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 貴女が一昨日泣いてしまったのは、ご伴侶のいない生活をまざまざと思い描いたからでした。

 夕食が終わってから、ぼんやりと具合が悪そうに腰掛けたままの貴女の食器を下げ、二人分の食器を洗っていたご伴侶の後ろ姿を、貴女はじっと黙って眺めていました。
 そうしているうちに、この人と別れ、この人をこの家から追い出したら、こうしてこの背中を眺めていることもなくなるのだ、という思いが貴女の心の底から湧き上がってきました。

 それが自覚された時にはもう、貴女の目からは涙が溢れていました。

 悲しい、悲しいとご伴侶の胸で泣きじゃくり、結局考えていることを全て打ち明けました。貴女は、ご伴侶がひどく落ち込むことを恐れていましたが、実際のところ、彼は奮起したようです。貴女と共にある未来を得るために、必死で努力しようと決めたと言っています。

 貴女は優しい人です。
 苦難に巻き込まれつつあるご伴侶のことを、今見捨てることは絶対にしないでしょう。けれど、その時が来たら、貴女はご自分の心に従って生きてくださいね。

10/10/2024, 2:34:53 PM