かたいなか

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3/2/2026, 4:15:00 AM

2023年の3月から投稿開始したこのアカウントも、とうとう4年目。シーズン4の始まりです。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこに都内在住の稲荷子狐が、立派な御狐となるため、修行に出されておりました。

期間は最短1年程度。
稲荷狐の不思議なチカラで、管理局の仕事のお手伝いをしながら、いろんな勉強をするのです。

今日のお手伝いは、滅んだ世界からこぼれ落ちたチートアイテムを保管しておる「収蔵部」。
管理局に収蔵されておるところの、解錠困難なチートアイテムを解錠するのです。

「えい!えい!」
コンコン、稲荷子狐が、鍵を失った施錠アイテムに、稲荷秘術を振りかけます。
稲荷狐の四宝のひとつ、稲荷狐の鍵は神秘の鍵。
商売繁盛諸願成就、五穀豊穣神秘開運、困難打開の鍵にして、あらゆるロックを外します。

秘密、財宝、ドアに記憶。
狐が知りたいと思えばそれこそお題のように、
表面に決して出してはならぬ、食欲金欲ダイエット欲、その他諸々の欲望までも。
稲荷狐の鍵の前に、隠し事はできないのです。

「えい!えい!」
まだまだ稲荷狐のひよっ子なので、秘術のチカラはまだまだ弱い子狐ですが、
これも、立派な御狐になるための修行です。
一生懸命秘術を使って、成功率を上げてゆきます。

コンコン稲荷子狐の修行1日目の朝は、
半分くらいお仕事を残して、終わりました。

ところで狐というものは
特に子狐は食欲旺盛のやんちゃっ子でして。

「おしごと、おわった、おわった」
とってって、ちってって、
お昼ご飯の時間になりましたので、コンコン子狐は管理局の優しいお嬢さんに連れられて、
とってって、ちってって、
廊下をすれ違う別の局員から挨拶を受けたり、頭を撫でてもらったり、おなかを撫でてもらったりしながら、管理局員専用の食堂へ向かいます。

「ごはん!」
世界線管理局は、ガチモンの多種多様組織。
人間だけでなく獣人も、妖精に幽霊も勤務中。
なんなら宇宙タコに深淵スライム、ゴーレムなんかもオンデューティーです。
そんな管理局の局員食堂は、美味がいっぱい!

「ごはん、ごはん!」
コンコン稲荷子狐は、朝にいっぱいお手伝いをした分だけ、まさしく「欲望」に従って、
しかし事前に注文方法は勉強しておりましたので、
アレくださいコレください、そこからそこまで1個ずつくださいと、尻尾ぶんぶん。
あらゆる子狐にとっての美味を、注文しました––

––…そんな子狐のグルメ探訪の裏側で
数時間前、管理局の局員食堂では、壮絶っぽいドラマが繰り広げられておりました。
せっかくなのでそちらの「欲望」のおはなしも、
すなわち食欲に立ち向かう者たちのおはなしを、
ひとつ、ご紹介しましょう。

『ランチ担当の諸君。おはようだぬ』
お昼ご飯の数時間前、管理局員専用食堂の厨房は、
いつもより大量の食材を並べて、物語の最終決戦に挑もうとしている精鋭たちのような空気でした。

『今日から管理局員に、1匹、食べ盛りの稲荷子狐が増えるだぬ。
責任者の法務部執行課からは、ホト級と同等、ないしニア・ホト級の食いしん坊との情報が、既に厨房に届いてるだぬ』

おお……。
厨房で調理を担当する、緑のエプロンをしたタヌキたちから、声が漏れます。
彼等には「ホト級の食いしん坊」という言葉の意味が、分かるのです。
それはドチャクソに規格外な食いしん坊であることを意味しておるのです。

『諸君』
厨房長タヌキが、前に出て言いました。
『諸君。我々は局員の食欲に対して、美味を提供するのが職務だぬ。
我々は欲望に、屈しては、ならないのだぬ。
よって今日は、まず相手の食いしん坊指数を見極めるため、キツネたちにも協力を要請したぬ』

どうぞ。入ってくれ。
厨房長タヌキの言葉とともに、ぞろぞろ!
稲荷子狐の欲望と対峙すべく、難民シェルターで個人レストランをそれぞれ経営しているキツネたち、
赤いコックスカーフを巻いたキツネの精鋭たちが、
食堂に集合したのでした。

