かたいなか

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4/1/2025, 6:54:46 AM

「『砂の器』でカメダと間違われたのはカマタね!
犯人を捕まえるための道具はさすまたね!
『私というものがありながら』な昼ドラ展開は、そう、ふたまたね!
……っていう抜け道は、いくつか探したんだわ」
シャチの別名は「さかまた」らしい。某所在住物書きは「またで終わる言葉」を検索して、スワイプして、ぽつり、ぽつり。

他にも「猫又」、「あまた」、「オートマタ」。
探して結局、投稿は「またね」に落ち着いた。
ふたまたで物語を投稿など、泥々展開しか考えつかないが実際どうなるものか。

「過去のお題では『また明日』とか、『また会いましょう』とかなら、書いたけどな」
全選択、コピー、貼り付け。下書きを「書く習慣」に投稿して、広告は強制終了。
次のお題投稿まで、またね、またね。

――――――

最近最近のおはなしです。
「ここ」ではないどこか別の世界に、「世界線管理局」という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこではたとえば、滅んだ世界からこぼれ落ちたチートアイテムが別の世界で悪さをしないように、回収して適切に保管したり、
あるいは、光と自然のゆたかな世界から、悪しき異世界人が資源を根こそぎ奪ってしまわぬように、異世界間の密航を取り締まったり。
色々、あれこれ、「その世界の独立性・独自性」のために、仕事をしておったのでした。

あっちの世界に密航者です。
はい、確保しに行きましょう。
そっちの世界が異世界から侵略を受けています。
はい、ただちに急行しましょう。
こっちの世界から渡航申請、
向こうの世界から観光用渡航ゲートの設置報告。
はい、はい。こちらへどうぞ。
書類を書いて、説明受けて、はい以上。またね!

世界線管理局はその世界が、その世界として在り続けられるように、他の世界から不当な侵略・過開発・植民地化を受けないように。
「その世界の独立性・独自性」のために、仕事をしておったのでした。

そんな世界線管理局には、
あんな異世界アイテム、こんな異世界アイテム。
色々、どこそこ、活用されておりまして。

「わぁ、これは、良いよ、いいよぉ……!」
その日、管理局の異世界アイテム管理部門、「収蔵部」に収容されてきたのは、
あらゆる食べ残しを原子レベルまで分解して、そこから窒素と酸素、水素と炭素を取り出し、
それらによって食料の冷蔵も冷凍も加熱もできる、空間書き換え式のコンパクトキッチン。

これを開発したのは、デジタルとネットと科学に技術が全振り、一点突破された世界。
あらゆるものを電力に変換して、近隣の星々も電力に変換して、結果、大規模な真空崩壊を発生させて自滅した世界でした。
「収蔵庫に設置すれば、勤務中にアフタヌーンできるし、お夜食も作り置きできちゃうよぉ!

よぉーし、今こそ、あたしが復活させてみせる、
数年前に無くなっちゃった、『隠しキッチン』!
管理局の『欠けちゃった七不思議』を!あたしが!欠ける前の七不思議に!戻してみせるぅー!」

ふんふんふん、ふんふんふん!
管理局の収蔵部スタッフさん、なにやら嬉しそうな、食いしん坊そうな笑顔をして、
その日収容されてきたばっかりの、滅んでしまった異世界産コンパクトキッチンを、ポンポン。
収蔵庫の隠しストレージに収容して、ちゃんと鍵もかけまして、一時的にばいばい、バイバイ。

またね! 仕事が終わったあとで、ちゃんとしたスペースに設置してあげるね!
なんて心の内で言って、仕事に戻ります。

「欠けちゃった七不思議」とは、何でしょう?
管理局内で今も広まっている、噂話です。
「隠しキッチン」とは、何でしょう?
昔々、だいたい数年くらい前、それを管理局の法務部の、あっちこっちにこっそり隠して展開しておった、特殊即応部門長がおったのです。
彼が亡くなって数ヶ月で、隠しキッチンはすべて摘発されてしまい、
今となっては、隠し冷蔵庫だけが、特殊即応部門長の遺品というか、置き土産というか、
そういうものに、なってしまったのです。

