かたいなか

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3/10/2026, 6:47:01 AM

前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
都内在住の稲荷子狐が、週休完全2日制でもって、ここに修行に来ておりました。

元々子狐は東京で、稲荷の御利益たっぷりのお餅を作って売って、人間社会を学んでおりましたが、
去年の夏だか秋のころ、頑張りが認められたので、今月1日から管理局の仕事を手伝っておる次第。

そんなコンコン稲荷子狐ですが、
前回投稿分で「自分以外の料理人の視点」という新しい価値観を見出して、
ちょっと、感動などしておったところ。
新しい就業場所、新しい世界に来たならば、新しい調理方法やアプローチに出会って吸収して、
そして、新しい稲荷餅を発明しても良いでしょう。

「べつの、りょうり!べつのシテン!」
元々子狐は子狐なので、好奇心は旺盛です。
子狐は今日1日のお手伝いを終えますと、
スケッチブックとお気に入りの桔梗色のクレヨンを持ちまして、とってって、ちってって!
管理局の中で子狐の世話などしてくれる優しい局員たちのハナシを、聞きに行くことにしました。
「キツネ、べつのシテン、さがす!」

まず最初に話を聞きに行ったのは、管理局の局員たちに美味しい食事を提供している食堂です。
「りょうり、りょうり!おはなし教えてください」

「なんだぬ?料理のハナシだぬ?」
緑のエプロンした料理人もとい料理タヌキは、子狐の一生懸命なインタビューに対して、
自分の下積み時代に作ったまかない料理の数々を、
懐かしみながら、語りました。
「まかない料理は、食うにしても作るにしても、良い刺激になるモンだぬ。
余った食材で何を作るか、他のやつなら何を作ったか、いっぱいいっぱい、経験できるだぬ。

子狐。過ぎ去った日々は、経験になるんだぬ」

そうか。マカナイリョーリなるものは、良いケイケンなのだ。 コンコン子狐はぐりぐり。
スケッチブックにメモしました。
『マカナイリョーリはケイケン』

次に話を聞きに行ったのは、管理局が保護している「滅んだ世界から来た難民」たちに美味しい料理を提供してくれるカフェです。
「りょうり、りょうり!おはなし教えてください」

「あらまぁ可愛らし。お茶がよろしい?ホットミルクがよろしい?コーヒー?」
赤いスカーフした料理人もとい料理キツネは、子狐の一生懸命なインタビューに対して、
自分がそのカフェの先代から受け継いだ1皿の肉料理を、京都弁モドキでもって語りました。
「この煮込み肉はね、私の先代の、先代の先代の、そのまた先代の先代、3代目の店主の頃から、みーんなが守って、受け継いできたの。
もう3代目も4代目も、5代目も6代目も居らっしゃらんけど、煮込みを食べれば、いつでも会える。

子狐ちゃん。過ぎ去った日々はね、戻れるんよ」

そうか。料理を伝え続ければ、昔々の料理人と今でも会えるんだ。 コンコン子狐はぐりぐり。
スケッチブックにメモしました。
『スギサッタカコはアエル』

経験と、戻れる過去。
ふたつの価値観を見比べて、子狐はちょっと偉くなった気分になって、尻尾がパタパタぶんぶん。
更なるハナシを聞くために、移動します。
それから1時間2時間くらい、あっちこっちにインタビューして、いろんな過去を聞いて、
その日の子狐はぐっすり、よく眠れましたとさ。

3/9/2026, 4:52:19 AM

前回投稿分から続くおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
都内在住の稲荷子狐が、週休完全2日制で、ここに修行に出されておりました。

前回投稿分でコンコン稲荷子狐は、優しい管理局員に連れられて、
月夜グリルなるレストランで、美味しいディナーをたっぷり堪能。
全部ぜんぶ、子狐が本来住まう方の世界とは違うアプローチで調理されておったので、
好奇心旺盛な子狐は、終始、尻尾ビタンビタンのブンブンブンであったのでした。

ところでこの稲荷子狐
ちょうど修行の一環として、
餅売りなどもしておりまして。

「つ き よ、 つーきーよ、 グ リ ル」
月夜グリルから貰ってきたクリスタルタブレットに、グリルのパンフレットが映し出されます。
知らない世界の技術が使われておるらしく、
パンフレットは子狐でも読める文字、すなわち日本のひらがなと、カタカナと、
それから、分かりやすい言葉で表示されています。

稲荷子狐はコンコンコン、月夜グリルで食べた新しい食べ物の、極上の香りも至高の味も、
それはそれは、もう、たいそう気に入ったので、
パンフレットをスワイプしてスワイプして、料理の画像と3D映像と、それから説明とを楽しみます。
もはや別世界レストラン・月夜グリルのパンフレットは、子狐にとっての新しい絵本です。

知らない料理 知らない調理 知らないアプローチ
餅売り稲荷子狐の、自分とは違う料理人が持つ視点によって作られた美味は、
子狐に良い刺激を、もたらしたのでした。

「!!」
はっ! と子狐、まんまるお目々を光らせて、顔を上げました––
まさしくこのこと、「自分以外の料理人の視点」の大事さを、先日誰かに言われたのです!
メタいハナシをするなら、すなわち過去作3月6日投稿分あたりで!
なにやらミカン、特に文旦、水晶文旦あたりの香りがするオジ幽霊から!