『諸君!まずは今日1日!
巨大な欲望に、共に立ち向かうのだぬ!!』

おう! おお! キューン! くわぁー!
緑エプロンのタヌキと赤スカーフのキツネは皆みんな、共通の課題を前に、
大きな欲望に立ち向かってゆくのでした……

3/1/2026, 4:18:29 AM

本日3月1日で、連載風で続けているこのアカウントも、初投稿からまるまる3年。
日数としては1096日。まったく遠くの街というか、遠くの投稿期間まで来たものです。
と、いうハナシは置いといて、3年目最後のお題のおはなし、はじまりはじまり。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
その敷地内には文字通り、地球規模にデカい移民シェルターが、
主に、滅んだ世界からこぼれ落ちた難民のために、
美しい自然と豊富なレクリエーション、レジャー施設と多種多様な住居環境が、
それぞれ、用意されておりました。

「きしゃぽっぽ!きしゃぽっぽ!」

今回のお題の回収役は、新しく難民シェルターの使用を期限付きで許された、都内在住の稲荷子狐。
立派な稲荷狐になるために、管理局に最短1年、週休完全2日の、修行に出されたのです。

「きしゃぽっぽ、たのしいなあ」

稲荷子狐はコンコン、シェルターの中に作られた、局員専用寮の山間タイプに移動中。
滅んだ世界のチート技術で整備された、滅んだ世界の蒸気機関車風レトロ列車で、
どっどっど、ゴシュゴシュゴシュ。
遠くの街へ、向かいます。

「あら、新しい難民さん?」
難民シェルターで難民人生をドチャクソに謳歌しておるウサ耳獣人と、
「えろう災難じゃったべの。けんどココに来れば、もう安心だきゃん」
同じく難民シェルターで難民タコ生をバチクソ謳歌しておる宇宙スライムが、
それぞれ翻訳機を使って、子狐に話しかけます。

「キツネ、ナンミンじゃないもん。
キツネ、カンリキョクに、しゅぎょーに来たの」
子狐は尻尾をぶんぶん!
宇宙スライムとウサ耳獣人のボックス席に行って、
くんくん、くんくん。魂の匂いをかぎました。

わあ、人間じゃないぞ。
子狐は思いました。
東京と違って、人間じゃないひとが、そのまんまの姿で何も隠さないで、汽車に乗ってるぞ。
本当に遠くの街へ––遠くの世界へ来たんだなぁ。
都内在住の稲荷子狐はコンコン、新しい世界に心を踊らせました。

どっどっど、ゴシュゴシュゴシュ。
レトロ列車は子狐と、その他の乗客たちを乗せて、山間ルートをゆっくり走ります。
人間じゃない乗客が乗っている車内、東京では見かけない木々に大きな大きな河川と花畑。
キラキラお目々で車窓を眺めておると、子狐は山の中に開けた屋外キャンプ施設で、
誰でしょう、すごく見慣れた野郎1人とヒョロヒョロ見知らぬお兄さん1人が、ドラム缶風呂など体験しておるのを見つけました。

「なんだ、なんだ」
「難民と管理局員が無料で使えるキャンプ場よ。
坊や……お嬢ちゃんかしら?子狐ちゃんも、申し込めば使えるのよ」
「ちがう、あれ、アレ。なぁに」
「そこの滝行してるマッチョふんどし?」
「ちがう。ちがう。あそこ」

コンコン子狐が聞きたいことは、ことごとく聞けなかった道中ですが、
それでも、いろんな景色を見て、いろんな車内サービスを楽しんで、おしゃべりもいっぱい。

だいたいそれから1時間程度列車に揺られて子狐は、ようやく自分の新しい住処がある遠くの街へ、
ゆっくり、ゆっくり、到着しました。
ここから1年、子狐の修行が始まるのでした。
ここから1年、子狐の冒険と探検と、お仕事の手伝いと美味探訪が、始まるのでした。

2/28/2026, 3:10:03 AM

前回投稿分に繋がるおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこでは管理局に勤めている不思議なハムスターたちが、ギーギー!ちゅーちゅー!
複数匹して小さなデモ行進をしていました。

というのも明日、
すなわち来月から
ハムズの天敵たるキツネが最短1年
管理局に「修行」の名目で解き放たれるのです。

子狐です。好奇心旺盛です。
まだまだ我慢を知らないお年頃です。
ハムズの基本的鼠権を侵害してはなりません
(現実逃避)

「我々ハムスターの!
安全に仕事をする権利を守れー!」
ギーギー!ちゅーちゅー!
先頭をトトトト歩くのは、法務部所属のハム。
ビジネスネームをカナリアといいます。

