ににににににに

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7/15/2024, 7:27:08 AM

#手を取り合って

最後に手を繋いだのはいつだったかな
幼稚園の頃は、繋いだら繋ぎ返してくれて
小学生の頃は、手を握っても握り返してはくれなくて
中学生の頃は、繋ぐこともできなくなって
それから、俺から手を繋ぎに行くこともしなくなった

手を繋ぐことで人の暖かみを感じれるのが好きだった
恋愛的な気持ちで手を繋ぎたいとは思ったことなかったけど、手を繋ぐことで周りからからかわれ、変に噂がたつのが嫌だったのだろう。いるまは。
それが分かってたから、手を握り返してくれなくても、繋ぎさえさせてくれなくても、何も言わなかった

特に、いるまに固執するほどの事でもないし。
そもそも、ただの幼馴染で腐れ縁みたいなものだ。いるまは俺のこと「嫌い」らしいし
他の人と手を繋げばいいや、という雑な考えだった

___

「あれ、いるま?」

「ん、あぁ、らんか」

「帰り?一緒に帰ろーよ」

「いいけど」
そう言っているまは、さっきまで付けてたイヤホンを外す
嫌いな割に、いるまは俺に優しい
他愛のない話をしながら、ゆっくりと帰路につく
ふと、いるまの手が俺の手に触れた気がして、つい癖で指を絡める。いるまの体がびくつき、俺もいるまの手を握りしめていた事に気付く

「あ、ごめん。つい癖で」
そう言うと、眉をひそめるいるま
あぁ、そういえばこいつ、俺のこと嫌いだったな、早く離した方がいいか
絡ませていた指をゆるめ、手を離そうとすると、珍しいことにいるまの指が俺の手を握り返してくる
思ったよりも大きくてごつごつしていて、"昔の手じゃないな"なんて思うと同時に、昔よりも暖かいなとも思う
人の暖かさと言うより、熱っぽい暖かさのような気もするけど
いるまの顔を見ようとしても、いるまは俺がいる逆側を向いて、俺からは赤くしたうなじと耳だけが見える
「俺ね、いるまと手を繋ぐのがいちばん好き」

それには特に意味はなくて、ずっと小さい頃から一緒で、ただ落ち着くと言うだけの意味を込めていた
それはいるまも分かっていたはずなのに、思ったよりもこっちを見たときのいるまの顔が赤くて、つい笑ってしまう
あぁ、そういうことね。なんて下手くそな照れ隠しだったんだ、可愛いところもあるな。…だからと言って、俺にいるまへの恋心が芽生える訳ではないけれど。まぁ、いるまが俺を落としてくれるまで遊んであげようかな

7/13/2024, 1:19:24 PM

#優越感、劣等感

笑う顔が可愛くて、やさしくて、強くて、そんな桃乃ちゃんが好きだった。初恋で、今でもずっとずっと好きで…
幼馴染だからこそ見れる桃乃ちゃんの姿に優越感とか、抱いてたのに
「私ね、彼氏できたの」

「…は?」

「だからぁ、彼氏できたの、私」
別に、想いを伝えるつもりはなかったし。桃乃ちゃんすごい可愛いしモテるし、いつかはこんなことがあるとは思ってたけど、
あまりにも急で、頭が追いつかなかった

「お、おめでと…」
ちゃんと喜ばないといけないのに、心から喜べてないのが分かる
これから、桃乃ちゃんの1番はあめてゃじゃなくなるの、、?
桃乃ちゃんの性格的に、彼氏を優先してあめてゃを蔑ろにすることはないって分かってるけど
…桃乃ちゃんの彼氏が、彼女の桃乃ちゃんを知ってしまうのが、どうしようもなく嫌だった

___

「最近、彼氏とどうなの?」

「えー?ふふっ、」
桃乃ちゃんの隣が、あめてゃだけじゃなくなったのがわかる
あめてゃだけが見れた桃乃ちゃんの弱いところも、他の人には見せなかった泣き顔も、あめてゃが見たことない姿も、あの人が知ってるかもしれない
そんな考えが頭の中をぐるぐるして、少し劣等感をおぼえる
こんなに苦しい気持ちになるなら、さっさと諦めればいいってことは自分でもよく分かってるけど
ずっとずっと、ずーっと大好きだったんだもん
簡単に、この気持ちを忘れることなんてできない

