お題『question』
授業とか職場の懇談会最後とかでも、わりと困ることがある。
「質問は?」
本当にある場合ならいい。だが、マジで誰も手が上がらない時、これがひじょうに気まずくてやっかいだ。
司会者が視線を送るたび合わないようにする、もしくは合わないようにするとかえって当てられることがあるからこの攻防戦がやっかいだ。そこですぐに終わってくれるならまだいいが、終わらせてくれない人もいてそれがさすがに苦痛。
だが、質問して盛り上がる時もあって、その内容が自分に関わりのないことだと「はやく帰りたい」になる。
あとは自分が司会者側の立場に立ったことがあるのだが、自分が質問する側でなにも手が上がらない時のしんとした感じがなかなか気まずいけどどうにか切り上げられる。だが質問が盛り上がった時のほうがやっかいで、いつ会議を終わらせようとなる。
いかなる場合でも「質問」って難しいものだと思う。
お題『約束』
物語上の約束っていろいろあって、一番多いように思うのは『死亡フラグ』だと思う。
「俺、この戦争が終わったら彼女に告白するんだ」
だの
「俺、戦争から帰ってきたら彼女に結婚を申し込むんだ」
だの。
だいたいそういう時って、帰らぬ人になっていたりする。
ところで、私が好きな約束の使われ方がある。
魔法使いの約束っていうアプリなんだけど、作中での「約束」の扱われ方が魔法使いにとって残酷で好きだ。死ぬわけじゃないのに残酷なのだ。
約束を破った魔法使いは魔法を使えなくなる、だから約束は軽々しくしないし、一度約束してしまったらそれを一生守り続けなければならない。しかもこの作中世界の魔法使いは長命だ。それもあいまってなかなかに残酷で好きだ。
お題『ひらり』
街で決闘がされる。しかも公開試合だ。
他の野次馬と同じく、僕もその試合を観戦することにした。
屈強なトロールのような見た目をした冒険者の相手は、やせっぽっちの優男だ。冒険者は頑丈な鎧に大きな斧を持っているのに対し、優男は軽装に小型のナイフだ。鎧なんて身につけていない。
あぁ、勝ち目がないなと僕は思う。内心は優男に勝ってほしい。冒険者の方はうちの店に来て毎回無銭飲食してくるからだ。それを注意したことが一度あって、その時は仲間たちによってタコ殴りにされた。しばらく包丁が握れないくらいに。
さて、試合開始の合図が見届人によって声高らかに宣言される。
冒険者の方が先に出た。勢いよく斧を振り回す。あーあ、やっぱ強いかぁ。
そんな時だった。
優男がその場でジャンプして、ひらりと前方宙返りをした。それだけじゃない。もうすぐにナイフを構えていて気がついた時にはその冒険者の首、それも鎧で覆われていないところをめがけて攻撃した。
一撃だった。冒険者がその場で膝をつき、前に倒れたのだ。あっけなかった。
首から血が流れていないとはいえ、まるで死んでるみたいに倒れている。
審判が困惑気味に優男に話しかける。優男は言った。
「死んでない。すぐに目を覚ますだろう」
事実、冒険者は指先をぴくつかせている。周りがどよめきに包まれる中、優男は人ごみをぬっていつの間にかいなくなってしまった。
今のを見て、僕はなぜだか希望に似た感情が胸にこみあげてくるのを感じた。
お題『誰かしら?』
在宅勤務をしていたある日のこと、ドアをノックする音が聞こえてきた。宅配便かな、それならインターホンを鳴らせばいいと思う。知り合いであれば事前に連絡があるはずだ。
気持ち悪いし怖いので無視しているとふたたびドアをたたく音が聞こえてくる。
ひょっとして私は近所迷惑になるようなことをしたのだろうか。それとも女性の一人暮らしを狙って家に押し入ろうとしているのだろうか。
本当に怖くなって私はとりあえず武器になりそうな卵焼き用の小型のフライパンを持ち、ドアの小窓をのぞいた。
そこには誰もいない。
ほっとしてドアに背中を向けたのもつかの間、またドアをノックする音が聞こえる。
意を決してついに扉を開ける。
「誰なんですか」
すると、そこにいたのは青白い女の姿だった。お互いに叫んだと思う。その女はすぐさま非常口のドアを開けて階段を降りていった。
そういえば思い出す。しばらく隣の部屋がうるさかったことを。カップルの口論が絶えなくて、ある時別れたのか二人とも出ていってしまったことを。その青白い女の姿はどことなくカップルの片割れにそっくりだった。
私は恐ろしくなっていったん扉を閉めた後、棚から塩を持ち出してなんとなく自分の部屋の周辺にばらまき始めた。
お題『芽吹きのとき』
昔、小学校低学年の時の私は同性愛的なものを見てギャグにしていたことを思い出す。今からしたら、その価値観は恥ずべきものだし、そういうものが異性愛と一緒の立ち位置になるまでアップデートしていく必要があるものだけど。
さて、同性愛的なものにいつはまるようになったか。
多分、小学校高学年に入った頃である。私はその頃、あるゲームにはまっていて、家ではネットがつながっていたのでそのコンテンツの二次創作を見漁っていた。
そんな時、当時「かっこいいな」と思っていたキャラクターがべつの男性キャラと絡んでる絵(全年齢)を見つけて、正直自然と口角が上がってしまった。これが今に至るまでの私の腐敗した趣味の芽吹きの瞬間である。