#君と最期に会った日
「ねぇ、俺の最期どうだった?」
「かっこよかった?」
なんて聞いてくるこいつを、今すぐにでも殴って、叱ってやりたい
「かっこよかったって、何」
そう言って睨むと、らんはどこか誤魔化すように笑う
「あはは、ごめんって。冗談だって」
鬱陶しい。らんのイヤリングを探してやってるのに
「なんで帰らないの?…もう人は居ないからって危ないよ」
ふよふよ俺の周りを飛んで話しかけてきて、なんだこいつ。いいから俺から離れてくれねぇかな
「ねぇねぇ、いるまー」
らんが顔を覗き込んできて、思わず仰け反る
「………」
「いるま、大丈夫?」
「るっせ…」
だから早くどっか行って欲しかったのに
「お前、どこにいんだよ…、早く教えろよ」
そう言って、らんを避けてまた前に進んでいく
「言わないよ」
「いるま、泣かないで」
らんの顔が見れない
「ねぇ、いるま」
「あ、」
いた、いた、居た
らんが。
急いで駆け寄って、身体を起こす
イヤリングも外れてなかった。らんの耳からイヤリングを外して、ポケットにいれる
「あー、みつかった」
「………ねぇ、いるま。はやくもどして」
後ろから今にも泣いてしまいそうな、らんとは思えない声が聞こえて振り返る。
「あ゙ー、もうやだなぁ」
「…は、、。なに、らん?」
さっきまであんなにのんきそうに話しかけてきたのに
…いや、演技だったのかもな。
「ごめんね、ごめん。泣いちゃって」
「それ、俺なはずなんだけどなぁ…俺じゃないみたいで」
「早くおろして、、ほしい」
ぼろぼろと涙を流すらんの手を握ろうと、手をのばす。
ふっ
「もう、しんでるんだよ。俺」
そう言って泣いて笑うらんの顔は、見ていられなかった。抱きしめたいのに抱きしめられない
「…ごめん、らん…」
「自分でやったことだし、いいよ。それは」
「………」
「もう、抱きしめてもらえないのはかなしいかも」
もういくら手を伸ばしても、掴もうとしても手はただ空をきるだけ
「おれ、かっこよかった?」
そう笑いながら消えていってしまいそうならんに、「かっこよかったよ」なんて言えるかよ、ばか
「かっこよくなかった」
そういうと、目を見開いて泣きそうに笑うらん
「だよね」
6/27/2024, 7:16:55 AM