六月の帰路

Open App
8/19/2022, 4:30:51 PM

空模様なんて多分綺麗な言葉で
僕にはふさわしくない言葉
できるなら、
その思い浮かべる空模様を見ないままにできたら
とても素敵な8月になれたのかもしれないね。

8/17/2022, 2:24:56 PM

夕暮れ時の街はどこか冷たい
予備校という文字が不愉快に照らされて
車の灯り、信号の待ち時間
誘導灯のLEDが立ち並んでいた
気がつく時には電柱で油蝉が鳴いていたけれど
景色の気持ち悪さが緩和されたような気がする
人だかりが出来ているその駅は、
どこか蒸し暑くてたまらない。
この星から、君が1匹残るとしたら
その儚い音色を響き渡せることができる
生きている人間より
儚い命で鳴いている君は
なによりも価値があると思う
増えている蝉の声は
蝉時雨になる、それは海のように鳴いていて
人だかりのメタファーに見えている
でもそれは全く穢れているようには見えなくて
僕は自然に目をつぶってしまいそうになる

信号をどれだけ待っているのかは忘れている
君はいきなり鳴くのをやめたけれど
僕はまだ白黒の道を渡ることは出来ずにいた
僕の耳にはまだこだまして残るのに
その声は砂浜に書かれた文字のように流されて消えてしまうようで
また冷たい空気が僕に触れる
蜜柑色の空は僕を置いていってしまう
星がない黒色の空は、顔を出して僕を嘲笑っていた

どれだけ生きる意味を捨てても
生きることを捨てることは出来なかった
それはとても軽いけど、重い物だと言われてきた
どうしても下ろすことが出来なくて
泣いてしまっても
誰も支えてくれる人はいなかった

蝉の声が消えてしまった夜の街には
もう何も見えない
ずっと考えても
何も生まれなくて
蝉は僕のために鳴いてはくれないけれど
僕の空気の中に居たようで。












8/15/2022, 12:17:50 PM

透明な夜は君を透かした
僕は知っているの
本当は夜の影に隠れてるだけだって
君はかくれんぼが上手いだけで
いつまでも見つけることが出来ない
君はいつ降参するの?
僕が進むと波の音がこちらまで歩いてきて
仲良くなりたいのかなって思う
でも話しかけても消えていくから
少し悲しい気分になるんだな
君は僕を見ているのかな
いつまでも現れないから少し疲れてしまった
だからはやく出てきて欲しいけど
きみは負けず嫌いみたいで、
大声を出してもなにも答えてくれないんだ
僕は灯りの消えている街灯を横目にみて、
海に君はどこにいるのと問いただしても答えることは無かったよ、無口な君と似ているの。
真っ黒なその海には月だけがそこにいる
この海はどこまで潜れるのかなと思うけど
入る勇気はないにきまっていた
僕は弱虫なんだ、そう君は言っていたけど
僕はそうは思わない。だれだって、見えないところに足を踏み出すのは無理なんだ。
そう思っているけど、君は違ったのかな
海の底はみえないけれど、歪んだ僕がうっすらと映る
そこに君はいなくて、すこし悲しい気持ちになる
でも君はかくれんぼの最中だから
僕を見捨てたりするわけないと思うんだ。
次はどこを探そうかな
そう考える時間が僕は好きになる
どこまで行ったら君に会えるか
とても楽しみで仕方がないの
ほかになにもいらないから君に会いたい。

8/13/2022, 3:27:37 PM

誰もいない部屋で
ただひとり僕がいて
そこに座っている胸の中の心臓
段々と音が気になって
たまに不規則になる心の動揺
心が詰まるような感覚が嫌いだよ
僕しかいないのに、
だれかが後ろにいるような気がしてならないんだよ

心臓の音は早まって、だんだん収まっていく
だんだん聞こえなくなる
でも、君の針は止まることは無くて
カレンダーは2月で終わっているのに
僕の頭にその不愉快な音楽が聞こえてくる

君が止まるのは僕がいなくなった時か
君が死んだ時
僕の心臓が無くなれば君も死ぬことと同じになる
今日も1人仰向けに
心の音なんて気にせずに眠りについて
眠りについた場所が何も生み出さない世界だったら
どんなに良かっただろうか
君の軸心を動かしながらそう思った

8/12/2022, 5:09:29 PM

「リンゴの色と血の色は赤色かもしれないけど、
実は中身は橙色で、その外側はリバースだったりするものがあるかもしれない。
中身って、見えないから分からないけど、常識は常識としているだけ。だから、リンゴの中身が青色に見えたとしても、私の中身がなにであっても、驚くことは無いんだよ」

彼女は血を吐いて、その血をリンゴに塗っている
君の中身は赤色だよ、まちがいないと僕は言うけど
君はそれを否定する。
「私は信じたくないの。つまらないから」
彼女が言っていた意味がよくわからないけど
分からないままでいいのかもしれない
僕は血が塗られたそのリンゴを剥いて、その白色混じりの橙色のリンゴを口に入れ、咀嚼し飲み込んだ。
君は食べないの、と僕は言いかけた時、とてつもない嫌悪感に苛まれ、果てしない闇に包まれた。



血を舐めると椿が咲いた。
リンゴは青く海のように美しかった
それはどうして生まれてきたのか分からなかった

彼女は嬉しそうに微笑みながら、
青色の血が滲んだ唇に接吻する

Next