ななえ

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11/26/2022, 2:28:17 PM

先生、そう出そうとした声を呑み込んだ。
先生がほかの女の先生と話をしていたから、ただの仕事の会話わかってるのになぜか2人が話してるところを見ると逃げだしたくなる。
私は、いつもは先生と話して帰るところを今日のところはまっすぐ家に帰ることにした。
家にいるのは嫌いだった。考えたくないことを考えて頭から離れなくなるから。でも、あの二人が話してるのを見るのはすごい辛かった。
去年までは、こんなことなかくて毎日幸せだったのに。どうして……。
次の日、私は最悪な気持ちのまま目が覚めた。
テレビのニュースでは高校教師が女子生徒と恋仲になって捕まったという内容が流れていた。
最近こういうのばっか。なにがだめなの?
どうして好きになったらいけないの?
だって、悩みとかを親身になって聞いてくれてあんなに優しく微笑みをかけてくれる人みんな好きになるでしょ?それがただ先生だってだけ、高校生の恋と立場が違うだけ、大人だと仕事が違うだけなのに。
どうしてこうもニュースになって責め立てられなきゃいけないの?
好きって気持ちに嘘なんかあるはずないのに。
学校につくと、先生が廊下を歩いていた。
隣にはあの女がいる。それでも、私は逃げ出さずにおはようございますと声をかけた。
逃げてばっかじゃダメだと思ったから。
「おはよう」とあの女が
「いつも早いなっ!偉いぞ!」先生に褒められて私は笑顔でそうでしょ!と答えた。
すきだよ。せんせい。
1、2限目が終わり3限目はあの女の音楽の授業だけど
先生に褒められたから気分が良かった。
音楽室につくとまだ誰もいなかった。
早く来すぎたかな?私は自分の席に腰を下ろすとさっきの先生の会話を思い出していた。
周りからどう思われてもいいすき、先生そう伝えたい。
「あら、藤本さん早いのね。」後ろから当然名前を呼ばれてびっくりした。声をかけてきたのはあの女だった。
あの女は私の席の前にすわった。
「幸せそうな顔してたけど、好きな人でも考えてたの?笑」
あの女がからかうように私に言ってきた。
「そんなんじゃありません」
私ははっきりとそう答えた。
「え〜、嘘だぁ。あれは恋してる女の子の目だったよ?」「同じクラス?笑」
きもい。なんで話しかけてくんだよ。
私はイラついた。
「違います。」私は否定した。
「そうだよねぇ、だって藤本さんは中山先生が好きだもんねぇ」あの女が気持ち悪いほど綺麗な笑顔で言ってきた。
私はびっくりしてえっと不抜けた声を出した。
なんで知ってんの。
「ち、違いますよ」と慌てて否定する。
でも、あの女は私が中山先生が好きなことを分かりきっているとでも言うような顔をしていた。
「かわいい。」そう言った時人が入っていて、話は終わった。
私は、驚きとイライラで授業は全く聞いていなかった。
なに?なんなの?なにあの余裕そうな顔。
ムカつく。大人にはなんでもお見通しとでも言いたそうな顔。ほんとに腹が立つ。
授業の終わりのチャイムがなると同時に私は音楽室をとび出した。あの女の顔を見たくなかったから。
その後の授業も、全然頭に入らなくて上の空だった。
帰り際に先生と会って話したけど上手く話せなかった。あの女にバレたなら先生にもバレてるんじゃないかって怖くなった。
家に帰って、私は自分の部屋にはいってすぐクッションを投げ飛ばした。
「あの女、まじでふざけんな!」
「ちょっと、私より早く生まれて立場が有利だからって!」
ん?有利?私は自分で言った言葉に違和感を覚えた。
有利ってなんだ?あの女の何が私より有利なんだ?
あ、そっか。本当はもう気づいてたんだ。
気づいてて気づかないふりしてたんだ。
私は目から涙がこぼれた。
知ってた。知ってたよ。先生。
あなたがあの女に向ける少し熱い、微熱のような目。
そして、あの女がその先生の思いに気づいてる
嫌な女の目。私の少しだるい微熱のような痛みも。
全部、全部知ってたんだ。
でも、だからってどうすんの。どうすればいいの。
こんなのどうしたって意味ないじゃん。
受け入れてもらえるわけない。私の好きなんか。
どうしろっての。このきもち。
私は一晩中泣いた。そして一晩中考えた。
この気持ちの行き先を。
次の日、授業が終わると私はまっすぐ先生がいつもいる職員室に向かった。
また、あの女と話していたけど私は無視して先生に声をかけた。
「せんせい、話があるんですけどいいですか?」
「え?今?」先生は都合が悪そうだったけど、私のまっすぐな目を見て「わかったよ」と言った。
生徒の話はいつもしっかり聞いてくれるんだよね。
そういう所好きだよ。
先生は、なにか相談事だと思ったのか相談室に連れてこられた。そりゃそうか。告白だなんて思わないよね。
「で、話ってのはなんだ?」いつもは笑顔なのに今は真剣な顔をしてる。
私は勇気を振り絞って言った。
「好きです。せんせい。」
先生は驚いて小さくえっと声を漏らした。
沈黙が流れた。冷静になったのか、それとも何か言わなきゃと思ったのか先生は口を開いた。
「ほんとか?」先生は戸惑ったような顔をしていた。
「ほんとです」私はまっすぐに先生をみつめた。
「そうか、でもごめん生徒とは付き合えない。」
私のおもった通りの答えが返ってきた。
まあ、そうなるよね。
「ごめんな。」先生が振られたわけじゃないのに泣きながらそういった。
私の変わりに泣いてくれてるんだよね。
先生の前じゃ泣けないの知ってるから。
でも、今はその優しさダメだよ。
そういう優しいところが好きなんだもん。
人のためにこんな風に泣いてくれる人素敵な人。
私は先生以外知らない。
昇降口まで先生がおくってくれたけど、その間ずっと泣いていた。
でも最後に
「俺を好きになってくれてありがとな」って笑顔を向けてくれた。
「こんな可愛い子振るなんてもったいないですよ」
と私も笑顔を返した。
家について、私はすぐに部屋に駆け込んだ。
今まで我慢できてたのが不思議なほど涙が溢れ出てきた。
最後の最後まで優しいなんてずるい。
忘れられないよ。
ずっとずっと泣き続けた。
明日なんて来なくていいとどんなに強く思っても明日はやってくる。
高校卒業した後、友達に先生とあの女が結婚したときいて私はそうだろうなと思った。
前みたいに泣きじゃくったりはしないけど今でも私はあの女のことは大嫌いだし、先生のこともずっと好きだよ。