「またね! 待っててねぇ!」
ふんふんふん、ふんふんふん!
管理局の収蔵部スタッフさん、その部門長と会ったこと、ありません。
だけどその部門長が、残していった隠し冷蔵庫を、こっそり受け継いで使っておるのです。

今こそ、隠し冷蔵庫だけでなく、隠しキッチンも復活させるとき!スタッフさんは決意したのです。

隠しキッチンと隠し冷蔵庫をこっそり局内に展開していた、「特殊即応部門長」のおはなし?
それをご紹介するかどうかは、今後、配信されるお題次第。またね、またね。

3/31/2025, 5:10:55 AM

「最初にプレイしたのは実機のGB版で、1だったか2だったか。多分1だな」
3月7日頃に「風が運ぶもの」、1月に「風のいたずら」と「追い風」のお題が来たらしい。
某所在住物書きは過去のお題を確認しつつ、昔々のレトロゲームBGMをスマホから流している。

「はるかぜとともに」である。
実機の初プレイは19年前。来年で20周年。
「0% 0% 0%」はネタとして懐かしい。
まだ■■歳であった物書きは、ミニゲームで父に一度も勝てなかった。

あの頃の花粉症は今ほど凶悪ではなかったようなイメージだが気のせいであろうか。
「春風。……はるかぜなぁ」
物書きは外を見る。明日は明日の風が吹く。
その明日から、東京は3日、雨だという。

――――――

前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某杉林に隠された秘密の場所、マップアプリにも情報が無い秘境に、
通称「領事館」という、異世界組織による異世界人のための支援機関がありまして、
そこを管理しているのは、「世界多様性機構」という、違法なことをしてでも全部の世界を平等に救いたい系の厨二ふぁんたじー機関。

滅びそうな世界に取り残された異世界の難民を、
たとえば東京に「密航」の形で避難させたり。
そういう異世界から来た難民が、
たとえば言葉の壁、生活の不便、病気の相談なんかにぶつかったとき、こっそり支援したり。
そういうのを「管理局」に隠れてしておるのが、
某杉林に隠された、「領事館」なのでした。

ところでその領事館の館長、
ビジネスネームを「スギ」というのですが、
東京に赴任してきてから重度の杉花粉症持ちで。

「ぶぇっくし! ぐしゅぐしゅ、えぇッくし!!」
春風とともに大軍勢でやってくる「黄色い悪魔」、「疾患の粉霧」、「春の悪しきもの」のせいで、
1日2箱、たまに3箱、大容量ティッシュを使い倒してはお目々の洗浄液をじゃぶじゃぶじゃぶ、
鼻の洗浄液もじゃぶじゃぶじゃぶ!
用法・容量を正しく、厳密に守って、使いまくっておったのでした。

「くそぅッ、今年は特に酷い!!」

そんな領事館の花粉除去を、一手に引き受けておるのが、異世界の技術で魔改造された自動掃除機。
館長の泣けなしの◯◯万で自腹購入した空気清浄機を、自走式のロボット掃除機、ル▽△゛と合体。
館内の花粉やハウスダストを感知しては、
ぐぁーぐぁー、がーがー。
頑張って花粉がある部屋まで自走して、
頑張って空気清浄機のランプを赤くしながら、
春風とともに侵入してきた悪しき花粉どもを、ひとつ残らず捕縛して、ルン△゛のダストボックスにブチ込んでしまうのでした。