『オジっ……まぁ、オジ……いやお兄さん……』
子狐がパックリおくちを開けて、いわゆるワカッタ体験の余韻に浸っておりますと、
もわもわドロン、例のオジ幽霊、自認お兄さん幽霊が、子狐に貸与された部屋へ入ってきました。
『月夜グリルへ、行ってきたんだね』
なんでもこの幽霊、子狐がここを貸与されるずっとずっと前に、ここに住んでおったとのこと。
料理が趣味だったそうです。

『自分ひとりじゃ思いつかない調理法と、いっぱい、出会えただろう?』
優しい笑顔でオジ幽霊が、子狐に言いました。
『いっぱいいっぱい、いろんな経験をするんだよ。
経験は、お金より大事なもの。
お金だけじゃ得られない、貴重なものなんだから』

「けーけん、 けーけん」
子狐は貰った言葉を繰り返しました。
「経験」
3月から修行に来ておった子狐は、その日ひとつ、修行の結果として偉くなった気がしました。

『ということで子狐くん。せっかくだし僕の料理も、経験として食べてm』
「ありがとオッサンあそんであげる」
『やめて待ってやめて、おしり噛まないでまってやmぶんぶんしないで!振り回さないで!!
おねがホントにまっおねgあふん。』

経験はお金より大事なものになる、可能性がある。
コンコン子狐はそれっぽい言葉を、ぐりぐり。
修行用のスケッチブックにお気に入りのクレヨンで、メモしておきましたとさ。

3/8/2026, 8:32:18 AM

前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
局内に作られた地球規模に広い難民シェルターの、
幅広く膨大に存在する様々な世界の飲食店の中の、
「月夜グリル」なる店は、
その区域の難民たちから、大事なイベントのときに行きたい高級店として愛されておりました。

「ようコそ、ようコそ。こんばンは」
月夜グリルの営業日と営業時間は、「月夜」グリルの名前らしく、月が見える夜の間。
予約必須のお店のドアを開けると、かつて昔に滅んだ世界からの難民宇宙アンモナイトが、満月の貝殻を光らせて、お客さんを迎えます。
「コードを拝見いタします。
はい、はい。結構デござイます。
初めてゴ来店の、ドワーふホと様」

さぁさぁどうぞ、こちらです。
不思議なチカラで浮く宇宙アンモナイトの、案内のとおりに進みますと、
予約した種族それぞれの「快適」に調節された個室に通されて、
そこは誰にとっても、暑過ぎず、寒過ぎず、丁度良い環境なのでした。

「おお。さすが月夜グリル。寒くない」
3人1匹で1組のお客様、規格外な寒がりさんが、防寒装備を全部取っ払います。
「ね〜。便利便利ぃ」
予約で名前を使ったお嬢さんも大満足。
扉の前に控えて周囲を警戒したがる彼女の専属執事を引っ張って、席に座らせます。

唯一1匹だけ獣の稲荷子狐は、寒がりさんにナプキンスカーフを結んでもらって、ご機嫌。
尻尾をぶんぶんぶん、超絶高速回転です。

予約の個室に到着して、お客が席についたら、宇宙アンモナイトのお仕事はそこで終了。
あとはその個室のルームマスター兼ルームシェフ、宇宙タコと交代です。

「今夜の料理は、ワタクシたちいわゆる宇宙軟体頭足類宇宙タコが客をもてなすときに振る舞う伝統料理を、アレンジしてご用意いたしました」
満月の頭を光らせる宇宙タコです。
タコだけに、ウデには自信があるそうです。

「もちろん、フォークもナイフも、スプーンもスティックスも用意はございますが、
我々宇宙タコは、料理の香りや味だけでなく、手触りも温度も楽しむ種族。
ご不快でなければ、手づかみでのご飲食も、ぜひ一度お試しください」

ではどうぞ。ごゆっくり。
大きく豪華なサーブワゴンでもって、いろんなご馳走がテーブルに、ところ狭しと並びまして、
ようやく、月夜グリルのディナータイム。

「パンが温かぁい」
「少し裂いて袋にして、具材詰めて食うらしいぜ。
俺様が入れてやるよ どれ詰める」

ナンに似た丸パンモドキを手にとって、パンナイフでモフモフ切れ目を入れたら、
あっちのチキン、こっちのディップ、そっちの謎花に不明野菜を挟んで、いただきます。
前菜サラダパンは、前菜のわりにボリューミーで、
ドワーフホトのお嬢さんも、食べ盛りの稲荷子狐も、もぐもぐ大満足!
なにより人間の料理と違う不思議な美味で、好奇心も一緒に満たされます。

