小絲さなこ

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6/24/2024, 9:47:16 PM

「足枷を外して」


夏が来て、秋が訪れ、冬になり、春になる頃。
私は、ここから出ていく。
それは、もうだいぶ前から決めていたこと。
だけど、どこへ行くのか、何をするのかは、決めていない。

来年の今頃、私はどこで何をしているのだろう。


やりたいことはあるけど、それを仕事にしようとは思えない。自信も度胸もない。


それでもわかったことがある。
このままここに居てはいけないということ。
足枷には鍵がかけられていないということ。


夏が来て、秋が訪れ、冬になり、春になって──来年の今頃、どこで何をしているのかわからないけど、私は私だけのために生きていきたい。



──── 一年後

6/23/2024, 3:52:33 PM


「きっと同じだったから」


あの頃は、何も躊躇わずに言えた「だいすき」
それはきっと、同じ目線だったから。

手を繋ぎたいと思う前に手を繋いでいた。
それはきっと、同じくらいの大きさの手だったから。

中学生になってから、急に伸びた背。
低くなる声。大きく角ばっていった手。
一緒にいるだけで揶揄われた、あの頃。


今は、どうやったら自然なカタチで側にいられるかを、必死になって考えている。



────子供の頃は

6/22/2024, 3:29:42 PM


「diary」



ふと見上げた空の色や、雲の形。
街路樹の葉の色の鮮やかさ。季節の花。


あたりまえにあるものだと思っていること──そのすべてが、ひとつひとつの奇跡だと気付いた。

何もないのではなくて、その奇跡に慣れてしまっている。



今日あった『嬉しかったこと』を三つだけ選んで日記に書いていく。

ひとつひとつの奇跡への感謝を忘れないように。


────日常

6/21/2024, 3:08:59 PM

「ぶりっこの色」




「小学生の頃『ピンクはぶりっこの色』っていう風潮があって、嫌だったなぁ」

「あー、あった、うちの小学校もあったよ、それ」

「そうそう……で、水色選ぶんだよね」

「私は水色好きじゃなくて、黒選んでた」

「紫選んだら『いやらしい色だ。変態の色だよ』とか意味わからないこと言われた」

「あー、あったね。紫はヘンタイとか」

「なんだったんだろうね、あれ」


それぞれ別々の小学校どころか地域も違うのに、同じ年頃に同じようなことがあったということは『女の子らしくなりたくない』という気持ちが湧き起こる、そういうお年頃、というものだったのだろう。


「『ピンクってぶりっこの色だよ』ってしつこく言ってくる子がいて、ムカついたから『人の好きなものをヘンなふうに言う意地悪な子は嫌い』って言ったら、その子泣いちゃってさ……」

「うわぁ」

「その子、前から私の好きなものにケチつける子だったから、子供ながら鬱憤たまってたんだろうね……つい、口から出てた」


今、その子はどこで何をしているのか知らない。
でも、私に言われたことが泣くほどのことだったのなら、誰かの好きなものを貶したりケチつけたり……そういうことをもうしていないと思いたい。


────好きな色

6/20/2024, 2:40:45 PM

「騎士と姫」


保育園の頃の君の夢は「おひめさま」だった。
俺に「おうじさまになって」と君が言ったから、身の程知らずな俺はすっかりその気になってしまったのだ。

だけど、成長するにつれて気がついた。
誰がなんと言おうと君はお姫様だけど、俺は王子様なんかになれない。そんな柄ではない。
だけど、せめて騎士になりたい。
常にお姫様をあらゆるものから守る、騎士。

だから、常に君の側に居させてほしい。



────あなたがいたから

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