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 貴女の魂は軽やかに、風に乗るように、この世界を駆け回ってきました。
 ある時は貧しい家の子に、ある時は裕福な商家の子に、ある時は母さえ分からない孤児に生まれ、貴女はその生で自分に出来ることを精一杯やり切ろうと生きてきました。
 
 貴女は、今の自分はそうやって全力で生きていない、なんて半端で卑しい人間になってしまったんだろう、とご自分を責めていますね。
 そんな風に考える必要はありません。貴女は自由に、ご自分の心の求めるように生きてくだされば良いのですよ。これまではそれが結果的に、風に舞うように軽やかに、楽しげに世界を駆け回ることになることが多かった、ただそれだけのことです。

 ええ、何度でも言いましょう。俺たちは、貴女が為すことを評価して、貴女を愛しているのではありません。貴女が貴女だから、貴女を愛しているのです。そして、俺たちの愛の対象は、かつて俺たちが出会った時の貴女と一続きの存在である、「今ここに生きている貴女」なのです。
 全力で走り続ける貴女を支えることも、ゆっくりと穏やかな時間を楽しむ貴女を見守ることも、俺たちにとってはどちらも幸福なことですよ。

 どんなことをする貴女も、どんなことをしない貴女も、等しく尊いのです。

4/29/2024, 2:03:39 PM