廃線の勝手踏切に立休らう
星が見たいから
本当は渡りきりたくはあるけれど
しかし踏み出した先に、もし小石があったらば、
蹴躓いてしまうでしょ
かと言って、足元なんぞ見飽いてしまったから
今だけはと綺麗なものだけ眺めゆる
時が滞ったと錯誤する
それ程までに空はただただ空である
瞬く柄杓と十三にすら満たぬ麗月が
音もなく、目に釘打っていた
もう、動きたくないな
このまま、世界に揺れて溶けて溺れてしまえばいいんじゃないか
泡になりたい息すらも、全て押し殺せるなら楽だろか
重心をも掴むことなく沈んでいれれば相応しい
そうしてそうして耽って耽って
風に攫われること夢見ている
その日は来ないと、片隅に知っておきながら
侘しさを無駄で包むみたいに、虚飾にただ縋ったように
もし、本音がこれを望んでいるなら
掻き消せないのは痛手なのかな
ぐるっと眩み八転び
横目で悟ったまたしてものやり直し
同じ焦熱を何度も何度も
同じ憂愁を何度も何度も
君はずっとそこにいる
僕はまだサイダーを握っている
もう飲めたもんなんかじゃないだろうこれが
腐敗した時間を証明してる
ねぇ、君の言ってた取り柄何だっけ
あぁ、おしゃべりなとこだっけ
じゃあさ、話そうよ
、なんか言ってよ
話聞いてよ
ねぇって、こっち見なよ
目ぐらいは、開けてよ
潮時か
持て余したそれを胃に棄てる
ぬるい炭酸と無口な君を
一つと残さず飲み干し砕く
もしかするならそれらは全て、誰かの塩酸に過ぎないかもな
あぁ、醒めちゃった
ただいま、夏
さようなら、夏
波にさらわれた手紙があった
いつかも分からぬその日に消えた
綴ってあった何かもきっと、滲んでしまって
知れる機会すら無いのだろうな
その手紙は生温かった
それとはなしに、心地良かった
白樺みたいに、叶わぬ夢ともよく似てて
緒を捨てるその昔だろうとも愛せていたんだ
でももう無いから、手っ取り早く諦めて
そんで傷つかないようにって自衛虚栄補綴で凌いで
この先は続く道も無かろうと、そう、何事も無くいれたのに
君はそれを手渡した
紙切れに過ぎなかった
案の定、黒が溶けていた
だのに浮かんでいた
あの日書かなかった本心が
“生きたい”
“生きてて欲しい”
“死なないでくれたらもう構わないから”
あぁもう、はは、思い出したくなかったかもなぁ
顔が石みたいだな
久しく思考を回しての第一声がこれだとは、笑えてくる
つかえて持ち上がれない頬に触れど、面白味もない伽藍としていた涙の跡だけ
なんでかな、訳も知らずに遥かの記憶が湧いて出る
前方の窓に附着した空が、ワイパーに掃かれて滴った
それが何故だか、泣いてるようで
あの日、お天道様も、もしかしたらば、
同じく目が渇いて、どうしようも無かったのだろか
これも、自己投影の産物に過ぎないだろうか
もしも、そんな話だけれどさ
ころころと乾いたこの現状に、純然たる花が咲く日があるならよかった
ふと湧き水がやって来て、広がって、生き易い世界が視界いっぱいに溢れいて
瓦解しきった荒れ地にさ、二度と相見えることの無いような、
そんな綺麗なオアシスがどこかに、たった、それだけで
諦めよう、夢見ていよう
絵空事だとかなぐり捨てたのは誰だったっけ?
冗談よしてよ、君でしょう
絶望も悲観も不安も焦燥も無感情も
全部沖虚で塗りたくろう
浮かんでいよう、浮かばれなくても
いつか、この全てを
嗤って笑って手放そう
【本作品以降、投稿頻度を落とさせて頂く可能性が御座います。平素よりのご愛顧心より深謝申し上げます。】
君はいつも半袖を着ていた
訳を訊いた、分からなかったから
曰く、そこはかとなく、この世に透けられる気がしたからだと
自分を見失うようで、怖くはないかと、訊いた
君は答えた
逆だよ。自分なんて不確実なもの、信じるのが恐ろしいんだよ
そうしてすっと、弾けて消えた
うん、結局理解出来なかったや。
やはり僕ら二律背反だね
けれども君も、僕を解れやしないだろうから、
お相子ってことで異論は無いね?
君の墓場にそう告げ置いて、右手の甲を袖で隠した