かたいなか

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5/25/2025, 9:49:42 AM

前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某杉林に隠れるように、不思議な不思議な、大きな建物が建っておって、
それは「この世界」に異世界からの難民を、密航のカタチでもって避難させてきて、彼等の生活をサポートするために作られた支援施設。
通称、「領事館」といいました。

領事館の活動目的は、故郷の世界が滅んでしまった難民たちの支援者として、
まだ生存している世界に彼等を渡し、彼等がそこで生きて逝けるように、支援と助言を為すこと。
そして、彼等が「滅んだ世界からの密航者」であることを、「そういう違法を監視して取り締まっている組織」から守り抜くこと。

領事館は異世界の難民たちのため、生活支援、心理的相談、最初の衣食住の工面、「この世界」と意思疎通するための翻訳機の貸与等々、
あらゆることを、領事館の親組織のお金と資源で支援して、支援して、支援し続けて、なんなら領事館の親組織自体の財政が少々カッツカツなので、
結果として、継続的に、領事館は万年資金不足!

領事館は、カネが無い!!
仕方がないので領事館、彼等の活動資金と余剰金を得るために、アレコレいろいろ、節約やら資金集めやらを、一生懸命やっておるのでした。

で、その資金集めの手段のひとつが、都内の某病院、某狐の漢方医さんのとこでの助手バイトでして。
なにより狐の漢方医さんは、「狐の薬」という妙薬を持ってるもんで、その秘密を難民たちのサポートに、なんとか使えないものかと、虎視眈々……。

で、その漢方医さんのところでバイトをしておったところ、前回投稿分で敵対組織の職員が、
なにやらカフェインに関係する頭痛を主訴に、ひとり、来院してきまして。

(まさか、私達の監視と取り締まりをしてる「例の組織」、ブラック企業だったりする??)
助手バイトに来ていた領事館の職員、「ヒバ」は敵さんの目のクマを見て、推測しました。
だって、酷く疲れた顔をしています。
きっと、組織に酷く、使い潰されているのです。
(わぁ、わぁ。 なんというか、お疲れ様)

領事館も財政難でキッツキツだけれど、
そのキッツキツは、敵対組織の彼等よりは、体力的にも精神的にもマシなのかもしれない。
「彼等」の仕事の奥深くを知らぬヒバは、頭痛を主訴に来院した敵対職員を見て、その末端を知ったような気がしたのでありました。

――「……っていうことが、あったんですがね」
バイト先で敵対組織の職員と出会ったヒバは、
職場の領事館に帰ってきてすぐ、その情報を領事館の同僚と上司に共有しました。
「もしかして『例の組織』、ちょっと高待遇をチラつかせてやれば、ブラックな職場から逃げたくてウチに寝返ったり……しませんかね?」

「ないない。無い」
否定に右手をブンブン振るのは上司の「スギ」。
領事館の、館長さんです。
「アレだ。お前が漢方医の助手としてバイトしてるのを、どこかで聞いて、確認に来たんだろう。
疲れて見えたのも、罠に違いない」
いいか。決して、信じるな。 スギは言いました。

「でも、どこからバレたんでしょうね。ヒバが漢方内科でバイトしてるって情報」
まさか、難民の中に、敵対組織へ情報を売り渡した裏切り者が? ヒバの同僚「アスナロ」が、とんでもないことを言い出しまして、
「どこでしょうね……」
それを否定できないヒバは、ただ首をかっくり。

ここでようやくお題回収。
ヒバとスギとアスナロ3人、あれこれ敵対組織について考察している最中の離れたところでは、
真面目な新人の「アテビ」がふんふん、自動掃除ロボットと空気清浄機を異世界の技術で魔改造合体させた通称「頑張ルン△"」を、
鼻歌を歌いながら、拭き拭き、柔らかいファイバータオルで拭き掃除しておったとさ。

5/24/2025, 6:01:21 AM

前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某深めの森の中に、
本物の稲荷狐が居る稲荷神社がありまして、
「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織の職員が、「この世界」の独立性・独自性を保つための仕事で、ワーケーションに訪れていました、
が、
違法に密航してきた異世界人が東京で暴れてくれやがったので、残念、仕事+バケーションどころか普通の仕事日和となってしまいまして。

