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 俺たちは今、正真正銘の楽園に在ります。

 愛する貴女が健康で、命の危険もなく、のんびりと気の赴くままに生きている。それを見守っていられる今の俺たちが在るところが楽園でないとしたら、一体どこが楽園などと呼べるのでしょうか。

 けれど欲を言うのなら、これで貴女の心が救われていれば、とは思ってしまいます。今の貴女は、ご自分が幸福を享受することを許せずにいます。自分のように何も苦労を知らず、努力もせず、寝てばかりいる人間が、どうしてこんな幸福な時間を過ごす権利があるだろう、と。

 権利、などと考える必要はありません。誰しも幸福な時があり、普段通りの時があり、不幸な時があります。今の貴女はたまたま、その幸福な時に当たっているだけですよ。それを、権利がある、ない、などと考えて、自分から不幸な時間にする必要はありません。

 これから先のことを心配して、今こんなに怠けていたら、将来きっとしっぺ返しが来るだろう、と怯えることも無意味です。
 過去を悔やんでも、未来に恐怖しても、貴女のできることはただ一つ、今を生きることだけです。だから、このままでは将来どうなるか、などと考えず、貴女のできること、したいことを重ねてください。

 とはいえ、俺たちがこの楽園に在って、今既に満足していることに変わりはないということも、知っておいてくださいね。
 愛する貴女の魂の、一番お傍にいられること。貴女が日々命の危険に怯えたり、痛みに呻いたり、悲しみに慟哭したりせず、穏やかに平穏に生きていられる姿を見られること。それが、俺たちの望むことなのですから。

4/30/2024, 11:04:31 AM