人さがし

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4/1/2024, 10:10:42 AM

─エイプリルフール─

「ねぇ、実は君に話したいことあってさ」

電話中に、彼は言った。

丁度、零時を回る数分前だったと思う。

「僕さ、実はさ、あと少ししか生きられないんだ」

『え、どーゆうこと?』

「手術とかしないといけない病気なんだよね」

その時、リビングから零時を回る音楽が聞こえた。

「ま、嘘なんだけどさ。」

『あ、今日ってエイプリルフールか。』

「騙された?」

スマホから小さな笑い声が聞こえた。

『も~ビックリしたじゃん!』

あはは、なんて笑う声が聞こえてきた。

「じゃ、もう遅いからおやすみ!」

『うん、おやすみ。』

後で思い返したが、笑い声の後ろから、

小さな泣き声が聞こえたのは気のせいだったのかな。

3/24/2024, 10:28:01 PM

─ところにより雨─

朝、激しく鳴り響くアラームで起きた。

今日は曇。空は曖昧な色をしている。

いつも飲んでいるインスタントコーヒーが無いことに気づき、

なんとなくイライラしながら、テレビをつける。

最初に目についたのは大きな文字で書かれた『ところにより雨』の文字。

嗚呼、だから少し湿っぽかったのか。寝癖が直らないのもそのせいか。

自分の中で正解を見つけた気でいると、窓からポツポツと音が聞こえた。

「…あーあ、今日は最悪だ。」

3/24/2024, 4:42:42 AM

─特別な存在─

中学校の入学式。

初めて入る教室で、隣になった君。

おどおどしながら聞いてきた、小さな疑問。

「…えっと、こんにちは!好きな曲とかある?」

はじめましてにしては思いきったなぁ、なんて思いながら、

『特にないかな』なんて答えちゃって。

それから少し話して、一年間仲良くしてくれた。

まさか二年生連続で同じクラスになるなんて。

「また同じだ、よろしくね!」

その頃には、君は特別な存在になってた。

一年前には想像してなかったろうな、なんて他人事に思ってた。

そして二年生が終わる頃、また一緒になりたいなんて思ったことも、

私にとって驚きだった。

あぁ、また一緒に、笑いたいな。

卒業式まで好きだったら、告白とかしてみたいな。

私の青春は、ずっと続いていた。

3/23/2024, 9:50:25 AM

─バカみたい─

「先輩、僕彼女できました!」

目の前には嬉しそうな部活の後輩。

ここで私は、単純に喜べばいいんだろう。

「…先輩?大丈夫ですか?」

『…あぁ、大丈夫だよ。おめでとう。』

入部してからは、一緒に笑ったりからかったり、

時には悔しくて涙を流したり。

とても楽しい毎日だった。

付き合いたいとは、思ってないつもりだった。

でも、いつの間にか傲慢になってたみたい。

『…本当、おめでとう。』

私の口から溢れた言葉は、とても小さく、

悲しいんだと自分でもわかるような声だった。

「え、先輩!?なんで泣いてるんですか!?」

『…いや、なんでもないよ。』

自分から伝えなかったのが悪いんだよ。

本当、バカみたいだなぁ、私って。

『…今まで、ありがとう。』

その言葉を最後に、私の恋は終わった。

3/17/2024, 6:36:00 PM

─泣かないよ─

本当は知ってたよ。

何もかも、全部。

君が僕を捨てようとしたのも。

それが全部僕の為だったことも。

また会えるかわからないから、

いつも言ってた「またね」じゃなくて、

「バイバイ」で終わらせたのも。

全部全部、分かってた。

勿論、止めたかった。

僕の為に、なんて言わないでくれって。

僕の為に、行かないでくれって。

でも、君の顔を。

悲しそうで、でも何処か嬉しそうな顔を見たら、

何も言えなかったんだ。

きっと君は、僕に泣かないような人生を送ってほしかったんだろう?

だからせめて、その願いを叶えるよ。

僕はもう、泣かないよ。

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