ななえ

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「終電は太陽の下で」


木々の葉っぱの隙間からこぼれる太陽の光。
とても美しく心が晴れやかな気持ちになる。
だから僕はその景色が好きだった。
ある日僕はその景色を絵におさめようと考えた。
最初は下手だったが、時が経つにつれ僕の絵はだんだん上手くなっていったが春、夏、秋、冬季節がどれだけ過ぎてもあの景色の美しさだけは変わらなかった。
やがて、僕はお昼ご飯を家から持ってきてその景色を眺めながら食べるようになった。美しい景色を見ながら食べるお昼は最高に美味しかった。
次は、朝ごはんとお昼ご飯、その次は朝ごはんとお昼ご飯と夜ご飯。
僕が、この景色と過ごす時間はだんだんと長くなっていった。また、僕の人生の歩んだ道のりもだんだん長くなってきていた。
朝、目覚めると僕はすごく気分が良かった。
パジャマから服に着替え僕は、ごはんの支度もせず
絵の道具だけを片手にあの景色の所へ歩いていった。
僕は、ご飯を食べるのも忘れて絵を描くことに没頭した。絵が完成した頃にはもう、太陽が沈む1歩手前だった。完成した絵を見て僕はうっとりした。
とても、美しい絵だった。今まで書いた絵の中で1番あの景色を再現できた絵だった。
僕は、この景色との仲が深まったような気がした。
そして、僕の人生のトンネルも深い深いところまできてあと少しで抜けそうなところまで来ていた。
ある日、いつもより遅く目覚めた僕はベッドから起きてすべてを悟ったような気持ちになった。
僕は、ゆっくり朝の支度をしたそしてゆっくりとあの景色の場所へと向かった。あの絵だけを抱えて。
ふと僕は、もっとこの景色に触れたいと思った。
今まで少し離れた場所で見ていた景色の中へと1歩踏み入れた。そしてそこに仰向けで寝っ転がった。
僕は、あの絵を抱きながら目を瞑り人生で感じたことの無いほどの太陽の温かさを全身に感じながら眠りについた。僕の人生の駅はもう終電まできていた。

🕊 𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸 💗

11/25/2022, 11:23:43 AM