胸の奥で膨らみ続ける想いほど、形を持たないまま漂っている。
あなたに伝えようとするたびに崩れて、結局どこにも定まらない。
誰を相手にしていてもふっと頭に浮かんでくるはずの言葉が、形になろうとしては結局ひらひらと桜の木から花のようにわたしの頭の中で散っていく。
沈黙の中で交わした視線だけが、かろうじて本音を繋ぎ止めている。
何も言わないままでは届かないと分かっているのに、踏み出せない。
すべてを抱えたまま、それでも言葉にできなかった。
テーマ 言葉にできない
沈む夕日を見る度に君を思い出す。
あの日の君は、光に溶けるみたいに輪郭が曖昧で、それでも確かにそこにいた。
君の笑うときにほんの少しだけ視線を逸らす癖や、沈黙を埋めるための言葉選びの不器用さを、僕は知っている。
強がるほどに脆いくせに、それを隠すために平気なふりをし続けるいつもの君の在り方も。
だからこそ、あの夕暮れの中で見せた一瞬の弱さが、やけに鮮明に焼き付いて僕から離れない。
あの時の君へ言葉にできなかった想いが、夕日の沈みゆく光のように今も胸の奥でゆらゆらと揺れていた。
テーマ 沈む夕日
夕焼けがやけに眩しくて、君の横顔が少しだけ滲んで見えた。
そのせいにして僕はためらいもなく君の瞳を覗き込む。
僕が目を見つめるとそれに気づいた君は何も言わず目を流す。
ほっぺが赤いと目を見てくれなくなる君は、逃げ場を探すように空や足元ばかりを選ぶ。
少しばかり寂しくなる。
でも本当は、見つめ返されるよりもずっと好きだった。
視線が交わらない時間のほうが、むしろ互いの距離を測っているようで。
触れそうで触れない、この曖昧さこそが今の僕らの答えなのかもしれない。
だから僕は、わざと何度でも、君の目を見つめてしまうのだ。
テーマ 君を見つめると
星空の下、僕は一人ぼんやりと薄暗い街灯に照らされていた。
確かあの日もこんな風に君と星を見ていた。
夏になって日が落ちるのが早くなった公園のジャングルジムの上。
あの日の、ふと空を見あげれば見えた星空のように、ふと僕の隣にいてくれたのが君だった。
でも、流れて消えていく流れ星のように、ふっと消えていってしまったのも君だった。
君もあんな風に星になったんだろうか。
二人で見つめていた空。今は一人で星空の下、君を想う。
君とまた、あの日の星空を見つめたい。
その為なら僕はなんだってするだろう。
この想いが届くことを、僕は星に願った。
テーマ 星空の下
私はいつだって、失ってから大切なものに気づく。
愛した人、受けた愛、取り留めのない毎日。
全て自分にとって当たり前でありふれたものだった。
それでも時間という打ち寄せる波に揺らされ私の世界が変わって、私の手のひらから砂のように全てがこぼれ落ちていって初めて、それらがかけがえのない輝きだったことを知る。
それでもきっと失うという痛みはそれを愛していた証そのものだった。
この痛みを忘れないまま次は失う前に、大切なものをぎゅっと一度くらいは抱きしめてあげたいと思った。
テーマ 大切なもの