「狐の横暴を許すなー!」
ギーギー!ちゅーちゅー!
カナリアの後ろをタタタタ歩くのは、カナリアと同じく法務部所属のハム。
ビジネスネームをムクドリといいます。

「配慮を!我々ハムスターへの、配慮を!」
ギィー!ギィー!
ムクドリの後ろをトタトタタ歩くのも、カナリアやムクドリと同じく法務部所属のハム。
そうです。彼等は皆みんな、同じ法務部、同じ執行課実動班、特集情報部門の職員なのです。

なんなら修行に来るという子狐の、責任者としての部署が法務部執行課実動班、特殊「即応」部門。
すなわち自分たちのご近所部署でして。
「狐の受け入れ延期を!受け入れ延期を!」
「暴力ハンタイー!!」

2匹して横断幕を咥えたり、背中に旗を括り付けたり、ハムズのデモ行進は本格的。
あらあら可愛い。人間局員や理性と常識ある肉食獣人局員たちが、行進を見守ります。

可愛らしくもドチャクソ必死なデモ行進に参加せず、自分の仕事を虚ろ目で続けるのが、
今回のお題回収役ハム、ヒクイドリです。

「ああ、今日も平和だな」
現実逃避ハム、ヒクイドリの担当は、管理局内に作られた全世界図書館の分館、通称「図書室」。
ここの室長をしておるのです。
「カナリアたちは、仕事をしてるだろうか」

ヒクイドリにカナリアたちの叫びは聞こえません。
聞こえないったら、聞こえません。
いまヒクイドリの耳は、圏外なのです(現実逃避)
近距離の無線波でお送りしています(お題回収)

図書室に生息して一緒に仕事をしている魔法生物たちは、虚ろ目ヒクイドリが珍しくて興味津々。
おちょくりに来てはヒクイドリに、仕事しろと小突かれています。
チチッ、チチチ、魔法の木ネズミなどはモフモフ尻尾をピラピラしながら、ヒクイドリにちょっかいを出しておりました。

「知らん。知らん。俺は何も聞いてない」
ウソつけ、ウソつけ。チチチ。
「お前もサボってないで、やることをやれ。
昼休みはもう少し先だぞ」
現実逃避が見えてるぞ室長。チチチ。
「おいそこ、なにをしてる。扉を閉めろ。今は妙なパレードを見る時間じゃないぞ」

仕事しごと。ああ、シゴト。
不思議なハムスター、ヒクイドリは現実逃避中。
その逃避はだいたい2時間程度、続きましたとさ。

2/27/2026, 4:38:08 AM

「君は今!
カントーちほうへの だいいっぽを ふみだした!」
26〜7年前に御三家の水タイプを連れて冒険したのが、懐かしい思い出の物書きです。
手持ちに某バイオな危機のキャラ名を付けておったのも、懐かしい思い出。
というハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまりはじまり。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
来月からその組織に都内某所在住の稲荷子狐が、最短1年の修行に出されることになりました。

体験入学ならぬ、体験入局も無事終了。
お母さん狐やお父さん狐、おじいちゃん狐におばあちゃん狐を含めた面談・相談もスムーズに、
契約手続きまで全部終わりまして、
ちょっと早めに、ささやかな入局式が、稲荷子狐のために執り行われたのでした。

「君は今!
君の世界を別の世界による侵略から守る、最前線の組織に、正式な協力者としての籍を得た!」
ピシッとした制服を来たイケボさんが、よく通る活力たっぷりな声で、子狐に言いました。
「来月から君は、世界線管理局の法務部執行課に所属して、そこから環境整備部に出向するカタチで、私達の仕事を手伝ってもらうことになる」

コンコン子狐にはイケボの言葉が、難しくてサッパリ分かりませんでしたが、
入局式に集まった収蔵部のお嬢さん、
経理部のエンジニア、
法務部執行課のいち部署の部門長と副部門長、
それから環境整備部のイケボさんと白ヤギ獣人さん&黒ヤギ獣人さんタッグが、
それぞれ子狐を温かく歓迎しておったので、
コンコン子狐はそれだけで、嬉しくなりました。

「これが、君が1年使う局員証。
そして君が使っても良い局員寮の個室のカギだ」
紛失したら、法務部でも、私にでも、すぐに正直に相談するのだぞ。
イケボ制服さんが子狐用に、ヒモの長さを調節したストラップを、すっと、かけてくれました。
「他に君が必要なものは、既に、君のご両親に渡してある。心配しなくて良いぞ」

