書けないかも。
私の信じる神様は生きてる人間とはやり取りしないから書くとしたら嫌な書き方になりそうで書きたくない。
ファンタジー系なら書けるかもだけど世界観とか説明しなきゃだから難しいし。とか言ってたけど書けました。
あごひげを蓄えた男が勝ち誇った笑みを浮かべた。
「巫女よ、御神体をどこに隠した?」
先程飲んだ水に自白薬でも入っていたのだろう。逃れる手を用意していないとでも思っているのだろうか。
「知りません。知っていても言うことはありません」
思わず怒気が籠もって低い声が出る。というのも本当に知らないのだ。
何重にも暗号化すれば問題ないはずが、記憶があると知られればひどい拷問を受けるかもしれないからと奪われてしまった。知っていたらもっとできることがあったろうに、神様なのだからもっと自分の身を大切にしてほしい。
部下の男に何やら耳打ちされた男がこちらを睨んで足早に去っていく。私は細く息を吐くと思索の海に沈んだ。
―――神様へ、今の私は弱くてあなたを守れない。私はあなたのそばにいてもよろしいのでしょうか。
夏は、特に晴れの日は嫌いだ。陽の光は頭に当たると脳蒸し焼かんばかりの熱さで帽子被ってもなおサウナの様な蒸れが襲う。右手に持った温度を持っていく天然水のペットボトルは熱中症までのカウントダウンを始めそうだ。
石段を一段一段登りながらこんな日にこんなことをしなければならないのか考えた。先ず今日の目的たる彼女に思いを馳せると「わたしのために頑張っている先輩かっこいい流石です一生貢ぎます」などと鼻息荒く語る姿が目に浮かんで吹き出しかけた。
石段を登り切ると右を向くとお地蔵様が見えた。なんとなく会釈しながら通り過ぎてバケツを借りてウロウロと知った名を探す。そしてー―
「わかんねえ」
その石の前に立つ。今だに実感が湧かない。でも紛れもなくそこには馴染みのあるなまえが刻まれていて。
長く息を吐きながら桔梗を瓶に挿す。そして恨めしいくらい快晴な空は桔梗と同じ色をしていた。
――桔梗って一途な女性の象徴らしいですよ!!わたしこの花にピッタリの女になります!!
蘇るのは初めてのめての交際で狼狽して俺が二人きりになるのを避けていたとき、高らかに宣言した姿。頑張るのは俺の方だと言っても「相思相愛じゃないですか一層燃えますね!!」とか言って聞かなかったのはいい思い出だ。
視線を墓石に戻すと視界がぼやけていた。涙が滲んでいたのだ。自覚したら涙が、思いが決壊したように溢れる。
初デートの水族館、絆創膏を貼ったらやる気が出すぎて翌日ダウンしたこ、ハートのストローを勧められて死んでも嫌だと断ったこと――そして卒業旅行乗ったバスが事故にあったこと、目覚めたらクラスで生き残ったのは数名だったこと、自分だけ助かったこと。一緒にやりたいことがいっぱいあったこと。
その後、暑さも忘れて泣き続けた俺は熱中症で倒れてやっぱり夏は嫌いだと再確認した。
でも夏の青空を、特に快晴の空を好きになった。
空気も凍てつくこの時期に見られる零れ落ちんばかりの満天の星空、この景色を見ていると思い出す出来事がある。
あれは親の忠告を無視して流星をこっそり見に行こうと抜け出して遭難したときのこと、もしかしたら寒さが見せた幻かもしれない。そんな夜の出来事だ。
物心がついた頃から僕は流星に焦がれていた。両親が仕事で立ち寄った街で流星群を見に連れて行ってくれて、すっかり虜になってしまったのだ。
あれからまた見たいと願い続けてはや7年。一度も流星を見るとは叶わなかった。というのも流星群は神様が因果を整理する神聖な儀式が一番近くで見られる光景、戦争や大規模な災害があったりするとうっかりとんでもない因果を背負うことになって壮絶な人生を歩むことになるのだ。
だから
「羅針盤ヨシ!!転移魔石ヨシ!!目隠しローブヨーシ!!」
戦闘用の装備一式、それ以外の念に念に念を重ねたとっておきの道具を持ち出す。もちろん指差し確認も忘れない。
内容広がりすぎてショートどころじゃなくなっちゃった(´・ω・`)
いつか実力ついたら中編で書きたいなぁ。
「何があったの?」
そう尋ねると太郎は唇を噛み締めた。そして目を泳がせながら何か言おうと口を開きかけ、目を伏せてしまった。
「言わないとわからないよ」
さっと太郎の目に悲哀が広がる。
その時、私の脳裏に昔のことがよぎった。子供の頃、自分は口下手で言いたいことが言いたくても言葉にならなくず同じような経験をしたのだ。
「今は、言えないかもしれないけど大人になれば言えるようになるよ。」
への字になりそうな唇を引き締め、私は告げる。
「君たち子供はこれから沢山の経験をして、沢山のことを知る。そしたら言葉が湧いてくるようになる。今の経験も大切なものを守る力になるんだ。」
太郎は唇をへの字に曲げていかにも不服そうだ。
「いま困ってるんだよ」
しかしその目にはもう迷いも悲哀もなかった。