お題 逃れられない
「しょうがないよ。逃れられない運命なの。」
なんで、諦めてしまうんだ。
まだ助かると思わないのか。
「今まで沢山沢山頑張ってきたけど、
どうにもならなかったんだもん。」
それは、確かに僕には想像できないほど頑張ったのだろう。
でもさ、まだ諦めないでよ。
無意識に涙がこぼれる。
ちょっと前の頃よりの痩せた君が困ったように笑う。
そんな彼女の声が今にも泣きそうなのが
余計に悲しくなる。
「きっとまだ時間はあるからさ、いっぱい思い出作ろ?」
君と思い出を作れることは嬉しい。
でも今後、そこに行くことが怖くなりそうだ。
君とのことが全て思い出になることが怖い。
「大丈夫。怖がらないで?我儘なのはわかってるけど
私の最期は君といたい。」
まっすぐこっちを見て言われて、思わず目を背けた。
「だめかな?」
首を傾げて悲しそうな顔をする君。
あぁ、そんな顔をしないでくれ。
君にはいつも笑っててほしいんだ。
『いいよ。わかった。作ろう。2人だけの思い出。』
あんな顔をする君に言われたら
こうなることからは逃れられない。
僕たちは今日も定められた運命の中で生きているのだ。
お題 透明
「ねーね?透明って何色だと思う?」
こいつはいきなり何を言い出すんだ。
透明は色がないから透明なんだろ。
「私はね、透明大好きなんだ。」
そもそも透明について考えるなんて
やっぱりこいつはどこか普通と違う。
「私たちが普段見ているものって色があるもの
ばかりでしょ?だって色がないものは見えないし。」
それはそうだ。存在感が全くないと思う。
「でもそれはさ、色があるものばかりが目立ってるだけで
窓とか風とか透明は必要な色なんだよ。」
そういうものなのか。
「そこにあるのが普通すぎてみんな意識していないだけ。」
意識してないんじゃ可哀想だな。
「透明って、君と同じだと思うんだ。」
どういうことだよ。
「クラスでは陽キャばっかり目立つから、いつも教室にいた
君は、そこにいるのが普通すぎて意識されてなかったね」
さらっと酷いこと言うな。
「それでも細かくても大事なことをいつもやっていた君は
クラスでは必要だよ。」
気づいてたのか。
「それにさ、」
まだ何か言う気か。
「私の大好きな色だし!」
またそんなことを言う。
僕も同じ気持ちだ。
早くそう言いたいのに、
今現在意識のない僕にはどうしようもできない。
数週間前に事故にあった。
そこから僕の意識はずっと戻っていない。
そんな少しの反応もできない僕に、君は毎日こんな話を
するためこの病室に通ってくれている。
あぁ、本当に早く君の顔を見たい。
君の目を見ながら、君に好きだと伝えたい。
早くそんな日が来ることを今日も心から願っている。
お題 突然の別れ
別れは突然やってくる
人間の命なんてとても儚い
生きていることの方が奇跡である
だってそうだろう?
この世にはまだまだ解明されてないことが多くある
そんな未知で不安定な世界で今日も生きている
不安定な世界で今日も明日の奇跡を信じて生きている
お題 恋物語
いつからだろう
同年代の子達が思い描くような恋物語を
想像できなくなったのは
なんで私だけ、いつも綺麗な恋をできないのか
私が汚れてるのだろうか
それとも、同性と馴染むことが出来ない私への罰なのか
クラスの女子がかっこいいと騒ぐ男子は、私の友達
でも友達と思ってるのは私だけのことも多い。
この学生という年代は厄介で、多くの人が常に異性を
意識している
女性の私は男性と友達になることは難しい。
すぐに意識されてしまうから。
喋ってるだけで、みんな好きと勘違いしている
自惚れではない。
自慢したい訳でもない。
そもそもこれは自分にとっていいことだとは思ってない。
本当に私の事好きになってくれる人に出会いたいし、
軽く好きになってくる人はあまりタイプでは無い。
だから私はみんなみたいに幸せな恋物語をつくれない
でもいつか、本当に私を私として好きになってくれる人に
出会えたらいいな
お題 真夜中
窓を開け、感じるのは冷たい風。
現在の時刻は25時
聞こえるのは風の音と虫の鳴き声くらい。
はぁ。
今日も疲れた。
もう全部全部全部全部疲れちゃった。
25時から27時が唯一の救いの時間。
世界がしーんと静まって時間が本当に進んでるのかも
分からないような時間帯。
何をするかは決まってない。
本を読んだり、動画を見たり、遠くを見たり。
時々、不意に涙が流れ出したり、死のうとしたり。
死ぬ気は…多分ない。
でもどうしても、うんと死にたくなる時がある。
そういう時は、1回死のうとする。
首を吊って、苦しくて、苦しくて、気持ちよくて。
本当に死んでしまいたくなる。
でも、浮かぶ家族の顔。
私の家族はとてもいい人。
死のうと思うような人間とは思えないほど
きっと幸せな生活をしている私。
それでも、急に苦しくなる時がある。
幸せなくせに死にたがる自分が大嫌い。
嫌い嫌い嫌い嫌い嫌いだいっっきらい!!!
死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに
あぁもう、やだ。
自分で書いた日記を読んで、また落ち込む。
こんなの自爆だ。
それでもやめられない日記を書くという行為。
これは私の生きる術。
どこにも吐き出せない思いを、罪のないノートにぶつける。
こうして今日も生きている。
なぜ生きてるのかはわからない。
いつまでこんな日が続くのかな。
この時の私は、約2週間後に人生を変える大きな出会いを
して、日記の内容がガラリと変わることを知る由もなかった