少しずつ慣れていこうね〜。
収蔵部のお嬢さん、子狐の頭を撫でて言いました。
ひとまず初日は、まず俺様のコタツに来いや。
経理部のエンジニアさんも、笑って言いました。
イケボ局員による説明が終わった後は、法務部所属の野郎2人のおはなしです。

「さて、子狐」
部門長が難しいハナシを云々するのを、副部門長が要約して、子狐にも分かるように翻訳します。
「君は今から……厳密には来月からだけれど、
私達の仲間として、私達の仕事のお手伝いをしてもらうことになる。
分からないことも多いだろう。困りごともでてくるだろう。誰でも良いから、頼るんだよ」

キツネ、たよる!こやこや!
ちょっと偉くなった気のする子狐は、胸を張って、尻尾をピタピタ、ぱたぱた。
元気よく返事して、イケボ局員から貰ったカギと局員証を、じっくり、観察しましたとさ。

2/26/2026, 6:58:30 AM

私、永遠の後輩こと高葉井が住む東京に、先日久しぶりに雨が降った。
スマホの天気予報によると、来週も来週で数日の雨が続くらしくて、
曇った物憂げな空が、当分の間、続くらしい。

更に東京は先々週からスギ花粉のシーズンが開始。
量としては、まだまだ酷くはなってないらしいけど、重度な花粉症持ちのフォロワーの中には、さっそく症状が出始めてるってポストがあった。

最近動画アプリで鼻うがいの広告見るけど
アレってぶっちゃけ効くのかな(物憂げ)
あと避粉地ってなに( )
ニュース動画で観たけど標高1000メートルより上はスギ花粉少ないってホント(  )

「あらぁ、高葉井ちゃん、スギ花粉持ち?」
「多古副館長は大丈夫なんですか」
「アタシは何も気にならないわ。
アレが良いらしいわよ。ゴボウ。食物繊維」

「食物繊維」
「ゴボウ茶も良いらしいから、アタシ作ってみたのよ。皮付きゴボウをスライスして乾燥させて。
フライパンで乾煎りして完成らしくて。

諸事情で見事に空焼きしてたわ」

あーだこーだ、云々。
私の職場、私立図書館の中にある、食堂付き飲食スペースで、花粉症対策ランチが今年も登場して、
さっそく職員価格で頼んで食べてたら、
オネェな副館長、多古副館長が私を見つけて、
中くらいで薄めの紙バッグを持って、私の向かい側に座った––副館長もこれからランチらしかった。

「もうホントに憂鬱だったわ。穴空いたもの」
紙バッグの中は、新しいフライパンらしい。
「乾煎りしてる間に世界線管理局関連で連絡が来るでしょ?対応してたら別件来たでしょ?
話し込んでたら、パン!ですって。
やだわぁもう」

「せかいせん かんりきょく?」
「あら言ってなかったかしら。こっちは兼務よ。
向こうで法務部やってるの」
「かんりきょく……??」

物憂げに空焚きしたフライパンを観察する多古館長が、ぼーっと頭に浮かんでくる。
「すごいのよ。火を止めた後も、パキパキって。
アンタは気をつけるのよ」
よほど衝撃的だったのか、多古副館長は私に、そのとき撮った写真を見せてくれた。

空いてたのは、小さな穴だった。
私は空焚きしたことがないから、ぶっちゃけよく知らないけど、おっかない音がするらしい。
そりゃそうだと思う。だって金属に穴だ。
多古副館長の物憂げな空焚きは、それはそれは、大事件だったんだと思う。

「同じ間違いをしないように、アタシ、今回は鉄製のフライパン買ったわ」
「重くないですか」
「でも空焚きオッケーらしいもの。あとでシーズニングしてもらうの」
「しーずにんぐ?」
「そう。シーズニング」

これからはジャンジャン高火力料理作ってやるわ。
副館長はそう言って、ぱくぱく、豚の生姜焼き定食を食べ始めた。
私も私でシーズニングって知らなくて、パッと調べて、スマホをしまって、
それから、春の花粉対策ランチに付いてきたお茶に、最初に口をつけた。

「あっ。ゴボウ」
「なに。ゴボウ茶?」

今朝かもっと前か知らないけど、物憂げ空焚きをやらかした副館長が、私のお茶を見てる。
結果として副館長、ゴボウ茶だけ単品で注文して、
2杯くらい、飲んだみたいだった。

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