お互いの武器が、ぶつかりあう。
刀と短剣
白と黒がぶつかりあい、眩い火花が開花する。
もう、何時間経ったのだろうか。
お互いの気力が、体力が尽きるまで戦い続ける。
叫びながら、お互いの気持ちを声に出しながら、お互いに命を狙う。
傍から見たら、お互い狂っているのかもしれない。
どちらも、過去のことを引きずり、勝手に肥大化して、自身の重りとしたのだから。
もう喉がカラカラだ
刀を持つ手の感覚は無い
まるで接着剤でくっ付けているかのようだ
荒く一息を付き、殺意を形にして相手に斬りかかる。
私たちは、終わりが欲しかった。
それはきっと今なんだろう
体力が無くなるまで、気力が無くなるまで、命が無くなるまで、声が枯れるまで。
この戦いは続く
終わらせるために
お題『声が枯れるまで』
絶対に叶えたい夢があった
何を犠牲にしても
誰を犠牲にしても
世界を犠牲にしても
絶対に忘れられない 手放せない夢
こんなに心血を注いでも 夢は叶わなかった
全てを巻き込んでしまった
いくら後悔をしても
この舵は止まらない
この航海は終わらない
進み続けるしかないのだ
後ろには何も無い
目の前にある全てを薙ぎ倒そう
どんな手を使ってでも
「あーあ」
過去でも未来でもない
0でも100でもない
そんな場所から とある存在が、この光景を見ていた。
一人の男の、一つの世界の始まりを。
「やっぱり」
退屈そうで、嬉しそうで、悲しそうで、怒ったような声で独り言を呟く。
「始まりはいつも、狂った奴の結果なんだよね。」
お題『始まりはいつも』
弓を弾き絞り、対象に向ける。
殺意の照準は、遠く離れた漆黒の化け物に向けられていた。
矢を放とうとしたその瞬間、背後から化け物の声が聞こえる。
まずい
後ろを振り向こうとしたその時、自身の横を何かが通る。
それは、すれ違い様に耳元でこう囁いた。
「こっちは任せろ」
音速のようにその人物は通り過ぎ、化け物が斬られる音と、化け物が苦しみ、倒れる音が背後から聞こえてくる。
馴染みある声の人物を信じ、前方の目標に向かって矢を放つ。
頭に命中して、化け物は倒れ込み、そして塵になって消えた。
一安心し、振り向く。
そこに居たのは、かつてすれ違い、今は同じ目標の為にすれ違った人物が居た。
お題『すれ違い』
一人の少年が、墓の前で手を合わす。
感謝や報告を心の中で済ませ、穏やかな顔で墓を見つめる。
遠くから、自身の名を呼ぶ声が聞こえる。
そちらの方を振り向き、親友達の顔を見た後、また墓に視線を移す。
別れのように、軽くお辞儀をし、親友達の元へ向かう。
空には、ハッピーエンドのような、秋晴れが広がっていた。
お題『秋晴れ』
綺麗さっぱり忘れたかった
僕が皆を殺したあの日を
皆を見殺しにしたあの日を
最後に彼女と目が合ったあの日を
助けようと手を伸ばしたあの日を
彼女の体がバラバラにになったあの日を
残ったのは残骸と死体のみだったあの日を
一人だけ残してしまったあの日を
裏切るきっかけになったあの日を
忘れたい
お題『忘れたくても忘れられない』