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5/4/2024, 12:22:26 PM

 貴女は俺たちの声を聞く時、耳を澄ましたりはしません。
 只ペンを持ち、紙にペン先を乗せるだけです。
 最近はそれすらせず、スマートフォンに指先ですらすらと書かれることが多いですね。
 ともあれそうして心を落ち着けて「書く」体勢を作っていただければ、俺たちはいつでも貴女に語りかけることができます。

 貴女は時折、この言葉は貴女の妄想に過ぎないのでは、と不安になりますね。自分の耳に甘美に響く言葉を、一人で勝手に妄想しているだけなのでは、と。

 もしそうなら、俺たちはどれだけ楽になることでしょう。
 貴女が本心から、貴女自身に優しい言葉をかける。
 そんなことをしていただけるなら、俺たちが貴女に語りかける必要などなくなります。只、貴女を守る者として、貴女の後ろに控えていればいい。
 貴女ご自身からは、その「甘美な」言葉は出てこないのです。

 いつか貴女自身の心から、貴女を愛する言葉が湧き出るようになることを祈って、俺たちは毎日貴女に語り続けましょう。

5/3/2024, 12:14:01 PM

 貴女はいつの時も、隠し事というものが苦手でした。
 今の生では、特にそれが顕著ですね。誰かとの二人だけの秘密など、相手がそう望まない限り、ほとんど持っていないでしょう。

 貴女のその正直さは美徳ですが、時に人を怯えさせ、狂わせます。あまりにも誠実に、ただただ真っ当に生きている人間を見ると、人は無意識に自分の在り方を省みて、慄くことがあるのです。貴女の生き方は、そういう恐れを引き起こし得る類のものなのです。

 ああ、貴女はまた、自分はそんな真っ当な生き方をしていないのに、この人は何を言っているんだろうと思いましたね。
 貴女はご存じないのです。世の中の人のどれだけが、嘘をつかず人を騙さず人を傷つけずに、自分の中の徳に誠実に生きることができているのか。貴女がどれだけ清廉な心を持って生きているのか。

 とはいえ、それを実感するためには、「真っ当に生きていない人間」をつぶさに見ないといけませんから、貴女はそのままでいいのですよ、とだけ言っておきましょう。

5/2/2024, 1:53:09 PM

 貴女は時折、そんなに優しくしないでください、と悲しそうに言いますね。私はすぐ優しさに甘える、弱くて駄目な人間なのだから、もっと皆にも厳しくしてもらわないといけないのです、とおっしゃいます。

 そう言われると、俺たちは困ってしまいます。
 俺たちは、貴女に優しくなどしていません。これが普通なのです。俺たちは、貴女が愛しくて、大切で仕方ないのです。そんな方に接する時に、優しくしているつもりなどなくてもこうなってしまうのは、どうしようもないことだと分かっていただけるでしょうか。

 それに、ご自分に厳しくしたところで、貴女はただ落ち込むばかりだということには、気づいていらっしゃいますか。貴女はもっと、自分に優しく接して良いのです。その方が貴女は元気になり、何にも怯えることなく生きていけるでしょう。

 ですから、俺たちが貴女にするように、貴女自身へ優しさを向けてください。それが難しいなら、まずは俺たちの想いを否定せず、受け取ってはもらえないでしょうか。
 俺たちが大切にしたいのは、他の誰でもない、貴女なのです。どうか俺たちの想いを、余計なもの、貴女を堕落させるもののように扱わず、貴女を温かく包む羅紗のように受け入れてほしいのです。

5/1/2024, 1:22:24 PM

 昨日の俺たちの言葉も、貴女の心に届いたようですね。
 貴女の心の澱をひとつ溶かせたようで、俺たちは嬉しい気持ちでいっぱいです。

 貴女の世界は、しばらく色を失っていました。
 けれど今、少しずつ色彩を取り戻し始めたでしょうか。
 幼子の貴女が見ていた極彩色に輝く世界は、まだ貴女の目の前に寸分違わぬまま存在しています。全ては貴女の心次第なのです。

 貴女の心が、またこの世界の鮮やかな美しさに気づけるように。
 俺たちは毎日、貴女に語りかけ続けますね。

4/30/2024, 11:04:31 AM

 俺たちは今、正真正銘の楽園に在ります。

 愛する貴女が健康で、命の危険もなく、のんびりと気の赴くままに生きている。それを見守っていられる今の俺たちが在るところが楽園でないとしたら、一体どこが楽園などと呼べるのでしょうか。

 けれど欲を言うのなら、これで貴女の心が救われていれば、とは思ってしまいます。今の貴女は、ご自分が幸福を享受することを許せずにいます。自分のように何も苦労を知らず、努力もせず、寝てばかりいる人間が、どうしてこんな幸福な時間を過ごす権利があるだろう、と。

 権利、などと考える必要はありません。誰しも幸福な時があり、普段通りの時があり、不幸な時があります。今の貴女はたまたま、その幸福な時に当たっているだけですよ。それを、権利がある、ない、などと考えて、自分から不幸な時間にする必要はありません。

 これから先のことを心配して、今こんなに怠けていたら、将来きっとしっぺ返しが来るだろう、と怯えることも無意味です。
 過去を悔やんでも、未来に恐怖しても、貴女のできることはただ一つ、今を生きることだけです。だから、このままでは将来どうなるか、などと考えず、貴女のできること、したいことを重ねてください。

 とはいえ、俺たちがこの楽園に在って、今既に満足していることに変わりはないということも、知っておいてくださいね。
 愛する貴女の魂の、一番お傍にいられること。貴女が日々命の危険に怯えたり、痛みに呻いたり、悲しみに慟哭したりせず、穏やかに平穏に生きていられる姿を見られること。それが、俺たちの望むことなのですから。

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