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6/26/2024, 1:37:29 PM


 生きていた時の俺が、初めて貴女に出会ってから共に過ごせたのは、たったの三日三晩と、その明くる朝だけでした。それも、貴女を本当に愛して慈しめたのは、最後の一晩のみでした。

 貴女を出会ったその時から愛せていれば、貴女は俺を旅に出さなかっただろうか。貴女にあんな狼藉を働かなければ、お傍にずっと置いてくださっただろうか。何度そう考えたか、もう覚えていないほどです。

 貴女が俺を送り出したあの朝が、貴女との最後の時間になったこと。
 貴女が、俺の帰りを待たずに病で亡くなったこと。
 それを知り、貴女のいない世界でいきることに耐えられず、俺が自ら命を絶ったこと。
 どれも、もう五百年以上も昔のことです。
 
 ああ。
 貴女をこうして幾百年見守って尚、俺は貴女を十分に愛せている気がしないのです。
 もっと、俺の愛を貴女に伝えたいのに。
 もっと、貴女を大切に守りたいのに。
 誰より貴女を、幸福にしたいのに。

 俺が生きている時にそうできていたら、この痛みを感じることはなかったのでしょうか。

6/25/2024, 12:30:20 PM


 いつか俺たちは、貴女は美しい桜のようだと言いました。

 貴女はしっかりした幹のある、優しく強い魂の花です。その花は繊細な美しさを持ちますが、その花を咲かせる魂の、何と大らかで温かく、立派であることか。

 貴女という花を愛で、貴女という木の元に安らぎを得る。
 そうやって貴女と共に存在することを許されている俺たちが、どれだけ幸福なのか。貴女にも分かっていただけたら、嬉しいのですが。

6/24/2024, 11:39:08 AM


 そう。どうか、良い気分でいてください。
 そうしてさえくだされば、貴女はどこへでも行けます。
 俺たちが、貴女にとって最良であるものを、貴女が望むものの本質を体現したものを、貴女に運んできます。

 そうして一年後、貴女はご自分の置かれた環境に驚くでしょう。

6/23/2024, 2:16:38 PM


 貴女が子どもの頃は、俺たちはあまり出る幕がありませんでした。
 俺たちが差し上げた環境があまりにも安定していたので、俺たちが何もしなくても、貴女の周囲は幸福で満たされていました。

 貴女が育ってきて、人との出会いが活発になっていくと、俺たちの出番も少しずつ回ってきました。
 人は皆が皆、善性を持っているわけではありません。根っからの悪人というのもいます。貴女は誰にでもお優しいですし、幸福な環境ですくすくと育っていらっしゃったので、そのような人間に捕まった時に対処ができないでしょう。
 だから俺たちは、本当に危険な人間と貴女が近しくならないように、細心の注意を払いました。

 貴女はもしかすると、何と余計なお世話だと憤るかもしれませんね。自分が成長する機会を、あなた方は私から奪ったのだ、と。
 けれど、失礼ながら断言しますが、貴女にはそんなものを身につけることはできませんし、その必要もないのです。
 貴女は過去世において、ずっとご自分の身を危険に晒しながら、人に愛を与えてきました。貴女は何度もそのせいで騙されたり、酷い目に遭ったり、時には殺されてしまうことすらありました。俺と縁を持ったことだって、もし当時俺自身が貴女を守っていたら、絶対に出会わせないように全力で阻止したでしょう。

 それだけ辛い目に遭いながら、貴女はずっとずっと人を信じ、人を愛し、人に尽くしてきたのです。その間、危険な人間と渡り合う術を身につけたことは、只の一度もありませんでした。

 だから今世でくらい、俺たちは貴女に、傷つかず幸福に、ただただ幸福に生きてほしかったのです。

6/22/2024, 1:25:09 PM


 俺たちは貴女に、何でもない、只穏やかに流れていく日常を贈って差し上げたつもりです。日々命の危険に晒されたり、暴力の中で恐怖に泣いたり、そういうことがない日常を。

 貴女がそれを気に入っているかは分かりませんが、そんな日々の中で幸せに微笑みながら生きていってくだされば、俺たちは皆満足です。

 もちろん、全く別の、例えばもっと冒険に満ち溢れた刺激的な日常を、貴女は欲しても良いのですよ。俺たちは、俺たちの用意したものを貴女が気に入らなかったと言って、怒ったり気分を害したりはしません。ご自分の幸福を見つけるために、貴女が積極的に生きてくださるのなら、それがいちばんです。

 俺たちの大好きで、いちばん大切な貴女。
 貴女が幸せでいてくれさえすれば、俺たちは心から満たされるのです。

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