名付けて、頑張◯ンバ。
資金不足で領事館用の業務企画な高性能空気清浄機を導入できない「領事館」の花粉症状事情は、
すべて、この頑張ルン◯にかかっておるのでした。

「スギ館長。多様性機構の本部から、新しい避難民の受け入れ要請が来ています」
「待たせろ。明日なら雨で症状がマシになる」
ぐぁーぐぁー、がーがー。
異世界の技術で生み出された頑張ルン◯、館長の執務室を重点的に、頑張って清浄します。

「館長さん。現地住民の病院に潜入してるヒバさんから、緊急の伝言です。『漢方と舌下免疫療法を紹介された』とのことです」
「それで完治してりゃ苦労しねぇわい!」
ぐぁーぐぁー、がーがー。
自走できる空気清浄機の頑張ルン◯、ダストボックスがでパンパンになったので、
異世界の技術で魔改造されたホームポートに自分で戻って、ダストボックスの中身をカパン!
異世界の技術で圧縮して、固形化して、密閉された処分箱にブチ込みます。

「スギ館長」
「なんだ!」

「世界線管理局から『滅亡世界からの違法密航者を10人リークすれば空気清浄機の支援をする』と。
どうしますか。難民たちを、密告しますか」
「……」

ぐぁーぐぁーぐぁー。がーがーがー。
ただならぬ鋭利な空気も、空気清浄機設置の葛藤な雰囲気も、一切気にせず頑張ルン◯は、自分の仕事を黙々と、頑張って、為し続けます。

「密告はしない。ウチは難民支援の領事館だ」
「分かりました。そう伝えます」

春風とともに領事館に、勝手に入ってくる杉花粉。
春の悪しき粉霧どもを、異世界の技術で魔改造された自走式空気清浄機が、
今日も今日とて頑張って、ぐぁーぐぁー。
ダストボックスにブチ込んでおったとさ。

3/30/2025, 3:00:06 AM

「火山涙あるいはペレーの涙、オランダの涙、蝋涙(ろうるい)に血の涙、雀の涙。
『黄なる涙』なんて言葉もあるのか。へー」
キレイな宝石に「◯◯の涙」って名前が付くこともある気がする。某所在住物書きは「涙で終わる言葉」を検索しながら、茶を飲み、むせて涙。

ところで今の時期に涙といえば、花粉症。
今年も多いらしい。 今年も酷いらしい。
北海道は杉がそもそもほぼ植樹されておらず、かわりにシラカバの木が比較的多いと聞いた。

「花粉症か」
物書きは考える。
「チートアイテムとかチート能力とかで、花粉全部吹き飛ばしたり、消したりできんかな」
世では無花粉杉を絶賛量産中とのウワサである。

――――――

雨を「空の涙」と表現することもあります。
ゲリラ豪雨は号泣、天気雨は嬉し涙。
時折カッコいいオッサンが雨の中で倒れていて、
同じくらいカッコいいニーチャンが、そのオッサンを抱きかかえて涙の咆哮をするシーン、
なんてのも、まぁベタだろうと思います。

そんな空の涙を、実は今の時期、すごく待ち望んでいる人外が、都内某所、某杉林の奥におりまして。
通称「領事館」なる不思議な館に居る人外は、ビジネスネームを杉、もとい「スギ」といいました。

「うぅぉおおおおおおお!!雨だ!あめだ!」
いつもは人間の姿に化けて、領事館で館長の仕事をしているスギさん。
「今日は何でもできる!何したってヘッチャラだ」
実はふさふさモフモフの獣人さんでして、
しかも、まさかのスギ花粉症持ち!

「おおお、うおぉぉぉ!っしゃぁぁぁぁ!」
異世界から東京に赴任してきた翌年に、スギ花粉症をガッツリ発症してしまったスギさんは、
今の時期、本性のモフモフを出してしまうと、黄色いスギ花粉が大量にふさふさ体毛に付着して、
涙はダバダバ、鼻水はぐしゅぐしゅ!
ただでさえ重度の花粉症が、更に、さらに、重篤になってしまうのです!