7/12/2024, 1:55:27 PM

#これまでずっと

これまでずっと、俺は何をしてたんだろう
なにを見て、なにを聞いて、なにを知ったようになってたんだろ
全部全部、ひとつも、なにも、わかってなんかなかったのに
「ごめん、、」

「んー?なにが?」
にこりと笑うすちくんの顔は、穏やかで優しくて、どこか胡散臭くて嘘っぽい
知らないふりしないでよ
そうやって知らないふりされると、今までのことが全部夢だったんじゃないかって思っちゃう
全部俺の妄想で、偽物で、あの幸せだった時間は幻だったんじゃないかって、
本当に、あったはずなのに…
俺のせい?すちくんのせい?…いや、俺のせいだよね、分かってる
俺はこんなにずるずる引きずって、"知らないふり"できないのに
すちくんは、何もなかったかのように、全て忘れてしまったかのように、"知らないふり"ばっかりで
本当に、ほんとうに、すちくんはひどいよ
、、おれのせいだけどね

「すちくん、すき…だったよ、?」
なぜか疑問形になってしまった俺の精一杯の告白

「ふふ、俺は好きだよ」
そう言って、また笑うすちくん
わかってるよ、すちくんの「好き」はそう言うのじゃないって
わかってる、それも。
すちくんがそういう笑いをする時は、なにかしようとしてるって。期待、させようとしてくれてることも
…これまでずっと一緒だったからわかるよ

ほんと、、なんでこれだけは分かっちゃうんだろうね

6/28/2024, 6:18:12 AM

#ここではないどこか

ここ以外、こさめには居場所がない
こさめだけが許された場所。らんくんの隣
こさめがこさめでいれるところは、ここだけ

「こさめは俺でいいの?」
なんて。そんなこと言って離れて行かないでよ?
らんくんは、ここ以外に居場所があるかもしれないけどさ

こさめは、らんくんの隣以外しらないんだよ

6/27/2024, 7:16:55 AM

#君と最期に会った日

「ねぇ、俺の最期どうだった?」
「かっこよかった?」
なんて聞いてくるこいつを、今すぐにでも殴って、叱ってやりたい

「かっこよかったって、何」
そう言って睨むと、らんはどこか誤魔化すように笑う

「あはは、ごめんって。冗談だって」
鬱陶しい。らんのイヤリングを探してやってるのに
「なんで帰らないの?…もう人は居ないからって危ないよ」
ふよふよ俺の周りを飛んで話しかけてきて、なんだこいつ。いいから俺から離れてくれねぇかな
「ねぇねぇ、いるまー」
らんが顔を覗き込んできて、思わず仰け反る
「………」
「いるま、大丈夫?」

「るっせ…」
だから早くどっか行って欲しかったのに
「お前、どこにいんだよ…、早く教えろよ」
そう言って、らんを避けてまた前に進んでいく

「言わないよ」
「いるま、泣かないで」
らんの顔が見れない
「ねぇ、いるま」

「あ、」
いた、いた、居た
らんが。
急いで駆け寄って、身体を起こす
イヤリングも外れてなかった。らんの耳からイヤリングを外して、ポケットにいれる

「あー、みつかった」
「………ねぇ、いるま。はやくもどして」
後ろから今にも泣いてしまいそうな、らんとは思えない声が聞こえて振り返る。
「あ゙ー、もうやだなぁ」

「…は、、。なに、らん?」
さっきまであんなにのんきそうに話しかけてきたのに
…いや、演技だったのかもな。

「ごめんね、ごめん。泣いちゃって」
「それ、俺なはずなんだけどなぁ…俺じゃないみたいで」
「早くおろして、、ほしい」
ぼろぼろと涙を流すらんの手を握ろうと、手をのばす。
ふっ
「もう、しんでるんだよ。俺」
そう言って泣いて笑うらんの顔は、見ていられなかった。抱きしめたいのに抱きしめられない

「…ごめん、らん…」

「自分でやったことだし、いいよ。それは」
「………」
「もう、抱きしめてもらえないのはかなしいかも」
もういくら手を伸ばしても、掴もうとしても手はただ空をきるだけ
「おれ、かっこよかった?」
そう笑いながら消えていってしまいそうならんに、「かっこよかったよ」なんて言えるかよ、ばか

「かっこよくなかった」
そういうと、目を見開いて泣きそうに笑うらん

「だよね」

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