であいつが連れ添って帰ることになった。
「...あのね」
帰り道、僕は思い切って話した。
「なーに」
「僕、今日で死ぬんだ」
「...ん?は?」
びっくりして「は?」や「え?」見たいなことをめちゃくちゃ言いまくる。
「今までほんっとうにほんっとうにありがとね。」
「おい、まてよ、なぁ
あっそうだ!嘘なんだよなぁ。
ねぇ」
「...........」
「なんか喋れよ」
「............ごめんね」
そう言い、走った。
「裏山は落ち着くなぁ」
死ぬことは親は知ってる。だから自由に生きさせてもらえてた。この場所をお気に入りの場所だと知っているのはあいつしか居ない。
「星が綺麗」
「なんか眠いな」
「おやすみなさい。」
そう言い、目を閉じた。
「見つけた...!!!」
見つけたのは目を閉じて居るあいつ。
「生きてるよな...なぁ...ねぇって!!!」
悲しみに満ち溢れた声が裏山に響き渡り、その声を出した人間は冷めきった自分の最高の友を抱えていた。
おわり