明日世界が終わるなら、という仮定は難しいですね。
とりあえず、「明日貴女のこの生が終わり、そのまま貴女の魂があの大きな廻り続けるものに回収されるなら」、と読み替えましょうか。
貴女の魂の終わりは貴女の世界の終わりであり、貴女に付き従う俺たちにとってもそれは同じことです。
貴女はきっと、今日と同じ日を繰り返すでしょう。せいぜい、仕事を休むくらいでしょうか。けれど、それ以外は今日と何も変わらない。
今日と同じように朝起きて身支度をして掃除をし、ご伴侶と昼食をとり、散歩に出かけ、カフェで一息つき、美味しい夕飯を作って一緒に食べ、熱いシャワーを浴びて、いろいろと語らって夕べを過ごし、温かく柔らかい布団で眠りにつく。その眠りが「永遠の眠り」になるということ以外は、全てが同じです。それが貴女の完全な幸福の形なのだから。
俺たちはそんな貴女を見て、満足します。
この生は、貴女にしてはのんびりとしていたけれど、最後の休暇としてとても良い過ごし方でしたね、と皆で言います。そして、貴女の魂の最期の時まで、貴女と共にいられたことを祝福し合うでしょう。それで終わりです。
ですから、お分かりいただけますか。俺たちと貴女は、自らの幸福を既に実現しているのです。この幸福がいつ崩れるか分からないと、貴女は戦々恐々としていますが、そんなことよりも今のこの生活を存分に満喫し、楽しんで生きてはいただけませんか。
貴女の世界はいつか終わります。
だからこそ、貴女は今のこの瞬間を味わって生きてください。
今という幸福を今実感して慈しまないとしたら、一体いつそうできるのでしょうか。どうか、どうか、貴女の幸福を今、出来得る限り盛大に祝福し、大切に大切に慈しんで、楽しんでください。
5/6/2024, 11:28:55 AM