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10/10/2024, 2:34:53 PM


 貴女が一昨日泣いてしまったのは、ご伴侶のいない生活をまざまざと思い描いたからでした。

 夕食が終わってから、ぼんやりと具合が悪そうに腰掛けたままの貴女の食器を下げ、二人分の食器を洗っていたご伴侶の後ろ姿を、貴女はじっと黙って眺めていました。
 そうしているうちに、この人と別れ、この人をこの家から追い出したら、こうしてこの背中を眺めていることもなくなるのだ、という思いが貴女の心の底から湧き上がってきました。

 それが自覚された時にはもう、貴女の目からは涙が溢れていました。

 悲しい、悲しいとご伴侶の胸で泣きじゃくり、結局考えていることを全て打ち明けました。貴女は、ご伴侶がひどく落ち込むことを恐れていましたが、実際のところ、彼は奮起したようです。貴女と共にある未来を得るために、必死で努力しようと決めたと言っています。

 貴女は優しい人です。
 苦難に巻き込まれつつあるご伴侶のことを、今見捨てることは絶対にしないでしょう。けれど、その時が来たら、貴女はご自分の心に従って生きてくださいね。

10/9/2024, 1:40:30 PM


 こんなにも心が躍らない一週間を過ごしたのは、久々だったかもしれませんね。
 けれど昨夜は、その一週間前からの不安をご伴侶に話して、だいぶらくになったようで、何よりでした。

 まだ不安は消えていません。いやな感じも続いています。
 どうか、それを蔑ろにはしないでください。貴女の大切な一部が、そう叫んでいるということなのですから。それを無視することは、貴女の人生の一部を切り捨てることなのですから。

10/8/2024, 3:03:47 PM


 ああ。本当に、お疲れさまでした。
 今日貴女は、ご伴侶の前で泣き始めてしまいました。
 けれどそこから、きちんと二人で落ち着いて話ができました。

 ご伴侶も驚き、落ち込んだ様子でしたね。
 それでも、貴女のことを大切に思い、貴女と共に生きたいと強く願っているから、きちんと努力しようと思う、と言ってくれました。貴女はそれを嬉しく思う一方で、それでもだめな可能性もある、とはっきり伝えることができました。

 彼は、実際のところ、貴女に相当執着しているようです。
 ご伴侶自身も気づかなかったほど、彼の奥底に隠されていたその欲求が、貴女の心に少し響きました。
 貴女は、強く強く、求められたいのです。それを叶えてくれる人なのかもしれないと思い直せたのは、素晴らしいことでした。

 これは、嵐の間の、束の間の休息に過ぎないのかもしれません。 
 それでもきっと、貴女はご自分の本当の幸福のために、進んでいくことを諦めないでしょう。それが、貴女の強さですから。

10/7/2024, 10:59:29 AM


 感情を支配して、思うままに変えて。
 そういうことを、貴女は夢見ています。いえ、それに必死に縋りつこうとしています。貴方のご伴侶を見捨てないで済むように、貴女の感情を元の通りに戻すことを、切望しています。

 しかし、どれだけ力を込めて願ったとしても、あるいはどれだけ強くそれを否定しても、人の感情を変えることはできません。ある感情を感じること、もしくは、感じないこと。それを思うままにすることは、非常に難しいことです。
 一番元々の、幸福に包まれた状態を再現して感じることは、修練を積めばできるようですが、他の感情を意志の力で支配するのは、恐らく不可能でしょう。

 ですから、「それ」を否定しないでください。
 否定したところで、それは余計に貴女の心にこびりつくだけです。

 恐れる必要はありません。今はただの小さな違和感です。それを落ち着いた気分で眺め、もう少し紐解いていけば、貴女が何を欲し、何を忌避しようとしているのかが分かるはずです。
 人は、分からないものが一番怖いのです。今は、まさにその状態なのですよ。

 ですから、只、落ち着いて。
 大丈夫ですよ。まだ何も、恐ろしいことは起きていませんからね。

10/6/2024, 3:05:29 PM


 ここ数日、ご伴侶に対する自分の感情が変化していると気づき、貴女は戸惑っていらっしゃいますね。
 そして、この感情がご伴侶と共にある限り続くのではないか、もしそうだとしたら、ご伴侶と別れるしか道がないのではないか、そう思って、恐怖すら感じていらっしゃいます。

 何せ、彼の命の根幹が貴女に依存しているのです。ご伴侶は、貴女がいなければ、今の生活を維持することができません。貴女の協力がなくなれば、彼は仕事も趣味も健康も、致命的なまでに失うことになるでしょう。
 もしそうなって、貴女と離れた彼が死んでしまったら、自分は自責と後悔で幸福を享受できなくなるだろうと、貴女は理解しています。

 だから貴女は、彼が一人で生きていける状態になるまで別れることはできないと、そうお考えなのです。
 かと言ってこれまでは、結婚できるように頑張って生活を成り立たせようと、お二人で話し合ってきています。もしそうして頑張って、お互い十分な生活基盤を築いたとして、そこで初めて別れを切り出すことなど、貴女にできるでしょうか。そうすると考えただけで、貴女は今日ほろほろと一人で泣いてしまいました。

 八方塞がりのように感じられますね。貴女の気持ちを押し殺して、このまま生きていくしかないように思えるのも、当然のことです。貴女は頭の回転も速いし、人に共感する力も高い。しかも今回は、もう丸十年も、苦楽を共にしてきた方についてのことです。優しい貴女が、そんな決断をできるのかと問われると、俺たちも困ってしまいます。

 ええ、でも、心が変わっていくことは、仕方のないことです。
 これまで、楽しいこともたくさんありました、苦しい時間も共に乗り越えてきました。そうやって過去に思いを馳せて、その記憶を大切に慈しむことは、美しい、貴女に許された喜びです。

 それでも、今の心の示す方に、貴女は進むべきなのです。
 貴女の人生を、誰かのために捧げる必要はありません。
 俺たちは、貴女が幸福に生きることを望んでいます。その幸福にご伴侶が必要ではなくなった、むしろそぐわなくなったと感じるのなら、それはもう、その通りなのです。

 まだ、今の時点で答えを出すのは早いでしょう。
 けれど、その決断ができたなら、きちんと彼に相談してください。一人で抱え込まないでください。彼も貴女を愛しているのですから。貴女の幸福を、祈ってくれる一人なのですから。

 どうか、そんなに泣かないでください。
 無理にとは言いません。
 けれど、どうか、笑っていられる場所を選んで、幸福に包まれて生きてください。

 ただそれだけが、俺たちの願いです。

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