夜 昼間の疲れがどっと押し寄せ
明日の荷物の支度だけすると
倒れるようにして眠りについた
目覚ましのアラームが鳴る
夜が溶けるように朝になった
目を閉じたままアラームのスイッチを切ると
再び寝てしまった…
ーあ、やばい と
目を覚ました
すると
時計が午後3時
15:00を指して居る
嘘…
絶句するより他にない
会社に電話をかける
「すみません…あ はい ええ 寝て居て…本当に
ごめんなさい…体調は…はい なんとも…はい…
今からでも出勤が出来ればしてと
言われて着替えようと起きると
うわー!マジ⁉︎
服のまま寝てしまって居たことに気付いた
お風呂入っときゃ良かった…
におうかな…どうしよ
髪を束ねると
顔を洗って
服を着替えて
荷物を持ち
出勤した
今日は地獄…今日は…最悪…
ブツブツと呟きながら
デスクに到着
私は今日のタスクをほぼ余らせたまま
仕事を終えることが嫌で
上司にお願いして
少し残業をさせてもらって
退勤した
あっという間に
また今日が終わってしまった
ほぼ寝てたよ 今日…
悪夢を見るように
急いで日々を過ごす
その中で
昔
読んだ
児童図書を思い出した
モモ
ミヒャエルエンデ作
時間の概念が
昔と今とでどれほど違うのだろう
私は明日の支度をして
お風呂に入った
今日も疲れたな…
ビール飲みたいけど
明日もあるし
ノンアルビール買っといて良かった…
今日も
お疲れ様でした
基本テレビは見ない
それが当たり前の生活
静かな音楽をかけて目を閉じる
たまにポッドキャストを聴く
コーヒーを飲む
フレンチトーストを齧る
パンケーキを頬張る
本を読む
家でカフェを楽しむ
それと
21:00時ぐらいには寝る
そんな生活が
私の当たり前なのである
結構
夜型の人も見えると思うけれど
私は起きて居られないので
寝ます
朝は6:00ごろには起きる
結構朝は機嫌が悪い
何故だろう
低血圧が関係して居るのだろうか?
難儀な自分である
街灯に明かりが灯る頃
公園のベンチに1人
サラリーマンが草臥れたスーツの上着をベンチの背に
掛けるとベンチに腰掛け
どこからか買ってきたホットの缶コーヒーを持ち
見るとも無しに公園の草むらにチラッと視線を向け
おーい
と呼びかけた
と
草むらから黒い猫が て て て と
男の足元に擦り寄ってきた
にゃお
黒い猫が鳴くと
男はベンチに掛けた上着のポケットから
ちくわを取り出し
今日は これな と
猫にちくわを向ける
昼飯の残りだよ
美味いぞ
そう呟くと
ひと齧りサラリーマンがちくわを頬張り
もぐもぐしながら
猫にちくわを再び向けると
猫はちくわを齧って
あっという間にパクパクと食べた
にゃお
それから
黒い猫はまた鳴いた
もうねえぞ
サラリーマンは言うと
冷めた缶コーヒーを飲み干した
次は何がいい
刺身は無理だな
サラリーマンは呟きながら
上着を羽織る
黒い猫はそれを見届けると
スッと闇に溶けるように
草むらに消えた
サラリーマンは今度はタバコに火をつけると
ぷかぷか吸いながら
明日はまた明日考えよう
と鼻を啜り
ベンチから立ち去った
そこには
静かに佇む街灯と
ベンチが残り
サラリーマンは
街の明かりに消えた
七夕の夜は曇りか雨の日がほとんどで
僕の子供たちには
織り姫さまと彦星さまがデートをするのを
人に見られたく無いから隠しちゃうんだよ
と
話して
星を見たがる子供たちを宥めることが通例と
なって居た
この日はどうなんだろうな
会社帰り
スマホをチェックする
天気予報では少し雲が出るらしかった
まあ
こんなもんだよな
いつものこと
そう思うけれど実は僕自身
星が見たかった
空を見上げる
帷が降りて
ビル街の夜空は
雲があるのかどうかも
分からない
電車に乗って帰宅した
ただいま〜
どうだ
望遠鏡 用意してるのか
今日も雲があるんじゃないか〜?
そう言いながら
子供たちの頭をくしゃくしゃと
撫でた
お父さん 今日は雲ないよ!七夕なのに!
星 見えたー!
なんと
子供たちはベガとアルタイルを
見つけて居た
やるじゃないか!
僕も心が躍る
見せてみろ
どれ…
望遠鏡を覗くと
二つの星が輝いて居ることが分かった
今日はお前たちに
会いたかったんだろうな
織り姫さまも彦星さまも
良かったなあ!
子供たちははしゃいで
代わる代わる望遠鏡を覗き込んでいた
奥さんが
星見つけるの大変だったんだから〜
そろそろご飯にしましょ
と
微笑んでいる
なんだ
キョウカが見つけてくれたのか
そうよ?
ご飯冷めちゃう
…ありがとう
若い頃も二人で星見てたっけな
ー懐かしいよね
うん
そう話しながら
いただきますを言う
家族っていいな
今日は
そんな日だった
教室で1番目立って居た
グレた態度で周囲の子を怖がらせてた
さーちゃん
先生もさーちゃんには手をやいていて
いつも一匹狼だったさーちゃん
けど
何故か
さーちゃんはある日
私の名前を呼んで
一緒に帰るぞ!と
命令してきた
さーちゃんはランドセルを
片手で肩に掛けて
私が帰る支度をするのを待って
一緒に帰る事になった
さーちゃんはいつもムスッとした顔だったけれど
この日は何故か上機嫌で
ゆっくりと歩いた
私はさーちゃんの後ろをついて歩いた
今度ねえ
あたしねえ 引っ越しするんだ〜!
そう言って
さーちゃんはニカっと笑った
そっか
元気でね さーちゃん
私は言った
あの教室の空気とか
嫌だったんだろうかな と
ふと今思う
さーちゃん
元気にしてるかな