頭上には光がさしていた
零れる色めがけて伸ばして、何一つ為せず長いこと過ぎた
追っていたはずの焦燥が、気がつけば見えなくなったほどに立ち止まっていた
背を叩かれ、振り返ったとすれ違う
顔などは碌に見られていない
石灰の空が途切れる先に、明るくない雲は流れいく
確か一昨日の日の沈んだ頃に、ところにより雨と聞いた
袖触れ合った人々の、誰かしらは降られていたんだろう
すれ違いざまに見送るその背の増殖した細胞を見た
土に硬い打撃が溢れる
靴は綺麗なままでいる
それにどうにも嘆かわしくて、綻んだ経歴へひたすら安堵を転がして
おかしい筈だな、何も残らない
遺してたいのに残りたい
バカみたいとして笑っていたい
草も貴方も変わらない丈なら素晴らしい
取り返しのきかなかったのなら同じ配置でいてほしい
頭の色が捨てられていく
捨ててさっさとほしかった
ここの彫像は目がある
安らかな瞳でボケっとしている
なんで彫ったのだか
きっと統計でもなんでも使えばわかるでしょうが、気力がないな
彫像は特にどこも向いていない
目の先には特に何もない
そこまで言うと、少し気づいた
特にどこも向いていないとは、矛盾なのかもしれないな
彫像は日が差すように白かった
しかしながら、影がない
ので日が差しているかわからなかった
何故白いのか、白いだけなのに何故彫像と判断したのか
深淵が覗くとどうたらと、場に合わない言葉がよぎる
にょきーんと発想が生えたのだ
矛盾だ、また矛盾を見つけた
目はもう一人分あるんではないか、なんて
目が見える目はどこにあるのかなんて
そんなことがありながらも、その目は写らないので証明もできない
それは彫像だった
ソーサーを回すような瞼の奥ら辺
上に座するカップの中、ぬるま湯が張って浸っている
ただ顎を上げている、ただ目から溢れてくる
溢れては固まり溢れては塵となり、下に敷かれた平穏な日常を消費する
手が浸透していく
足が反対色に染まっていく
脳が安堵する
落葉しているのを知らないみたいに
ただ酔っている、漂っていた
月が浮かぶこともしない部屋で
日常にも消費期限があったことに目を逸らしていた
いつか地盤にソーサーは割れる
ただ回している
まだ回ってたい
水に水が溶けていく
何をしていただろう
思い出せなくなったので、自然とカップは波打っている
よく喋る人だった
愚痴や下世話という文化をよく知られていたような
それらの羅列が絆だとかな証ではなかったことも、ついこの頃知った
なら、なんだったんだろうと過ぎた嵐を窓の遠くから眺める
張り詰めた水素を掃き溜めに捨てただけだったのかと、素朴に思案している
あまり喋れない性根だった
厳密に言うと、言うべきでないこと程よく口走ったような
ぎちぐちとゼンマイを快くない拍で回す脳だった
嫌なことを都度吐きなさいと言われたので、試したこともあったが、上手くは立ち行かなかった
どうやっているの?と聞こうともしたが、やはり舌が回らない
極寒に這う心地と似ている
夢を見るのだ
苦しまない世界で貴方に刺し殺される夢
虚空とよく語り合う
面白かったのに、貴方だったらば
この目の前が、質量を持って見えないのだから、貴方に絶望の餞しか手渡せないのだ
奇っ怪種々雑多な夢を見ている
夢の貴方に夢を見ている
刃を向けようとも“大好きな君に”と涙を流さない貴方の夢に酔っぱらう
覚めたと聞いた世界を冷めて感じている
喚かないでよ、励まさないでよ、泥土に塗れて飽き飽きだから
いい所なんて無いようにってさ努めてるのさ。何一つ分からない貴方に世辞の一つさえ似合わないだろ
たまにはね、都合の悪いフィクションとかも見たくもないな
看板にね、お月様がいるでしょう
その中のうさぎはくるくると、ぎゅるぎゅると
皆が手に持っていて、まるでこちらが非現実だとでも言うような
素晴らしい世界で息をしたんだよ
そのうさぎがね、見守っていたホットケーキ
勘定場がこんなにも広く、誰一人置いていくことなく笑いあったテーブル席
小波も沈むような南国色に、目を桃や緑とさせながら、最後まで遺さないようしていたよ
そんな姿もね、うさぎはずっとそこにいて、
時折視界に飛びかかってい
そう、うさぎはね、その後だろうと
ずっとずっと髪を引いて幾星霜をも凌駕した
帰りも、泊まりも、赤くなる目の前も
とても長いことそこにいる
今日にさよならまた来来年
大丈夫、そこにいるならね
血ぃが転んだ
なんでだろうね
灰緑な部屋への安堵感
日が斜に構える絶望感