小絲さなこ

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6/3/2024, 2:32:28 PM

「最後の最後まで」




終わるでもなく、消えるでもなく、失う。
まさにそうだなぁと、流れる雲を見送る。

指と指の間から溢れ落ちたものが積み重なって、それが広がっていることに気が付かなかった。


あなたへの想いの気配が消えるまで。
いつの日か自然に消えるまで。
最後の最後まで、精一杯好きでいよう。

失ったと思うのには、まだ早い。


諦めが悪いと自分でも思う。
それでも、あなたが誰かと永遠を誓うまで。
その時までで、いいから。



────失恋

 

6/2/2024, 3:21:45 PM

「ひとことで進む一歩」



本当のことを伝えてしまったら、もう今までの関係ではいられない。
それはわかっているのに、止められなかった。

一歩進みたい気持ちと、このままでいたい気持ち。
どちらもあって、 どちらも選びたかった。
片方だけしか選べないのに。

まっすぐに進みたくても進めなかった。
同じところをぐるぐると回って、立ち止まって、またぐるぐる回る。それの繰り返し。

だけど、追い込まれて、言わざるを得なくなった。

さぁ、君はどう出るか……

君に見えないように、震える手を握りしめる。


────正直

6/1/2024, 3:18:37 PM


「外に出ない理由」


雨は嫌いではない。
出かける用事がなければ、の話だけど。

雨のなかを歩くのは嫌だ。
どんなに気をつけて歩いていても、靴が濡れる。
ひどい時には靴下やボトムも濡れる。
運が悪いと近くを通った車に泥水をかけられる。



雨は嫌いではない。
部屋の中から、憂鬱そうな顔で歩いている人々を眺める。

ずっと続く雨。
普段なら、自分を責める時間だ。
だけど、この天気なら外に出ない理由は「雨が降っているから」だけで充分。


色鮮やかな傘が転がるような、雨の日のスクランブル交差点。
本屋のエスカレーターからそれを見るのが好きだった。

でも今は、それを見ることができない。

降り続く雨。
あの日からずっと、心の中で降り続いている。


────梅雨

5/31/2024, 3:13:43 PM

「印」


真っ白な君に印をつけていく。
君には見えないように、君以外の人には見えるように。
人を疑うことを知らない君は、気がつかないだろう。

どんなに印をつけても、君はずっと真っ白なまま。
それが愛しくもあり、悔しくもある。
どんな色にも染まるはずなのに、どの色にも染まることがない。
それが眩しくて、遠く感じてしまう。

真っ白な君に印をつける。
そんなことしなくても、君は隣にいてくれるはずなのに。



────無垢

5/30/2024, 2:01:26 PM

「永遠の誓い」


物心つく前から一緒にいるから、離れることなんて想像できない。

「死がふたりを分つまで」と言うけど、何度生まれ変わっても、ずっと一緒だ。

命が尽きるときは、ふたり同時期がいい。
そうしたら、また同じ年に生まれ変わることができるから。
 
これだけは譲れない。
君と同じ年に生まれ、ずっと、ずっと一緒にいること。

たとえ他の世界に生まれ変わっても。

何度も、何度も、君と恋をして、愛を確かめていく。


────終わりなき旅

 

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