六月の帰路

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10/22/2022, 10:56:10 AM

どれだけこねくり回しても目頭は溶けないで
ふゆのゆめをみた 寒くて、臆病に横たわる心臓の
鼓動が、寝息が、甲高く鳴る叫び声が 全部冬、
全部いつもと変わらないから 嫌いな冬
左耳から聞こえてくる ひぐらし 虫けらみたいに装って
僕、隣町 フェードアウトしたうつつ 。
消えたい塊の灯火が消えて 心がねじけたの
殻にこもった亀 何も言えなくなった
何も悪いことをしていないよう、
謂れのないみみず そんな塊 外にいる虫、蛙に挨拶をした事があるのかと 目がどうしてか 湯船にぷかぷかと浮いているの それもまた 何も言えないんでしょう

10/20/2022, 10:42:28 AM

鳳仙花がちらついた浴槽で、首を右側に預けた
水がいっぱいに詰まった浴槽で
それは心が息苦しいみたいに 髪から滴る体温が、なんでか人間みたいだった。
水の中では僕は少しだけ隠れられたみたいな気がした
この世は誰も知らないんじゃないかって
外から変な音がした気がしたけど 多分世界が今終わっても、僕は水に溶けるだけなのだろうね
そうやって浴槽にまた熱水がためられていく、僕の体積は縮こまって、このまま溺れてしまうまで いつまでか

少し冷たい雨が滴る 窓から見た空は、ただの絵画。
いつのまにか捨てられたペットボトルも汗をかいていた、まだ生きていたんだ、と思う。
僕は緑色の空気が見えるようになったと錯覚した。
それは多分、鳳仙花の空気、それか多分、鳳仙花が終わる合図だった。
バトンを落としてしまった時、それはそのままでいい、あの時の思い出は、捨ててしまえたと思っていたけれどね。
ただのブラウン管テレビに、東京が映って、どこかの国が生き生きとした声で綴られていた。
何かを言われているような気もした、でもやっぱりよく聞き取れずにそのまま捨てられたみたいに、汗を流して眠っている。

10/17/2022, 2:03:52 PM

断片を見てると、どこかそれに憧れた
たくさんの愛が並べられて
それは全て廃棄処分されて
土に孵った。

赤いスニーカーに赤いランドセルの女の子は
こっちをみて泣いていたよ 。
それがいつか泣き止む物だと私は思っていた、でもいつまでたっても、私の顔のパーツが左側に寄っていき
いつまでたっても、終わらない。というか、無理なのかもしれない。ずっと、断片に染っていくところ見ていたけど、無理なのかもしれない。顔のパーツがぐちゃぐちゃになっても、なにいっても、どうこたえても、触れたとしても、最後は何も変わらないの。
「その顔は何?」そんな顔をして何を思っていたの。嫌悪か憎しみ困惑か嫉妬か焦燥、気持ち悪いそんな、そんな。
今日はもう遅いから。、もう遅かったから、何も出来なかった、いつもそれを言い訳にして敢え無くなる

10/16/2022, 5:12:11 PM

1度手にした花は、とても綺麗で見てて心地良かった。でも離してしまうとなにかがつっかかって
それを手に掴んだままなにもできないでいた
引きちぎった罪悪感と共に、その花は枯れたまま私の心臓の中に入った。

10/15/2022, 2:25:22 PM

春の眼差しが見えなくなった
花曇りで、形を作って、夜の星が薄くなった
寂しさがどこにもいけないみたいな
それがまた寂しくて、小さな涙で本が濡れた

誰かが幸せに化けるなら
私はその文字に1つだけ、線を足して
死人の口を閉じさせて
死人がぼくに問いかけた
林檎色の顔で 電車が止まった時に
それにまた耳を塞いだの
なにも聞こえはしなかったような
そんな気でいたかったから

僕のかいたもの 見た時あなたの顔が
哀れみでも、励ましでもどちらでも
月桂樹の影を踏んで終わっただけだった
地球の軋む音がして怖かった
影が大きくなって
そのまま包み込まれるみたいな夜が来た
誰もいない信号機の横で 手を引かれて連れ去った
どうしたらと、吐いた息が空に消えてゆく
影増えて、 増えて、 増えて
でもそれで嬉しかったな
夜が終わらない日が 僕達の中で生まれたみたいだった
誰もいないサーカス場で 僕たちずっと遊んでて

松が伸びて それをスケッチしてた 目の前が
煌めいた気がしてたけど 誰も彼も なにも言わなかった
誰も彼も消えていったから あらゆるお願い全て
凍った池の中で魚と一緒に踊ってた
1匹の鯉が跳ねた時
君がすこし消えかけた時 僕も一緒に書けてった

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