遊橙

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3/18/2024, 11:34:06 PM

彼の背中を見る。

彼は幼き頃に魅入られた剣のせいで、現世で生きにくい思いを押し殺している。
彼は賢かった。そのせいで己は異質だと理解した。理解し、世にとってどのような振る舞いが善であり求められているのかわかってしまった。

己の本当の願いを押し殺すことによって。

渇望が年々ひどくなったとしても必死に己の思いを押し殺している。
押し殺しているところしか知らない知人は彼を善良な人だと評する。

本当はそんなことはないのに、彼はそういうものなのかと周りからの評価を受け入れる。

けれどそれはあまりにも不条理で。
彼を知り大事に思っているものからは、もっと自分に正直に生きればいいのにと歯がゆく思う。

いつか彼が押しつぶされないよう、彼の隣にいつもいる。

3/18/2024, 8:29:18 AM

遠い記憶でいつだったかもうわからない。

どうしてその記憶だけ覚えているのか、はたまたただの幻影かはわからない。

けれど、確かに言えることはそれはとても大切で美しかったことだけはわかる。
この記憶は間違いなく自分であって自分ではない、本来なら覚えていないはずのものだ。

この世の何よりも美しくて、届かなくて、でも諦められなくて。
そんな自分に気づいた唯一が、悲観したけれど何も言わず己自信を見てくれていた。

泣いているように見えたのであろう。そういわれたが己はそんなつもりはなかった。

泣かないよ

それを聞いて唯一はただそっと隣によりそった。

3/16/2024, 11:58:34 PM

昔の話だ。

当時両親が亡くなり身寄りがない当時少年だった青年を後の師匠が引き取り育ててくれた。
師匠は剣術の達人だったため教えを乞うたがまあ容赦がない人であった。

体を鍛えるための体力トレーニングはもちろん素振りはまだわかる。
だが経験だと幼き子を当時色々噂されている森林に投げ込まれたときはさすがに死を覚悟したと当時の思いを思い出す。
自身より大きいかつ考えていることが全く分からない存在に半泣きになりながら、必死に逃げ惑う事しかできなかった。

どうして今それを思い出したかと思うと。

今日の依頼で討伐退治に赴いた先で、己の背より大きな生き物を見たとき無意識に身体が強張りそれが隙を生んでしまった。
幸いにも一緒にいた少年がカバーに入ったおかげで事なきを得たが、少年もいつもと違う青年に違和感を感じ心配げな目を向けていた。

少年に心配いらないと伝え、成長したとしても己が苦手とすることに克服できていないことにまだまだ修行が足りないなと、怖がりひきつった顔を直そうと気を引き締めた。

3/15/2024, 11:57:54 PM

快晴の夜の事。

最近は気温の変化や雨のせいでなかなか見えなかった空が、久方ぶりによく見えた。

隠れていた星が溢れるように目全に広がりあまりの美しさに少年と青年は目を奪われた。

少年は青年と出会ったころを思い出す。暗く先の見えない人生であったし、大切な人も守れずふさぎ込んでいた。けど、青年と出会ったおかげで灰色だった景色は色が付き毎日が楽しい。

一緒に笑い、食べ、見て共感することが楽しかった。
この日々が続いてほしいなと流れた星に願わずにはいられなかった。

3/15/2024, 12:17:03 AM

やわらかい日差しとそよ風が吹く今日このころ。

依頼を終えた帰り予定より早く終わったこともあり二人は草原で身を任せ日の光を浴びていた。

心の底から満たされた顔をする少年を青年は安らかな瞳で見た。
二人はわけあって一つの場所に留まっていなかったが、それが良かったのか今のとこ互いに衝突するレベルの不満はない。

そのことに安堵すればいいのかはわからない。が後悔はなかった。

そのように青年が思っていると、少年がこちらに身体を向け青年の名を呼ぶ。
少年は少し赤面しながら、一緒にいてくれてありがとうとぽそりといった。

青年は目を見開き驚いたが、互いに同じようなことを考えていたことに心が温かく感じた。
ゆるりと目を細め返事をする青年に、少年は頬を赤らめながら笑った。

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