十年前
君と確かにそこにいた
あの日、その横断歩道に駆けてしまうまでは
君と確かにそこにいたんだ
まだ、きっと僕はそこにいる
君もずっとそこにいる
きっかり理解してる筈の君が、誰もいない教室を
信号を
ビー玉を
ただ眺めていることを知っている
湛えた時間と雨と君
望むならば共に笑いたかった
でも、それも叶わない
隣にいたって出会えやしない
だから、
せめて、
そのまま僕を探してて
ページをめくる
その一節を抜粋する
そして我が身に貼り付ける
日常
本を開く
目を通す
飽きた
堪えて読み進む
善い文を見つける
貼り付ける
幕となる
いつものこと
つまんない
あいや待て、撤回する撤回だ
楽しいよ、あぁその通り
それ以上も以下でもたり得ぬと
まだ浮かんでいる
常識の指針を教えてよ、と
どっかの誰かの亡霊だ
ここに口はいらないから、目を返す
失せろ、と
さぁ何も無い、日常だ
支度しようか
他人の言葉に袖通す
自分の言葉を胃に詰める
心ばかりの悔いを呑む
挙句に抛ったそれが、喉に刺さった
確か、貴方に言い出せなかった「」
なんだっけ
窓の外から手を出す
やぁ。さようなら
体裁の悪いあなたに捧げる
あなたの目に私はいない
私の目は虚像に過ぎない
互いを知るくせ何一つから目を逸らす
今あなたの目は白けている
さてここで、君は空白を見据えているかい
空白の定義?君が浮かべているので結構
それに触れる時、気づいてしまう
世の事柄の一切の、本質はほぼ同義であると言えること
そしてその全ての価値は皆等しく同等であること
あら、長ったらしいって?すまないね、口説くて
さらば友よ
ふたり詮無く旅立とう
日暮れの朝日が下り続ける
際限なく、歯切れの悪く
東の空だけ反り転ぶ
それをただ見る
只管眺める
砂の粒子を透ける地底を
水平に浮くカピバラを
先に続くその円環を
丹精籠った端正な
空間の白む未然な場所
そして全ては記号へと帰す
遠く遠くに歪みが散った
舞台袖にいた
手の中にある0を見遣った
もし、心の中の景色はあるなら
それがきっと信号だ
くるくるはばかる
地獄がまわる
草臥れただけのオルごール
かっかっこんここんここんこやこ
ぐさぐら唸る大気の不快さ
あら見て、居てるだろ?
ここにいるんだ知っていた?
何も見ないね知らないくせに
拒絶を受容と勘違うんだ
刈っちゃおいっそ
ここにある喜色も乾きもその全て
枯れたんだし構わないよな
死んじやったも同然だから
死骸は物質以下にはならぬ
さんぶんてきだ!
知った気にならないで
ならないか