しゃーないのです。
東京は魔法少女も、魔女も、妖怪もオバケだって、
普通に、ふっつーに、居るのです。
ただそれらは「この世界」から生まれたもの。
「この世界」の外から違法に密航してきたやつらを、世界線管理局は見つけて、ぐるぐる縛って、
強制送還なり収容なり、するのです。

で、前回投稿分ではそんな管理局員が、
仕事日和の3徹目に突入して、コーヒーをキメて、
バッタン、寝てしまったワケです。
寝てしまったコーヒー大好き3徹職員は、ビジネスネームを「ツバメ」といいました。

「……あたまがいたい」
ツバメが気絶のような睡眠から目をさますと、
おやおや、いつの間にかツバメにタオルケットがかけられておって、やわらかい生地が体を、
柔らかく、そっと包み込んで、おりました。
「こぎつね、子狐?お前がかけてくれたのか」

タオルケットの中にはツバメの他に、子狐も一緒に丸まって、すぴすぴ、すぴすぴ。
背中をナデナデしてやると、寝ぼけてツバメの右手にお鼻をすりつけて、ペロペロ、あむあむ。
甘噛みなどして、頭も撫でろとぐりぐり……

そうです。頭です。
ツバメ、寝起きのせいというより、カフェインの離脱症状でしょう、ともかく頭痛が頭痛なのです。
「ぐ……」
ダメだ。いたい。こまった。
ツバメはガンガン、どんどん、脳の血管拡張のせいで発生している痛みをなんとかするために、
子狐のお父さんに、相談に行きました。

実は子狐のお父さん、都内の某病院で仕事をして納税もしている、漢方医さんなのです。
人間の知識と実例の結晶たる漢方と、それから不思議な狐の薬とで、人間の心身の悩みに寄り添う、狐のお医者さんなのです……

「――はい。カフェイン依存症ですね」
場所は変わって、都内の某病院。
稲荷神社の宿坊を借りている異世界組織の職員さんの主訴(なやみごと)を詳しく聞いて、
コンコン子狐のお父さん、きっぱり名言しました。
「コーヒーが抜けると頭が痛くなる。体を動かすと余計に痛みが増す。 カフェイン依存症の一般的な離脱症状です。 一緒に治療していきましょう」

はい。まず、コンコン・ズツウ・シズメール錠剤。
それからスクナヒコナ製薬のカフェイン阻害薬。
ひとまず朝起きたら朝食前に1錠ずつ。
足りないようなら少しずつ、量を増やしましょう。

コンコンコン、こんこんこん。
漢方医なお父さん狐、バイトで助手をしてくれている女性にお願いして、12番の薬箱の中身を1包煎じてもらいながら、
そのバイトさんに見覚えのあるらしいツバメに、
薬の説明を、淡々と始めました。

「この薬があれば、コーヒーを飲んでも、」
コーヒーを飲んでも、頭が痛くなりづらくなるのですか。聞こうとしたツバメはその前に、
助手さんから薬茶を受け取ったので、ひとくち。
鼻に抜ける香りはザ・薬茶でしたが、
飲んですぐ、お茶の効果はツバメの頭痛の根源をそっと包み込んで、痛みをやわらげてくれました。

血管の拡張を、少しだけ抑制したのです。
血中のカフェインを、少しだけ阻害したのです。

「そうですね。 コーヒーを飲んでも、カフェインがキマりづらくなります」
覚醒目的、目覚まし目的のコーヒー、ダメ、一旦。
狐のお父さんは淡々と、ツバメの徹夜の手段を摘み取って、排除して、無駄無駄にしてしまって、
「ひとまず、ちゃんと眠くなったら寝てください」
そして、至極真っ当な助言を、しました。

「時間が足りないのです」
眠気が無くなる薬を貰えませんか。
ツバメが最後の望みを狐のお父さんに言うと、
「気持ちは分かります。忙しいのですね」
お父さんはツバメの気持ちをそっと包み込んで、
「寝てください」
クシャクシャして、遠くにポイちょ、無慈悲に投げ飛ばしましたとさ。 しゃーない、しゃーない。

