六月の帰路

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春の眼差しが見えなくなった
花曇りで、形を作って、夜の星が薄くなった
寂しさがどこにもいけないみたいな
それがまた寂しくて、小さな涙で本が濡れた

誰かが幸せに化けるなら
私はその文字に1つだけ、線を足して
死人の口を閉じさせて
死人がぼくに問いかけた
林檎色の顔で 電車が止まった時に
それにまた耳を塞いだの
なにも聞こえはしなかったような
そんな気でいたかったから

僕のかいたもの 見た時あなたの顔が
哀れみでも、励ましでもどちらでも
月桂樹の影を踏んで終わっただけだった
地球の軋む音がして怖かった
影が大きくなって
そのまま包み込まれるみたいな夜が来た
誰もいない信号機の横で 手を引かれて連れ去った
どうしたらと、吐いた息が空に消えてゆく
影増えて、 増えて、 増えて
でもそれで嬉しかったな
夜が終わらない日が 僕達の中で生まれたみたいだった
誰もいないサーカス場で 僕たちずっと遊んでて

松が伸びて それをスケッチしてた 目の前が
煌めいた気がしてたけど 誰も彼も なにも言わなかった
誰も彼も消えていったから あらゆるお願い全て
凍った池の中で魚と一緒に踊ってた
1匹の鯉が跳ねた時
君がすこし消えかけた時 僕も一緒に書けてった

10/15/2022, 2:25:22 PM