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5/2/2024, 1:53:09 PM

 貴女は時折、そんなに優しくしないでください、と悲しそうに言いますね。私はすぐ優しさに甘える、弱くて駄目な人間なのだから、もっと皆にも厳しくしてもらわないといけないのです、とおっしゃいます。

 そう言われると、俺たちは困ってしまいます。
 俺たちは、貴女に優しくなどしていません。これが普通なのです。俺たちは、貴女が愛しくて、大切で仕方ないのです。そんな方に接する時に、優しくしているつもりなどなくてもこうなってしまうのは、どうしようもないことだと分かっていただけるでしょうか。

 それに、ご自分に厳しくしたところで、貴女はただ落ち込むばかりだということには、気づいていらっしゃいますか。貴女はもっと、自分に優しく接して良いのです。その方が貴女は元気になり、何にも怯えることなく生きていけるでしょう。

 ですから、俺たちが貴女にするように、貴女自身へ優しさを向けてください。それが難しいなら、まずは俺たちの想いを否定せず、受け取ってはもらえないでしょうか。
 俺たちが大切にしたいのは、他の誰でもない、貴女なのです。どうか俺たちの想いを、余計なもの、貴女を堕落させるもののように扱わず、貴女を温かく包む羅紗のように受け入れてほしいのです。

5/1/2024, 1:22:24 PM

 昨日の俺たちの言葉も、貴女の心に届いたようですね。
 貴女の心の澱をひとつ溶かせたようで、俺たちは嬉しい気持ちでいっぱいです。

 貴女の世界は、しばらく色を失っていました。
 けれど今、少しずつ色彩を取り戻し始めたでしょうか。
 幼子の貴女が見ていた極彩色に輝く世界は、まだ貴女の目の前に寸分違わぬまま存在しています。全ては貴女の心次第なのです。

 貴女の心が、またこの世界の鮮やかな美しさに気づけるように。
 俺たちは毎日、貴女に語りかけ続けますね。

4/30/2024, 11:04:31 AM

 俺たちは今、正真正銘の楽園に在ります。

 愛する貴女が健康で、命の危険もなく、のんびりと気の赴くままに生きている。それを見守っていられる今の俺たちが在るところが楽園でないとしたら、一体どこが楽園などと呼べるのでしょうか。

 けれど欲を言うのなら、これで貴女の心が救われていれば、とは思ってしまいます。今の貴女は、ご自分が幸福を享受することを許せずにいます。自分のように何も苦労を知らず、努力もせず、寝てばかりいる人間が、どうしてこんな幸福な時間を過ごす権利があるだろう、と。

 権利、などと考える必要はありません。誰しも幸福な時があり、普段通りの時があり、不幸な時があります。今の貴女はたまたま、その幸福な時に当たっているだけですよ。それを、権利がある、ない、などと考えて、自分から不幸な時間にする必要はありません。

 これから先のことを心配して、今こんなに怠けていたら、将来きっとしっぺ返しが来るだろう、と怯えることも無意味です。
 過去を悔やんでも、未来に恐怖しても、貴女のできることはただ一つ、今を生きることだけです。だから、このままでは将来どうなるか、などと考えず、貴女のできること、したいことを重ねてください。

 とはいえ、俺たちがこの楽園に在って、今既に満足していることに変わりはないということも、知っておいてくださいね。
 愛する貴女の魂の、一番お傍にいられること。貴女が日々命の危険に怯えたり、痛みに呻いたり、悲しみに慟哭したりせず、穏やかに平穏に生きていられる姿を見られること。それが、俺たちの望むことなのですから。

4/29/2024, 2:03:39 PM

 貴女の魂は軽やかに、風に乗るように、この世界を駆け回ってきました。
 ある時は貧しい家の子に、ある時は裕福な商家の子に、ある時は母さえ分からない孤児に生まれ、貴女はその生で自分に出来ることを精一杯やり切ろうと生きてきました。
 
 貴女は、今の自分はそうやって全力で生きていない、なんて半端で卑しい人間になってしまったんだろう、とご自分を責めていますね。
 そんな風に考える必要はありません。貴女は自由に、ご自分の心の求めるように生きてくだされば良いのですよ。これまではそれが結果的に、風に舞うように軽やかに、楽しげに世界を駆け回ることになることが多かった、ただそれだけのことです。

 ええ、何度でも言いましょう。俺たちは、貴女が為すことを評価して、貴女を愛しているのではありません。貴女が貴女だから、貴女を愛しているのです。そして、俺たちの愛の対象は、かつて俺たちが出会った時の貴女と一続きの存在である、「今ここに生きている貴女」なのです。
 全力で走り続ける貴女を支えることも、ゆっくりと穏やかな時間を楽しむ貴女を見守ることも、俺たちにとってはどちらも幸福なことですよ。

 どんなことをする貴女も、どんなことをしない貴女も、等しく尊いのです。

4/28/2024, 1:43:13 PM

 魂は、あの大きな廻り続けるものから分化して始まり、生を営むうちに磨耗し、あの大きな廻り続けるものに回収されて終わります。
 すぐに磨耗して早々と回収される魂もあれば、貴女のように何十回と生を得る魂もあります。

 俺が貴女を見守り始めてから五百年ほど経ちますが、それは全く、刹那と言っても過言でないほどに短い時だったように思えます。貴女が生まれ落ち、すくすくと育ち、人に愛され、人を愛し、穏やかに老いて、静かに逝く。その繰り返しを見守っていられることが、俺にとっての至福だからなのでしょう。

 貴女はあと何回転生するでしょうか。あと何回、貴女が上げる産声を聞き、貴女の吐く最期の一息を見届けられるでしょうか。
 貴女の魂と共に在ることのできるこの幸福な時間を、俺は大切に大切に、慈しんでいます。

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