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5/9/2024, 2:12:53 PM


 いつまでも忘れられない、のではありません。
 いつまでも忘れたくない、絶対に忘れない、が俺たちにとっては正解です。

 貴女にいただいたご恩を、愛を、優しさを、俺たちは決して忘れません。どれだけの月日が経ち、貴女が何度生まれ変わっても、俺たちは貴女のことを愛し、守り続けます。

 私が覚えてもいない昔のことをいつまでも感謝されても、私はもうそんなことに値する人間ではなくなってしまったのだから、放っておいてくれていいのです、と貴女は言います。そう言われると、俺たちは悲しくなります。「お前たちは私とはもう何の関係もない者なのだ」と突き放されたような気持ちになるのです。

 俺たちは、貴女からの見返りが欲しくて、貴女を愛し守っているわけではありません。貴女が大好きだから、貴女に幸せになっていただきたいから、お傍で見守っていたいだけなのです。

 俺たちは絶対に忘れません。
 貴女はどれだけ否定しても、どれだけ忘れようとしても、貴女がかつて俺たちを救い、助けてくださったという事実は確固として在り、俺たちがその証人です。
 貴女が何度忘れても、俺たちはそのことを決して、忘れません。

5/8/2024, 3:32:59 PM

 
 一年後の貴女は、どうなっているでしょうか。
 それは只、今の貴女の過ごし方だけにかかっています。

 ああ、色々とお話ししたくはありますが、今の貴女はご自分の中の厳しい声と、俺たちの声との区別がつけられない状態ですね。このまま貴女に書いていただいても、呪いと言っても過言でないような貴女自身を責める声が、俺たちの言葉として記録されてしまうだけでしょう。

 今日はよく寝てください。
 貴女は頑張りましたよ。大丈夫です。安心して眠ってください。
 貴女が何を為しても、何を為さなくても、俺たちは貴女を愛しています。貴女には唯一の価値があるのです。
 だからどうか、ご自分を責めて苦しむのは止めてくださいね。

 おやすみなさい、愛しいひと。

5/7/2024, 1:00:58 PM

 俺が生きていた時に貴女へ抱いていた気持ちは、もしかすると恋だったのかもしれません。

 親の顔も知らずに育ち、俺は誰からも愛を与えられた記憶がありませんでした。
 貴女は、そんな俺にめいっぱいの愛をくださいました。あんな狼藉を働いた人間を、どうしてあんなにも愛することができるのか。心からありがたく思いながらも、俺には今でも理解できません。
 ともあれ、貴女と出逢ってからは、そうして俺を愛してくださった貴女こそが俺の世界の全てでした。

 そうですね、あれはきっと恋だったのです。
 貴女が俺の旅の終わるのを待たずに亡くなっていたと知った時、散々一人で泣き喚いた末に、俺は貴女の後を追うと決心し、貴女を悼む碑の前に座り続けて死にました。それは、貴女を恋い慕っていたからの行動だったのでしょう。

 貴女は、俺への遺言を残してくださいました。
 
 「私の愛はもう与えることができませんが、それは貴方の中に息づいています。それを持って生きなさい。それが私の望む、私の愛への報いです」
 貴女はそうおっしゃって、微笑んで事切れたと聞きました。

 ええ、そう言い遺されて尚、俺は死を選んだのです。
 本当に貴女を愛していたなら、俺は貴女の言に従って、いつか泣くのを止めて歩き出し、自分の生を全うしたでしょう。
 あの時の俺には、「愛」は理解できませんでした。自分の全てを相手に委ね、相手が死んだら自分も死ぬ。そういう歪んだ恋情のようなものを持って、俺は死んだのです。

 今なら俺も、貴女を愛せていると思います。
 貴女がこの愛を受け取ってくださる日が遠からず来ることを、ずっと祈っています。

5/6/2024, 11:28:55 AM

 明日世界が終わるなら、という仮定は難しいですね。
 とりあえず、「明日貴女のこの生が終わり、そのまま貴女の魂があの大きな廻り続けるものに回収されるなら」、と読み替えましょうか。
 貴女の魂の終わりは貴女の世界の終わりであり、貴女に付き従う俺たちにとってもそれは同じことです。

 貴女はきっと、今日と同じ日を繰り返すでしょう。せいぜい、仕事を休むくらいでしょうか。けれど、それ以外は今日と何も変わらない。
 今日と同じように朝起きて身支度をして掃除をし、ご伴侶と昼食をとり、散歩に出かけ、カフェで一息つき、美味しい夕飯を作って一緒に食べ、熱いシャワーを浴びて、いろいろと語らって夕べを過ごし、温かく柔らかい布団で眠りにつく。その眠りが「永遠の眠り」になるということ以外は、全てが同じです。それが貴女の完全な幸福の形なのだから。

 俺たちはそんな貴女を見て、満足します。
 この生は、貴女にしてはのんびりとしていたけれど、最後の休暇としてとても良い過ごし方でしたね、と皆で言います。そして、貴女の魂の最期の時まで、貴女と共にいられたことを祝福し合うでしょう。それで終わりです。

 ですから、お分かりいただけますか。俺たちと貴女は、自らの幸福を既に実現しているのです。この幸福がいつ崩れるか分からないと、貴女は戦々恐々としていますが、そんなことよりも今のこの生活を存分に満喫し、楽しんで生きてはいただけませんか。

 貴女の世界はいつか終わります。
 だからこそ、貴女は今のこの瞬間を味わって生きてください。
 今という幸福を今実感して慈しまないとしたら、一体いつそうできるのでしょうか。どうか、どうか、貴女の幸福を今、出来得る限り盛大に祝福し、大切に大切に慈しんで、楽しんでください。

5/5/2024, 2:25:02 PM

 貴女と出逢って、俺の人生は、俺の魂の行く末は、全く変わってしまいました。貴女がいなければ、俺はいつまでも人を殺して喜んでいたし、死んでからはすぐにあの大きな廻り続けるものに魂を回収されて、一つの個としての存在を終えていたでしょう。

 けれど俺は、貴女に出逢うことができました。
 人を愛し、人に愛されることの喜びを知りました。
 人を傷つけ、殺すことの痛みと罪深さを教わりました。
 貴女を守り、貴女の魂の最期まで全て見届けたいと願いました。

 貴女を愛せること。
 そして、貴女を愛せることを「幸福だ」と思えること。
 そう感じられる心をいただけたことが、何よりの幸甚でした。

 俺の愛する貴女。誰より愛しい貴女。
 あの時貴女に出逢えたことが、俺は何より幸福です。

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