5/23/2025, 4:32:50 AM

前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の宿坊に、異世界からやってきたオネェの宇宙タコと人間の男性が、2泊3日のワーケーションに来ておって、
前者は神社の稲荷子狐と一緒にドゥンドゥン金ピカゲーミングたこ焼き器を使ってタコパ、
後者はちゃんと、タブレットと極薄クリスタルボードを使って、仕事をしておりました。

ちゃんと仕事をしている人間は、ビジネスネームを「ツバメ」といい、
稲荷子狐と一緒に稲荷タコパしているオネェは、ビジネスネームを「始祖鳥」といいました。

ところで今回のお題は「昨日と違う私」だそうで。

「ちょっとツバメ、アンタそろそろ休みなさいよ」
うねうねうね、ちょいちょいちょい。
子狐がたこ焼き器でヤケドしないように2本の足であやしつつ、別の2本でたこ焼き器の面倒を見て、
更に他の3本でタコ焼き生地の準備をカシュカシュしておったオネェ宇宙タコです。
最後の1本でツンツン、ツバメの肩を叩きます。
「アンタ、ここ来てから全然寝てないじゃない。
人間は体が弱いんだから、ちゃんと休んで、メンテナンスしなきゃダメよー」

「大丈夫です始祖鳥部長。まだ、いけます」
異世界の「コーヒー」とも言うべき類似飲み物の、希釈ポーションを1個直飲み、ちょっと白湯。
カフェインバフなどかけるツバメは徹目。
2徹を超えたその日のあたりから、目に見えて顔に血の気がありません。
まさしく、「昨日と違うツバメ」です。
「『昨日と違う私』?そうですね、昨日と違ってちゃんと『この』コーヒーをとっているので、
昨日と違って、眠気は、感じていませんよ」

いけます。大丈夫です。パチパチかたかた。
ツバメは虚ろ目で瞳を曇らせながら、
たまに生あくびなどして、しかし自分の仕事を猛スピードで為しておりました。

ツバメのその日の仕事は、東京に密航してきた異世界人が起こした暴動騒ぎの後始末。
東京の公的機関に「それっぽく」ツジツマを合わせた書類を回して、報道機関にも「それっぽい」シナリオをリークモドキして、
そして、「すべては常識の範囲内で為された科学的かつ日常的な茶飯事でした」と、皆に信じ込ませるための、アナログ作業でした。

この結果としてツバメの条志、もとい上司のルリビタキが、あっちこっち負傷して、現在行方不明。
どうせ現地住民たる藤森のアパートで、ごはんでも食べて休んでおるのでしょう。
で、数時間後にはピンピンして、傷もだいぶ治って、それでツバメのところに帰ってくるのです。

「 はぁ。 」

フラッ、 とツバメの視界が揺れます。
なんだか頭も、ちょっと、痛い気がします。
ちょっとコーヒーバフを、かけ過ぎたようです。
「だから休みなさいって言ってんのよ」
「密航者の騒動の後処理が終わったら休みますよ」
「それじゃ遅いって言ってんの。法務部長のアタシの言うこと聞きなさーい」
「仕事が終わったら休みます。お気遣いなく」
「相変わらず頑固ね。

秘技! 睡眠薬入り七色タコ焼き爆弾! おりゃ」
「縺ゅ▲縺、縲√≠縺」縺、縲√う繧ソ繧ソ繧ソ繧ソ!?」

ずぽん!
あんまりツバメの顔色がよろしくないので、
オネェ宇宙タコの始祖鳥、■■■を原材料にした、眠くなる効果のある薬入りのタコ焼きを、
ツバメの口の中に無理矢理シュート!
「ぐっッ、あ、ア……!」
喉というか食道から、胃袋の中に降りてくホッカホカたこ焼きが、熱くて痛くて酷いのです。

「ぶちょう、み、みず……、」
とはいえ、胃袋過ぎればだいたい大丈夫。
薬はすぐに、効いてきます。
薬はすぐに、ツバメを落とします。
「ぶ、ちょ……」

コテン。■■■入りの薬の影響で、ツバメはすぐに、夢の中。たっぷり12時間は眠ります。
「はいはい。おやすみなさぁい」
目が覚めればきっと翌日。
「昨日と違う私」となって、すなわち、しっかり休養をとってスッキリしたツバメとなって、
ちゃんと、顔色も良くなることでしょう。