「おいしい。おいしい」
「ね〜コンちゃん。おいしいねぇ」
「おい、このワゴン果実酒完備だぜ。ミカンの酒ねぇかなミカンの酒」

「おさけキツネものむ おさけちょうだい」
「おめぇは多分飲んじゃダメだろ」
「やだのむキツネおさけのむおさけ!ちょうだい」
「成人っつーか成獣になるまで我慢しろ」

「……」
「祟るな。 パンを油揚げにするな。 こら。
コンコンじゃねえわい。ダーメ。」

コンコンこやこや。ダメったらダメ。
月夜グリルの月夜ディナーは、明るく楽しくなごやかに、2時間くらい続きました。
「まタのお越しヲお待ちしてヲりまス」

稲荷子狐もお嬢さんも、寒がりさんも、おなかいっぱい––
ところでお嬢さんの専属執事が見当たりませんが、
そのへんはお題とは無関係なので、まぁまぁ、
次回のお題で明かされるか、ずっと放っとかれるか、気にしない、気にしない。 おしまい。

3/7/2026, 3:08:54 AM

明日投稿分のおはなしに、続くかもしれない物語。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
都内在住の稲荷子狐が、立派な稲荷狐となるため、今月の1日から修行に出されておりました。

週休完全2日制。日本でいう土日は修行も休み。
その日はちょうど、修行に来て最初の休日です。
コンコン子狐は管理局員専用の、食堂の使い方もだいぶ慣れた様子で、滋味深い朝食AセットとBセットとCセットを注文。
尻尾をぶんぶん振り倒しながら、幸福にそれらを胃袋へ、ちゃむちゃむ、ちゃむちゃむ。
大好きな味の順番に、収容しておりました。

そんな
ちゃむちゃむ食事中の子狐の
よく聞こえる耳にパッと入ってきたのが
まさかの東京で毎週毎週観ておった特撮風アニメ、
「管理局戦隊アドミンジャー」に関する館内放送。

『本日 午後1時から 管理局戦隊アドミンジャー最新話の 公開収録をおこないます。
最新話タイトルは 「分断の罠! キングマンダリン 絆の統合合体」です
観覧を ご希望のかたは 正午に 広報部企画課 企画・運営班 アニメ部門へ お集まりください』

世界線管理局で管理局戦隊アドミンジャーなるアニメの館内放送。
そうです。この厨二ふぁんたじー企業、広報の一環としてアニメ制作もしておったのです。
「あどみんじゃ!あどみんじゃーだ!」
しかもこのアニメ、普通に日本で放送されておりまして、子狐はアドミンレッドとブルーのファン。
「あどみんじゃー!」

公開収録が何を意味するのか、コンコン子狐知りませんが、ともかく管理局でアドミンジャーのイベントが開催されるそうです。
アドミンジャーが大好きな稲荷子狐としては、断じて見過ごすワケにはいきません
が、

コウホウブキカクカ キカク・ウンエイハン アニメブモンとは何でしょう?

「おねーちゃん! おねーちゃんに、聞こう!」
コンコン子狐はガツガツガツ!
大急ぎでAからCセットの朝食をたいらげて、
子狐のことを修行の前から知っている管理局員、収蔵部収蔵課のお嬢さん、ドワーフホトのもとへ飛ぶように、走ってゆきました––…

…––「あ〜!」
「なんだ。どうしたホト」
「そうだぁ、今日、アドミンジャーの公開収録!」

その頃の収蔵部収蔵課です。
持ち運び可能な高性能コタツ、Ko-Ta4の中でもにゅもにゅと、オレンジハニーナッツピザを堪能しておったお嬢さん・ドワーフホトです。
コタツの主・経理部のスフィンクスは、ドワーフホトが放送を聞いて、珍しく慌てますので、
こいつ、アドミンジャーファンだったっけ?
と首をかしげます。

「違うよー、コンちゃんだよぉ!
コンちゃんね〜、アドミンジャー、大好きなの」
「コンちゃん、ああ、ゆたんぽ!」
「スフィちゃん、温かいコンちゃん好きだもんね」

ピッピのピ。
クリスタルタブレットをドワーフホト公認執事、カモに繋ぎまして、メッセージを送信です。
カモはとっても優秀で、ハイスペックで、しかもドワーフホトのことをドチャクソに推しておるので、
ドワーフホトの頼みを全力で、聞いてくれます。

カモさんなら、コンちゃんの分の公開収録観覧優先チケットを、ゲットしてくれる。
ドワーフホトはカモより、大親友のスフィンクスの方が大好きでしたが、
しかし間違いなく、カモへの信頼と絆は、確固として持っておるのでした。

