やまんば

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7/21/2025, 3:55:23 PM

 息苦しい夜にベランダに出てみるとする。誰もいないのに信号機が、一生懸命自分の役目を果たしている姿をみると安心する。
 一番光ってる星と一番光ってない星を見比べると安心する。
 自分は一番光ってない星を追いかけていたい。周りからは、おかしいと笑われるかもしれない。
 それでも劣等感を少しでも和らげてくれる存在が空にあることが嬉しく思う。そんな瞬きをすると見失うほどの静かな星に、私は願いを込めてみたりする。

/星を追いかけて

7/20/2025, 4:17:08 PM

 ほんのり死にたくなる夜が時々ある。
 人生が変わるのが怖くて、でも変わらないのも怖かった。どうせ死ぬ勇気もないから生きるという道を選ばざる得ない環境に、選択肢すらも増やせない自分がまた嫌いになった。一生この自分と生きていくのが嫌で、でも今更誰かになりたくもなかった。
 自分にとっての「生きる理由」は「死ねない理由」と同義だ。そこに綺麗事はどこにもない。
 今を生きることは、死ぬ時間を遅延しているだけに他ならない。
 明日のドラマだとか、期間限定スイーツだとか、来月のライブだとか、そういうものを生きがいとよんでみたい。
 私もみんなみたいに日常を、テレビを、友達を、推しを、「今を生きる理由」にしたかっただけなのに。
 わたしはいつもうまくいかないね。みんなと同じになれないね。

/今を生きる

7/17/2025, 2:01:30 PM

 揺れる木陰がふたつの影を吸い込んだ時、俺は一世一代の勇気を出そうと思う。

/揺れる木陰

7/16/2025, 8:11:45 PM

 久しい友人に声をかけられたはずなのに、目を開けるとそこはソファーの上で、あぁ夢だったんだと理解するのに数秒の時間を要してしまった。
 それは、眩しくて楽しくてどこか儚げだった。

 真昼の夢はいつもすぐに忘れてしまう。それなのにあの嬉しそうな友人の顔を今も輪郭まで思い出せてしまうのが、私は少しだけ不思議だった。

/真昼の夢

7/14/2025, 12:22:10 AM

 今、目の前に広がる景色があるのならばそれを信じてみても良いと思う。今の時代、含みを持った言い方や見えない部分を察しないといけないような風潮があるけれど、たまには自分の瞳にのみ映る時間を信じてみても良い。
 例えば、目の前ののとびきり笑顔や雄大な自然、撫でられた手の体温、携帯の中の文面。
 察せなくても、相手の意図を深く読み取ろうとしなくていい。隠されている真実は、無理に知ろうとしなくていい。そこに拭いきれない人間としての味がうまれるのだから。

/隠された真実

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