名勿し

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8/31/2023, 2:43:08 PM

不完全な私

何もかもが不完全で不確かな私は、
いつも無くしたカケラを探して
見つけた何かを死に物狂いで拾おうとしたら、
いつの間にか大切な物を落としていっていた。

拾っては欠けて、拾っては欠けて、
いつも残るのは歪な関係とそれに流されて
縛られている私でしかなかった。

しかし考えて欲しい。

それも私なんじゃないか?

歪になった私も、私として、私が受け入れてあげれば、

それは本来の私と言うことにならないか?

人は夢を見なければ成長は出来ないというけれど、

今を認めて受け入れる事を忘れて、
自分を見失えば、それこそ本末転倒じゃないか?

この考えを他人に共感して欲しいとは思わないし、
無理強いはもっての外だと思うけれど、
一つだけ、私が言いたかったのは、

不完全な自分は不完全を含めた完全な自分であって、
不完全である事が決して悪い事じゃなく、
不完全を正当化して完全を否定する事が悪いと言う事。

だから、自分自身を否定しないで欲しい。
不完全なあなたを好きでいてくれる人は絶対いる。
この世界は、不完全を補っていくために言葉がある。


以上が、私の大嫌いな感情論であり、本心である。


                       by N

8/24/2023, 11:51:36 AM

Nの横顔はいつになくやるせなさそうな表情をしていた。

「どうしたの?」

私が声をかけると、

「ん?」

ベランダからの夕焼けがNの色素の薄い瞳を貫いて輝いて
地毛の明るい茶髪の髪の毛が、ふんわりと揺れ、
同じシャンプーの匂いがする。そんな愛しい彼女の
髪を撫でてやるせない顔の理由を聞くと、

「夕焼けって、全部が終わっちゃう気がするでしょう?
 なんだか、寂しいなって。」

Nはたまに、急にセンチメンタルな気持ちになったと思えば
何ににも感傷的になって、全部を悲しいものにしてしまう。

私はそんなNが苦手だった。
Nの良いところは、私が見ていたいのは、
何事にも子供みたいに目を輝かせている姿だから。

「そう?私は好きだけど。」

だからあえて少し突き放す。
そうするとNは私の意図を勝手に解釈して
勝手に元気になる。でもこれでは解釈するに
情報が足りない。だからもう一言だけ。

「世界が今日で終わるわけでもあるまいし…」

そう言うと、Nは柔らかく微笑んで

「それもそうだね!」

と言う。その日の夜、Nは私の腕の中で呟いた。

「ねぇ……明日も一緒に居てくれる?」

またコイツは……。何をそんな当たり前の事を。
良い加減眠かったので、私はこう答えた。

「こんな良いベット買ったのに、
 居なくなるわけないじゃん……おやすみ」

そうとだけ言って私は目を閉じた。
何となくNはふふっと笑って
私が暑がりなのを先回りしてエアコンの温度を下げ、
私の胸に顔を埋めて寝た。

その寝顔を見て、私は安心して眠りについた。
そこにやるせないと思わせる表情は無かった。

8/14/2023, 2:38:23 AM

健康って何だろう。

病気をしない事だろうか。

痛い思いや苦しい思いをしない事だろうか。

最低限生活ができていれば健康と言えるだろうか。

現代社会は心の健康に鈍感になり過ぎて居る。

それ故に、敏感に感じ取ってしまう人の気持ちが
理解される事なく踏み潰されてしまう。

花粉症の人、そうでない人が居るように、
心の器も大きい人小さい人が居るように、

人にはそれぞれキャパシティがある。

気付かないウチに、人は無視をする癖をつけて居る。

もっと自由に、もっと心のままに生きていれば、

そんな世界。はなから生まれなかったんじゃないかなぁ。

7/31/2023, 4:46:29 PM

本当は私の人生に、誰も関わって欲しくなかった。

私の友好関係という間のテリトリー、

人とのコミュニティと言う空間に誰も入れたくない。

私は私が1人である事に信頼感を持っており、

己の自己解決、自業自得で済むならば、
それに越した事は無いと思って居た。

私にだって一丁前に恋人が居た時もあった。
しかし私のパーソナルスペースに土足で踏み入った為
そいつとは1週間も持たなかった。

私にしか理解出来ない私だけのルールや考え方、
人との正しい距離の取り方、あの子の存在。

理解出来ないと突っぱねられた。

そんなの上等だった。

誰よりも自分を理解して愛せるのは自分でありたいと
私は思って居たから。

だから奴にどう理解出来なかろうが、
私を知った風に語ってんじゃねぇよ。
私を知った気になって同情しようとしてんじゃねぇよ。
勝手についてきたくせに、離れていくのはそっち
じゃねぇか…。