🕊 𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸 💗

11/25/2022, 11:23:43 AM

「終電は太陽の下で」


木々の葉っぱの隙間からこぼれる太陽の光。
とても美しく心が晴れやかな気持ちになる。
だから僕はその景色が好きだった。
ある日僕はその景色を絵におさめようと考えた。
最初は下手だったが、時が経つにつれ僕の絵はだんだん上手くなっていったが春、夏、秋、冬季節がどれだけ過ぎてもあの景色の美しさだけは変わらなかった。
やがて、僕はお昼ご飯を家から持ってきてその景色を眺めながら食べるようになった。美しい景色を見ながら食べるお昼は最高に美味しかった。
次は、朝ごはんとお昼ご飯、その次は朝ごはんとお昼ご飯と夜ご飯。
僕が、この景色と過ごす時間はだんだんと長くなっていった。また、僕の人生の歩んだ道のりもだんだん長くなってきていた。
朝、目覚めると僕はすごく気分が良かった。
パジャマから服に着替え僕は、ごはんの支度もせず
絵の道具だけを片手にあの景色の所へ歩いていった。
僕は、ご飯を食べるのも忘れて絵を描くことに没頭した。絵が完成した頃にはもう、太陽が沈む1歩手前だった。完成した絵を見て僕はうっとりした。
とても、美しい絵だった。今まで書いた絵の中で1番あの景色を再現できた絵だった。
僕は、この景色との仲が深まったような気がした。
そして、僕の人生のトンネルも深い深いところまできてあと少しで抜けそうなところまで来ていた。
ある日、いつもより遅く目覚めた僕はベッドから起きてすべてを悟ったような気持ちになった。
僕は、ゆっくり朝の支度をしたそしてゆっくりとあの景色の場所へと向かった。あの絵だけを抱えて。
ふと僕は、もっとこの景色に触れたいと思った。
今まで少し離れた場所で見ていた景色の中へと1歩踏み入れた。そしてそこに仰向けで寝っ転がった。
僕は、あの絵を抱きながら目を瞑り人生で感じたことの無いほどの太陽の温かさを全身に感じながら眠りについた。僕の人生の駅はもう終電まできていた。

🕊 𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸 💗

11/24/2022, 11:17:14 AM

ショーウィンドウの中


街中のショーウィンドウに飾られたその白いふわふわのセーターは街を輝かすイルミネーションの光よりも
私には輝いて見えた。
そのセーターを見る度に私は好きな人のとなりに並ぶそのセーターを着た私“を想像した。
イルミネーションに見とれている彼の横顔を想像して胸がキュッとしまって息苦しくとても幸せな気持ちになった。
大学で久しぶりに彼にあった。
毎日、言えない想い募っていく私とはうらはらに彼の表情はいつもより和らいでいるように見えた。
その表情をみて私はまたキュッと息苦しくなった。
その息苦しさは私の想像をショーウィンドウのケースの中からはじき飛ばしていた。
クリスマス当日、私はピンクのクリスマスローズの色をしたセーターをきてイルミネーションに向かった。
隣に彼はいない、でも私の目線はやっぱり彼を見ていた。彼のやわらかい笑顔をみて私はキュッと胸がいたんだ。そして彼も白いふわっとしたセーターをきた子をみて胸をキュッとさせたように見えた。
せっかくみにきたんだからイルミネーションを見ようとしても雪が降ってる時みたいに私は必死に顔を上にあげることしかできなかった。
雪が降ったらこの想いもとけてたのかな。

❦ℯꫛᎴ❧

11/23/2022, 10:38:39 AM

私は、1度も早く大人になりたいなんて思ったことはなかった。だって、私はいまこの時を幸せだと思ってるし大切にしたいと思ってるから。
それは、たとえ好きな人が高校生で私が小学生でもその考えは変わらない。

「おはよう、はなちゃん」るかさんはいつも挨拶をする時しゃがんで私の目線に合わせてくれる。
そんなるかさんが、私はすき。
「おはようございます、るかさん!」
「今日も、はるは遅刻みたいだね」るかさんは笑って言った。はるは私のお兄ちゃんでるかさんとは違っていつも意地悪だし遅刻ばっかしてる。
小学校の校門の前でるかさんと別れて私は教室に向かった。
教室までに向かう足どりはるかさんといる時と違って重かった。
大人になりたいとは思ってない、けど今苦しいことがないわけではない。
教室にはいると私の目の前に男の子2人が私に声をかけてきた。
「よく平気で学校来れるよな、来んなよ」そういった彼は私を突き飛ばし自分の席に戻って行った。
クラスメイトは、そうなって当然だ。そんな顔を私に向けていた。
私も当然なのかもしれないそう思っていた。
でも、それは私がのろまとさ地味とかそういう理由だからではない。私は地味でものろまでもないから。
当然かもしれないと思うのは私がひどいことをしたかもしれないから。