テーマ 太陽の下で
「これなに?」
純粋な子供が話しかける。
「...なんでこんなところに子供が」
一人がそう言葉を発する。なぜならここは黄泉の国。簡単に子供なんか来ることはない。あと僕が黄泉の国に滞在して図書館に入り浸ったりしてたくさんの言葉を覚えた日からカウントして8年もの間、子供は来たことがない。
「ん?お前..人間か?」
そう子供に聞くと、綺麗な目がギラギラと光り、尻尾が段々と生えてきた。そして身長も子供の姿より高くなっていた。
「あーあバレちゃったー」
演技をしなくなった竜の末裔はだるそうにそう言った。
「竜の末裔か...」
青い鱗が綺麗に着けられた尻尾が揺れる。
「そーそー」
ふとこの竜に違和感を感じた。
「...ここの住人ではないな」
「御名答ー現世で退屈に生きてるよー」
気だるげに返す竜。どこか苛立ちを感じた。僕はあまり生きられなかったからだろうか。現世を退屈と言われたことが癪だったのか。僕にも本心は分からない。
「ねぇねぇ」
「なんだ」
「一緒に現世に行こうよ」
「は?」
何を言ってるこの竜の末裔は。僕を現世に?は?
「お前それがどういうことか分かっているのか?」
「うんよく分かっている」
分かっているなら、
「なんで?どうして?」
「君が後悔してそうだから
ね?3歳で死んじゃった可哀想な子」
そう竜の末裔はしゃがんで手を伸ばした。
あぁ、なんて君は馬鹿で、それでもって綺麗なんだ。
ここでこの竜の末裔の手を取れば黄泉の国で酷い処罰を受けるかもしれない。
けれど、けれど、
「また綺麗な青い空を見たくなった。」
そう言い、竜の末裔と黄泉の国を出た。
「...眩しい」
空の上にある光が眩しい。
「さぁ、また人生再スタートだね」
竜の末裔が元気に声を出した。
おわり
11/26/2024, 10:01:52 AM