Open App
6/27/2024, 9:19:34 AM

桜吹雪に霞みゆく君に
消えないでと髪を引いた
向日葵畑に隠れる君に
行かないでと袖を引いた
色付く葉々に迷う君に
一人にしないでと裾を引いた
白い無音に溶ける君に
一人で行かないでと足を引いた

でも
二度と戻れぬ覚悟をさせてしまうなら
飲み込んだ恐怖が笑顔を形作るなら
硝煙と血香の中で相対するくらいなら

甘ったるい我儘なんて噤んで
空が青く世界が美しい内に
この手を離すべきだった

‹君と最後に会った日›

6/25/2024, 10:40:56 AM

触れれば散る様な儚さであれば
君は隣にいてくれただろうか
見えずとも明白な馨しさがあれば
君は隣で安らいでくれただろうか
甘く満たす果を粉を振り撒けたなら
君は隣で笑ってくれていただろうか

それでも私は凛と立つ
嵐にも折れぬ万年花
緑の影に誰をも守る
強く鮮やかな花でありたい

‹繊細な花›

6/25/2024, 9:12:01 AM

「あの日だって、最後まで楽しくて」
「でも在り来りに色褪せる思い出になると」
「……思ってたんだよ、馬鹿」

‹1年後›


眩しく温かな未知と
ちょっとだけ暗く怖く
美味しい楽しさと
苦手な嫌い
痛むような暑さ寒さも
柔らかな影に隠れて
伸ばされる手の柔らかさに
愛し合いされること

素敵な世界だと
思ってた

‹子供の頃は›

6/22/2024, 1:59:03 PM

ぺたりと机に頬をつけた。
窓から降り注ぐ日差しと賑やかなグラウンド。
目を閉じていれば今にも、
君がペン先で突付き起こしてくれそうな。
そんな柔らかな昼下がり、

だったら。

がらんとした教室で
荒れ放題の教室で
取り止めなく独り夜を待つ
太陽光に燃え尽きる人たちを
その悲鳴に耳を塞いで

‹日常›


「夜みたいな色が良いの」
「暗いけど澄んでいる、重たくて華やかな色」
「それを」
「何という名で呼ばれ括られているのか」
「私にはどうも分からないけれど」

‹好きな色›


「愛ってなんだろう」
「守り支えるってなんだろう」
「君の為に何が出来るだろうって」
「この間まで何にも悩まなかったのにさ」
「一人なら何でもなかったのにさ」
「笑ったり泣いたり、楽しそうだったり」
「……あと、たまにはね、怒ってたりとか」
「そういう全部、君との全部」
「最後まで全部、傍で見ていたいって」
「……何だか照れくさいけどね」

‹あなたがいたから›

6/20/2024, 11:29:34 AM

頭を傾けて空を伺う、その裾を引いた。
濡れるから、と引き込んだ傘の下、
僅か泣きそうに表情が歪んでいた。
雨が降ってるよ、と震える口元、
そんなの良いからとその目を覆った。
まだ降っているんだよ、と傾く頭、
それでも良いからと掬い上げた。
そんな事言うから、そんな事言うから、
ほら、罰が当たってしまったよ、と。
水溜りに泥を染めて、表情が消えていく。
可愛い可愛いてるてる坊主、
頸を落とされ雨に沈む。

‹相合傘›

Next