化け物が、漆黒の鎧を身に纏った化け物が、鋭い眼差しで俺のことを見下す。
哀れだなと、言われているかのような目で、見下す。
何もできない
だが、終わりたくない。
まだ、あいつの願いを叶えていない。
そんな必死の願いが、何処かの誰かに届く。
この世界の闇、裏側。全てを知り、背負う覚悟はあるか?
低く、重苦しい声が頭に響いた。
その覚悟で、今死なずに済むんだったら。
いいぞ 背負ってやる
答えた瞬間、辺りが眩い光に包まれる。
光が収まった俺の手には、自分の体よりも大きな、漆黒の鎌を持っていた。
漆黒の化け物が、俺を見て怯む。
さっきのお返しと言わんばかりに、俺はそいつに鋭い眼差しを向けた。
さぁ、戦いを始めよう。
お題『鋭い眼差し』
見返してやる
そんな思いで始めたこの物語
あいつらの世界の光を落とし
全てを漆黒の闇に
高く高く 天よりも高い城を築き
あいつらを恐れて慄かせてやる
さぁ、光の下の人間ども。
戦争を始めよう
暗闇の中で、誰かが言った言葉。
お題『高く高く』
君に会いたい
太陽の下で、子供のように笑う君と。
晴れの時も、雨の時も、風が強い時も、雷が鳴り響いている時も、いつも笑顔を絶やさなかった君。
僕があげた、菊柄の袴を着て、嬉しそうにこちらを振り向く君。
物珍しそうに屋台を眺め、希望を詰め込んだ目を輝かせていた君。
そんな君と生きたかった
何故、僕だけ長生きしてしまうんだ。
君と共に生きたい ただそれだけだ
なぜ、この願いを神は許してくれないのだろうか。
とある研究所から見つかった、ボロボロの手記から抜粋。
お題『子供のように』
ピンポーン
梨花の家のチャイムを鳴らす
暫く待つが、返事は無い。
「うーん 居るはずなんだけどなぁ あ、病院とかかな。」
体調不良で休んだ梨花の分のプリントと、今日の授業ノートを持って、もう一度チャイムを鳴らす。
やはり、返事は無い。
適当にポストにでも入れようとしたその時
家の中から、何かが割れる音が聞こえる。
「あうぇ? え 誰か居ますかー!」
隣の家にも聞こえるぐらいの大声で聞く
しかし、帰ってくるのはカラスの鳴き声のみ。
「もしかして、倒れてたり?」
不安と興味が混じり、玄関の方に近づく。
こういう展開ではありきたりな事に期待し、扉を開けようと、手をかける。
扉を引くと、ガチャリと開いてしまった
「あ、あの〜雪ですけど、誰か居ますか〜?」
扉を開け、中に入りながら呼びかける。
返事が無く、さっきの音の正体を探る為、家の中を探索する。
暫く探索した後にリビングに近づく
リビングの扉を開けたその時、雪は思わず手に持っていたノートを落としてしまった。
なぜなら
カーペットのように血が広がっていたからだ
奥には、梨花の母親が倒れており、手前には父親と梨花が倒れていた。
「え…え?」
何も言えず、動けずにいると、梨花の体がぴくりと動く。
「り、梨花?」
梨花は体をゆっくりと起こし、こちらに振り向く。
その顔は、悲しみという悲しみを全部背負ったような顔だった。
なにより、不可解な点は。
彼女の顔半分が、漆黒に染まっていたのだ。
9月30日
通り雨の次の日
青空と橙色の放課後
彼女の、雪の物語が始まった。
お題『放課後』
追記 書いてる途中に、データが吹っ飛んだので、いつもと違う雰囲気になってるかもしれないです。
(一発書きでは無いです)
つらい
「ただいまー」
がちゃりと、玄関の扉を開け、家の中に入る。
靴を脱いでいると、奥からお姉ちゃんの声が聞こえた。
「おかえり 雨、大丈夫だった?」
「ん、雨?降ってなかったけど」
「そうなの?さっき通り雨が来たんだけど、そっちには行かなかったみたいね。」
「ひゃーここら辺通る人、かわいそー。」
あんまり、心に思ってない言葉を言いながら、自身の部屋に入る。
鞄を置き、私服に着替える。
その後、外の光を取り込もうと、カーテンを開ける。
空はオレンジ色に染まり、夜が来ようとしていた。
「もう夕方か〜あ、やべ宿題やらないと。」
急いで、鞄から筆記用具などを取り出す。
机にノートなどは開いたが、いざやろうとなるとやる気が湧かない。
隣に置いてある、スマホに目がいく。
「そういえば、梨花大丈夫かな〜」
今日の行き帰りで、言っていた事を思い出す。
「毎日変わらない。か〜」
ふと、お姉ちゃんの部屋の方角を見やる。
「変わらないのも、良い事だよね。」
「よし、宿題終わらせちゃおう!」
意気揚々と宿題に、取り掛かる。
これはまだ、平和だった時のお話し。
お題『カーテン』