『カモさんおねがい』
『ご安心ください。既にホト様とスフィンクス様と、余分2枚のチケットを確保済みです。
観覧後は近くのレストラン・月夜グリルで、月夜ディナーをご堪能ください』
ほら見たことか(信頼と絆)

「おねーちゃん!」
ズザッ! ベストタイミングで子狐が、ドワーフホトとスフィンクスの居る収蔵部収蔵課に到着です。
「おねーちゃん!」
子狐にも、ドワーフホトとの確固たる信頼と、なにより絆が、存在しました。

「コンちゃん、おはよ〜」
ドワーフホトは全部ぜんぶ仕込み終えて、にこり。
飛び込んでくる子狐を受け止めて、頭も、背中も、優しく撫でてやりましたとさ。

3/6/2026, 3:57:48 AM

偶には、玉には、多摩には、田間仁は。
全部ひらがなのお題は漢字変換が容易で、いろいろイジれるというものですが、
結局、たまの贅沢とか、たまに見つかるとか、オーソドックスな物語をご紹介する物書きです。
「多摩には2羽ニワトリがいる」なるネタを置いておきますので、ご自由にお持ちください。
と、いう前書きは置いといて。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこに都内在住の稲荷子狐が、今月1日から修行に出されておりました。

ところでその稲荷子狐
修行にあたって管理局員のための
アパートモドキないし寮モドキの個室1部屋を提供されたのですが、
まさかのその1部屋に先日、自称子狐の前に部屋を使っていた先代ルリビタキなる幽霊が出まして。
なんならその日もドロンドロン、子狐がご利益たっぷりの稲荷餅を作ってる最中、
部屋の隠しキッチンに、入ってきまして。

「オバケさん、オバケさんだ」
ぺったん、ぺったん、もひとつぺったん!
稲荷神社に伝わる由緒正しい臼と杵で、コンコン子狐が餅をつきます。
「オバケさん、キツネ、今おもちをこさえてるの」
まだまだ子供の子狐です。なにより幽霊なんて、見飽きている子狐です。
死人が突然現れたって、怖くありません。
「ダメだよオバケさん。今日は、遊ばないの」

『いや、遊びたくて戻ってきたのではないんだよ』
先住民の野郎幽霊は、自分が作った隠しキッチンの機能だの道具だのの、案内をしたかったのです。
『子狐ちゃん、きみ、お料理が好きなんだろう。
僕も生前、料理が大好きだったんだ。だから』
だから、同じ料理好きの子狐ちゃんに、僕の秘密キッチンを使いこなしてほしいんだ。
幽霊は丁寧に説明しますが、
コンコン子狐、ちっとも聞きません。

『子狐ちゃん。 子狐くん。こぎつね』
「だめ、ダメ!キツネ、おもちこさえてるの」
『あのね。ちょっとだけで良いから、話を』
「ダメ!キツネ、いま、おててはなせないの」

『ほんのちょっとで良いんだ。
ほら、たまには自分以外の料理人の視点を』
「オバケさんキツネのハナシきかない。おしおき」

くわっ!コンコン子狐は一声吠えると、
狐の瞬発力でもって、がぶーっ!
野郎幽霊のおしりに、全力で噛みつきました!
「おしおき。おしおき」
『わぁわぁわぁ!やめて!とめて!ゆるして!』
そのまま子狐はブンブンブン、ぶんぶんぶん!
うるさい幽霊を高速で振り回して、ぽーん!
部屋の外に、放り飛ばしてしまいました。

「よし!」

たまには、自分以外の料理人の視点を。
飛んでった野郎幽霊のアドバイスは、その辺にひとまずポイチョです。
まずはお餅を作るのです。
「ぺったん、ぺったん、もひとつ、ぺったん!」
五穀豊穣商売繁盛、諸願成就に病魔退散、稲荷のご利益は多種多様。素晴らしいご利益なのです。

『あの……こぎつねくん』
「むっ」
『分かった、分かったから。待つから。
終わったら、言って……』
「よろしー」

ぺったん、ぺったん、もひとつぺったん。
コンコン子狐はホカホカつやつや、まんまるお餅にいろんな具を詰めます。
オーソドックス・スイーツのあんこから、惣菜お餅の可能性を追求したチーズまで。
いろんなお餅をこさえて最後に、稲荷のご利益をひと振り、ふた振り。

「できた!」
『そうか、良かった。じゃあ僕の話を』
「売ってくる!」

『こぎつねくん……』

いってきます。コンコン子狐は尻尾をぶんぶん。
お餅をカゴに入れて、キッチンからログアウト。
隠しキッチンには先住民であった野郎の幽霊が、ひとりポツンと約3時間、取り残されましたとさ。

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