雨が降ればそんな涙も、鼻水だって大幅に緩和!
『その雨デバフ、天の涙デバフがかかっているのに、今年はなんだか目がかゆい』?
構いません!晴れてる日よりはマシなのです。
モフモフ獣人スギさんは、花粉が洗い流されてゆく雨の日だけ、本来の姿に戻ることができるのです。
「ああ、サイコーだ。目があまり、かゆくない!
涙も出てこない、鼻もそれほどぐずぐずしない!
なにより俺の毛に花粉がくっつかない!」

ごろんごろん、ゴロンゴロン!
獣人スギさん、今の時期は空の涙を、ずっと、ずーっと、待っておるのでした。
「よし!今のうちに、できることを全部やる!」

雨天の小さな幸せを、無駄にせず、余す所なく。
モフモフ獣人スギさん、ひとしきりゴロンゴロンのパタンパタンしてから、
猛烈な勢いでもって、書類の確認とサインと返信と連絡とを、しゅばばばばっ、バババ!
一気に片付け始めたのでした。

「館長さん、機構本部からお手紙です」
「よし!そこに置け!」

「スギ館長。今月かかった費用と、来月かかると思われる予想、それから杉花粉の飛散予測です」
「よし!こっちに置け!」

「館長。管理局から『違法密航異世界人の通報』に対する感謝と謝礼が」
「すぐ領事館専用口座に突っ込め!!」

ああ、ああ!素晴らしい! 雨のおかげで杉花粉が、スギさんに悪さをほとんど為しません。
おかげでスギさん、晴れの日風の日等の十倍も百倍もすごいスピードで、仕事を片付けてゆきます。
「スギ館長、空気清浄機の掃除は」
「念っッ入りにやってくれ!!」

しゅばばばばっ!バババ!
モフモフ獣人のスギさん、通称「領事館」の館長として、為すべきすべてを猛スピードで為しました。

杉花粉が天の涙で、なりを潜めている間に。
杉花粉が花粉症持ちに、悪さをできない日の間に。
東京は明日、晴れ予報。
雨上がりのスギ花粉は、それはそれは、もう、それは。酷く猛威を振るうのです。

「館長さん。申請があと、50件たまってます」
「問題無い!今日のうちに!終わらせる!!」

「館長。予報では明後日から3日間、雨です」
「ぉおおおおおっしゃぁぁぁぁぁぁあ!!!」

急げ、いそげ!
異世界から杉花粉多い東京に赴任してきた、ビジネスネームが「スギ」の獣人さん。
天が涙をこぼす雨の日と、杉花粉のオフシーズンだけ、100%のパフォーマンスが出せるのです。
明日は雨が降らない。スギさんは明後日からの雨天で最高のランチと、ティータイムができるように、
ラストスパート、晴天で溜まった仕事を一気に片付けて、執務室の掃除まで終えたとさ。

「館長さん、館長さん!」
「なんだ!」

「管理局からの謝礼を全額使えば、◯◯リの花粉シャットアウトカーテンを、導入できます」
「……保留!!」

3/29/2025, 7:58:15 AM

「物理的に小さい幸せなのか、運や確率的に小さな幸せなのか、数字として小さい幸せか。
まぁまぁ、それくらいは、一応選べそう」
小さい砂金、丁度ひとつ残っていた半額スイーツ、少しだけ減った体重。
あとは何だろう。某所在住物書きは投稿作業に用いているボードを見ながら、ぽつり、ぽつり。

個人的に「当初考えていた投稿案がそのまま何の問題もなく形になる」などは、小さな幸せだと思う。
今回は以下略。みなまで言わぬ。
「……うん」

――――――

地味に500円玉貯金などしている物書きです。
小さな幸せといえば、最近その貯金総額が、やっと1万円を超えたこと。
『これを競馬に突っ込めば』
『これをパチンコ、スロットに突っ込めば』
それを考えている頃くらいが、実際に突っ込むその直前より、「幸せ」なのかもしれません。