だから、1人でいたかった。

1人で居た方が、楽だから。

1人でいれば、取り繕いで生まれたあの子は出て来ない。

その場を流さなくても良い。

人に愛想を振り撒かなくて良い。

誰にでも分け隔てなく何て綺麗事を、言わなくて良い。


ずっと、それで良いと思ってたのに。


いつからだろう。


それが悲しい事、虚しい事だと気付いてしまったのは。

悟ってからではもう遅かったけれど、

私、これで本当に幸せなのかな…。


人の不幸を一心に祈って来た私が幸せを求めるなど
浅はかで笑われるだろうが、裏を返せば私は、
幸せな人が羨ましくて仕方がなかったんだ。
素直になれない私は幸せになりたいと豪語出来ずに
辛い道のりを自分から選ぶと言うバカな選択を取った。

普通の人が普通に望むであろう普通の幸せじゃ
どうにも渇きが来てならないから。

どんな愛もどんな感情もいつかは冷めると思うと、
冷められる瞬間が一番怖くて、踏み出せなかった。

Nは、私のそんな弱い部分に飛び込んで来た。
私が作ったコミュニケーションの壁をぶっ壊して
全部ぶっ壊して入って来た。
鈴を転がすように笑う彼女は、
私に一人じゃないと教えてくれた。

私は他人だと思ってた彼女は、私にとってなくてはならない存在になっていた事に、私は今まで気付かなかった。
Nと言うあの存在は、このモノクロで窮屈な世界で、
唯一差し色をくれた大事な人に変わっていた。


Nには絶対言わないけれど、
私の幸せの意味になってくれてありがとう。
私は今、貴方がそばに居るだけで幸せだ。


くさいこと言った。

これ見られたら終わるな…

やっぱり一人の時間、Nに内緒でこうやって惚気を書いてる時間が、最近私は何となく好きになっていってる。

一人も悪くない。

けれど、

二人で居るのも存外悪くない。

7/30/2023, 10:47:56 AM

Nの話をしよう。

Nは私の彼女で、かれこれ付き合いは長く、10年以上は
一緒に居る為か、彼女の奇行や、よく言えば天然、悪く言えば何も考えていない発言には慣れているのだが、
唯一慣れない物がある。

Nの澄んだ瞳だ。

私を見る時、Nは何時も新しい何かを望む様な、
私の反応を楽しむ様な、脅迫とも言える様な瞳を向ける。

私は人より身長が高く、女性にしては高めの170㎝以上
あるのだが、Nは150㎝くらいと小さめで、立っていると
確実にNが上目遣いという形になる。

私が人の頼みというか、Nの頼みに弱い事を知っている
かの様に、Nは私の腕に体を押し付けて可愛く控えめな
上目遣いを向けておねだりをする。

お前それ誰にでもやってんのか?

そう思う時もあった。

最初は鬱陶しいとしか思わなかったが、
今となってはNは私以外におねだりをしない事に
少しの優越感がある程には落ち着いた。

私はプライベートではカラコンを入れたりウィッグを
被ったり、その日その日で装いを変えるのが
好きなタイプだ。化粧も服装によってコロコロ変えている
ため、日によって雰囲気が違う。
対照的に、Nは普段から服の雰囲気も化粧も変えない。
髪型は私が担当しているのでコロコロ変わるが、
N自身、自分が気に入っている物をずっと使い続けるタイプ
の人間なので、一度決めたスタンスは基本崩さない。

カラコンを入れる事も怖がったり、つけまつ毛も
苦手意識を出す。だからNの目元は基本いつも変わらない。
変えないのか一度聞いてみたら、

「だって〇〇が見つけてくれなくなっちゃうでしょ?」

と、カラッと笑った。

飽きるほど見てるんだから見失うわけ無いのにね。

Nの目元を気に入っていた私は特に何も言う事なく、

「ふーん」

と話を流した。しかしNは食いついて来た。

「え、似合ってない?」

「いや、そーゆー訳じゃない」

「何々?」

興味津々な子供の様に澄んでいて、明るい瞳が私を覗く。
思ってみれば、私はNの瞳から逃れられた記憶がない。

「あ、いや別に…」

この瞳を向けられると、私は忽ちタジタジになってしまう。
脅迫とも思える瞳が逃してくれない雰囲気を発する。
冷たい瞳でない事が、私をより不安にさせる。

この優しい瞳をみんなに向けてると思うと、
何とももどかしい。

いっそその瞳をくり抜こうか。

何度思ったんだろう。

歪むことの無い瞳はいつもNの感情を示している。
不安ならば揺れ、涙を流し、嬉しくても揺れ、涙を流す。

その瞳が欲しい。その瞳が憎い。その瞳が惜しい。
仕舞い込んでしまいたい。

そんな瞳で、私を見ないで欲しい。
私を見離さないで欲しい。

相対した気持ちをグッと堪えて、
私はNに微笑みかけると、

今日もNは満足そうにその目を細くして笑った。


うん。その顔が良い。それが一番可愛い。


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