─エイプリルフール─
「ねぇ、実は君に話したいことあってさ」
電話中に、彼は言った。
丁度、零時を回る数分前だったと思う。
「僕さ、実はさ、あと少ししか生きられないんだ」
『え、どーゆうこと?』
「手術とかしないといけない病気なんだよね」
その時、リビングから零時を回る音楽が聞こえた。
「ま、嘘なんだけどさ。」
『あ、今日ってエイプリルフールか。』
「騙された?」
スマホから小さな笑い声が聞こえた。
『も~ビックリしたじゃん!』
あはは、なんて笑う声が聞こえてきた。
「じゃ、もう遅いからおやすみ!」
『うん、おやすみ。』
後で思い返したが、笑い声の後ろから、
小さな泣き声が聞こえたのは気のせいだったのかな。
4/1/2024, 10:10:42 AM