「おふとん。おふとん」
「あら。優しい」
おやすみなさい。オネェ宇宙タコがツンツン、ツバメの腹を突っつくと、
たこ焼きを食べていた稲荷子狐が押入れからタオルケットを引きずり出してきて、
ツバメにぱさり、かけてやりましたとさ。

5/22/2025, 7:16:14 AM

最近最近、都内某所のおはなし。
お題回収役を藤森といい、花咲き風吹く雪国出身。
このごろの東京は気温が高く、5月というより7月か8月の様相。なんといっても30℃である。
30℃で弱り、35℃でデロンデロンに溶け出す藤森には、ギリギリ平静を装って失敗する気温帯
――要するにこの時期の「sunrise」はエモーショナルな光ではなくジリジリの灼熱地獄なのだ。

と、簡素なお題回収はこのへんにして、本題。
その日も藤森は朝早い時期に職場の私立図書館へ入り、なるべく故意に残業して、
そして、涼しくなってから帰宅したところ。
「はぁ。酷いものだ」
パチン。 部屋の照明を付ける。
故郷から一緒に状況してきた「騎士道」の花言葉、シロバナのトリカブトのために、彼女が弱らない程度の冷房は既に使っている。
「明日も夏日。月曜も夏日一歩手前。
はぁ。 もう、夏じゃないか……」

今日はもう、暑さで疲れてしまったから、
適当に災害用備蓄の缶詰からタレ味の焼き鳥でも出して、それにタマゴなど割って親子丼モドキあたりにしてしまおう、そうしよう。
暑熱披露のため息を吐いた藤森がリビングに、足を進めると、 おや、まさかの来客の影。

「……条志さん?」

藤森のリビングの、壁にもたれかかってチカラなく、見覚えある男性が足を投げ出し、座っている。
背中から肩にかけて包帯など巻いて、腕にもバンドエイド代わりの白が1巻き、2巻き。
準満身創痍とはこのこと。浅く呼吸している。

スパイ映画だの刑事ドラマだの、負傷もののフィクションから抜け出してきたような彼は、かつて昔、名前を「条志」と名乗った。
実際は他にビジネスネームを持っているらしい、
が、あんまり藤森のベランダからチュンチュン進入してくることが多いので、
藤森の印象としては、スズメかカラスである。
実際は何だったか。 ルリビタキ??

「条志さん、」
藤森が条志に近づき、声を掛けると、
条志は条志でスズメかカラスのわりに、視線など鋭利にして、少々記憶がバラバラなのだろう、
低い息遣いで、威嚇などしている。
「条志さん。私です」

あー。混乱してる。あるいは寝ぼけている。
藤森が「自分」を条志に示すために、条志の鼻に自分の右手を差し出すと、
スン、すん。 条志は二度、匂いをかいで、
敵ではないと理解したのだろう、威嚇をやめた。
(ポチかコロ助)
藤森は思った――条志さんはスズメというより、オオカミか柴犬あたりかもしれない。
(でもベランダから勝手に入って来るから、
そこは確実に、スズメなんだよな)

「いつもの『腹減った、メシ』ですか」
だいたい条志が藤森の部屋に不法侵入してくるのは、彼の「妙な仕事」の後であり、だいたい空腹であり、藤森と夕食をともにして、それで少し多めの「お礼」をテーブルに置き帰ってゆく。
理由は敢えて明示しない。条志の仕事とメシの好みと、今回のお題とは無関係である。
「暑くて疲れてしまったので、簡単に親子丼モドキですけれど、それで構いませんか。
条志さん、

条志さん?」

あれ。返事がない。 条志を見れば藤森が来て安心したのか、コテン、寝てしまっている。
「あとで『柚子胡椒茶漬けの方が良い』とか言っても、聞きませんよ、本当に構いませんか」
すぴぃ、すぴぃ。条志は完全に夢の中。
「 はぁ。 」

仕方無い、仕方無い。 ここでお題回収。
小さなフライパンに少しのマヨネーズを落として、油脂がフツフツ溶けたらそこに、生卵を1個。
パカン。 割れば料理界の「sunrise」が、
黄色い太陽と、白い雲とをセットに、コンニチハ。
「タマネギくらいは入れるべきだったかな」

