漣 蓮斗

Open App

テーマ 大空

人々に幸福をもたらす少女。その姿は綺麗で女神のように慕われていた。
「ねぇ兄様、いつになったら私は外を見れるの?」
幸福な少女は外を見たことが無い。というか見てはいけないと言い聞かされていた。
「うーん、まだまだ先かなぁ」
白衣を纏った兄様と呼ばれる者はそう言った。
「えぇ...」
悲しそうに少女はベッドに顔を埋めた。

ー ? ー
ある夢を見た。
目が覚めるといつもと変わらない室内。白いカーテンはヒラヒラとゆれていて、窓には綺麗な月が室内を照らしていた。
「..早く起きちゃった?」
兄様と呼ばれる者は少女よりもいつも早く起きている。けれどその兄様の足音は一切聞こえてこない。
「ねぇ君、動けないの?」
室内の扉を眺めていたらふと窓の方から声がした。
「ううん、動けるけど『君はここから動いたら駄目だ。絶対に。』って言われたから..って誰?」
窓の方に居たのは一人の少年。少女は目を大きく見開いて少年を見た。
「あぁ、じゃあ自己紹介...と言いたいところなんだが生憎言えない事情があるんでごめんな」
手を合わせて謝る少年。
「はいはい、じゃあ帰ってね〜」
「なんで?僕は連れて行くよ?」
「は?」
少女はこの赤いものが溜まるスタンドが腕の所のどっかについていて動けない状況にある。だから遊べないから帰ってもらおうと思ったのだ。
「行ける行ける〜」
少年は赤いのが溜まるスタンドについてる紐状の物を勢いよく引っこ抜いた。
「痛い..事前に言ってほしいです」
「あぁ、ごめんな。でも言ったら拒否するだろ?」
「うぅ...」
図星を突かれた少女は少し俯く。
そこから2人は室内から飛び出た。長い長い白い廊下を通って、階段と呼ばれる者になれない少女は苦戦しながらも降りていった。

「わぁ...きれい」
夜に星と呼ばれるものを観ることができた。
「だろ?病室から出てきてよかっただろ?」
病室という言葉を知らない少女は首を傾げたが、すぐに考える事を放棄した。理由は簡単、綺麗な星に目を奪われてしまったから。
「君が目が覚めても、眠ったとしても待ってるよ」
そう言い、少年はポピーを少女に渡した。




ーーーー

「また失敗...」
白衣を纏った大人が言う。
「だーかーら言ったじゃんか、もうこのドローンは使えなるって」
怒り顔で大人に言う少年。
「あー、お前の警告を聞くべきだったよ」
「...お前が完成作を作るのは何時になるのやら」
「さぁな」



「ごめんな..次は完璧作を作って救って見せる」
少年はそう言い、341号機を外の庭に埋めた。

おわり

12/21/2024, 10:59:41 AM