いいや。面倒くさい。 くるくるくる。
藤森は黄色い日の出をトロトロ半熟に崩して、
そこにコケコッコ、タレ味の焼き鳥缶詰めをブチ込んで……やはり色が単調なので、
結局条志に食わせる分では、冷蔵庫のオニオンサラダを炒めて混ぜて、藤森のものより解像度の高い親子丼モドキにしてやったとさ。

5/21/2025, 9:54:58 AM

ちょっと昔のおはなしです。
だいたい■■年くらい前のおはなしです。
あるところに、魔法と科学・工学を同時に発展させて、資源という資源を発掘・抽出しまくり、
結果として、破滅に傾いた世界がありました。

なお最終的に、「空に溶ける」します。
それは、文字通り、そのまま、地面も建物も生きとし生けるものの多数も、
重力異常の異常だの、構造崩壊だのを起こして、
結果、バラバラになり、空に溶けていったのです。

その世界は、とても美しい世界でした。
その世界は、まだ自分たちで議論と工夫と改善改良の努力を為せば、傾きを正せる世界でした。

「大変だ、大変だ!」
その世界は、面白い技術を独占しており、
それはすなわち、「特定の病気にかかった人から膨大な魔力エネルギーを継続的に抽出する技術」。
その特殊で珍しい病気の患者が5人も居れば、20年はその町の財政が無条件に潤うのです。
「患者から潤沢に得た魔力で世界を開発していたら、この世界のこの星から、ほとんど資源をとり尽くしてしまったかもしれない!!」

「独占」は強力なアドバンテージです。
それは交渉の材料にもなり、
それは防衛の武器にもなります。

「こうなったら、私達の技術を交渉材料に、
別の世界の技術で私達の世界を助けてもらおう」
そうだ、そうだ。それしかない。
最終的にお題回収役となるその世界は、
自分たちのチカラで自分たちの世界の問題を解決することを諦めて、別の世界に救援を求めました。

それが良くなかったのでした。
それが、別世界からの過干渉の始まりでした。

「ああ、これは、よろしくない」
その世界が頼った組織、「世界多様性機構」は、
破滅に傾いた世界を見て、すぐに状態改善パッケージを策定。実行を「勧告」しました。
「まず、あなた方が独占していた技術の研究をすべて停止しましょう。これが全部の元凶なのです」

さぁ、これをしなさい。それを止めなさい。
多様性機構が為したのは、完璧な手順、完璧なレール、完璧な指示であって、つまり過干渉。
多様性機構の状態改善パッケージは、日を追うごとに確実な成果を出しまして、
1ヶ月後には「特定の病気の患者」に依存しない、省エネルギーな世界へと生まれ変わった、
ハズでした。

ここからがようやくお題回収。
そうです。完璧な過干渉は、その世界の右に傾いた天秤の、左皿に1トンの重りをドンして、ばん!
右側の皿に乗るすべてを、吹っ飛ばしたのです。

一気に急速に、完全にバランスを崩されたその世界は、ゆえに自分のカタチを保てなくなり、
さらさら、サラサラ。ぐちぐち、バリバリ。
崩れて、空に溶けて、昇っていってしまいました。

「なんてことだ、なんてことだ」
他の組織、他の世界に頼るのではなく、自分たちでなんとかすべきだった。
その世界の人々は、世界が「空に溶ける」のを見ながら、深く深く後悔しましたが、
こうなってしまってはもう、どうにもなりません。

「次こそは、次があったら、今度こそは……!」
そんなもの、ありません。世界が滅んだら、それで全部、ぜんぶ、おしまいなのです。
「どうして、 こんなことに」
そりゃお題がお題だからです。しゃーない。

結果としてその世界の住民は、なんとか残っていた資材を使って、異世界に脱出する船をこさえて、
集められるだけの人を片っ端からかき集めて、
そして、空に溶け続ける世界から、脱出しました。
その後のことは敢えて詳しく書きませんが、
脱出できた人々は、皆それぞれ、調和とバランスを大事に、新しい人生を歩んでおるそうです。
おしまい、おしまい。

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