今回はそんなレベルのおはなしをご用意しました。

最近最近のおはなしです。とある厨二ふぁんたじー組織、「世界線管理局」の経理部、
1年中置きっぱなしのコタツの中のおはなしです。

ふわふわ不思議なリネン製の毛糸で、せっせと猫耳ポンチョを編んでいるおばあちゃんがおりまして、
静かに優しい鼻歌などする温厚おばあちゃんは、ビジネスネームを「ノラ」といいました。
「ほら、スフィンクスちゃん。そろそろあなたの分のリネンポンチョ、完成するわ」

ノラばあちゃんの編み物は不思議な編み物。
ノラばあちゃんが編んでくれたマフラーやストール等々には、不思議なおまじないが為されていて、
それを付けて外を歩けば、悪い心や良くない事件、都合のよろしくない不調等々から、
ほんの少しだけ、守ってくれるというウワサ。

だけどぶっちゃけウワサを信じて、ノラばあちゃんに編み物製品を頼む局員なんて居ません。
ノラばあちゃんのマフラーの素朴なデザイン、ストールの優しい肌触り、毛糸帽子のあたたかさを求めて、管理局員は「作ってくれ」と頼むのです。

「ほら」
パッ、と完成したリネンリボンの猫耳ポンチョを、ノラばーちゃんがスフィンクスに見せますと、
出てきた刺繍の図柄は、スフィンクスの大好きなミカンの花と、それによく似たカラタチの花。
ノラばーちゃんが編んでいたのは、初夏と春の花が一緒に咲く、キレイな猫耳ポンチョでした。
「羽織ってみせて」

「おー、ミカン!」
ノラばーちゃんが入っていたコタツの持ち主、経理部の天才エンジニア、スフィンクスがガバチョと昼寝から起きて、完成したポンチョに大興奮!
友達の収蔵部局員、ドワーフホトが可愛い可愛いウサ耳ポンチョを着ておったので、
羨ましくなったスフィンクス、「俺様のも作れ」とニャンニャン!ワガママ言ったのです。
「良い!良いぞ!こいつは俺様の宝物とする」

猫耳ポンチョを頭にかぶって、肩に羽織って、
くるくる回ってみせますと、ポンチョの花の刺繍が、美しくヒラヒラ、ひらひら。
スフィンクスの動きの風に、明るく揺れます。

「ホトのやつに、自慢してこよっと」
ノラばーちゃんのポンチョがよほど気に入ったらしく、コタツでやってた自分の仕事を放り出して、友人が居るであろう部署にひらぁり、はらぁり。

「帰ってきたら、ちゃんと残りの仕事やるのよ」
編んであげたポンチョをわざわざ自慢しに行くスフィンクスを、見送るノラばーちゃんは、
小さな幸せでいっぱい、いっぱい。
幸福な微笑を、しておったとさ。

3/28/2025, 3:00:04 AM

「去年4月10日頃のお題が『春爛漫』だった」
一昨年はスミレの砂糖漬け、去年は桜の塩漬けと山椒の新芽。それぞれ春にふさわしいであろう食い物を投稿してきた某所在住物書きである。
スミレも桜も投稿済み。今年は何を書こう。

「5月前後に咲くらしいミカンって『春』?」
それは初夏かもしれない。または晩春か。
「じゃあリンゴの花は?」
ネット検索によれば5月上旬に咲くとの情報。
意外と南国のミカンと雪国のリンゴは似た時期に春爛漫、花を咲かせるらしい。

「来年もこのお題が来たら、次はミカンかな」
なお季語としては、「ミカンの花」は初夏で「リンゴの花」は晩春とのこと。
3月に真夏日など観測する昨今。いずれミカンで「春爛漫」を書ける時期が来るかもしれない。

――――――

花より団子、春のパンまつり、お花見ケバブ。
春爛漫を楽しむ食い物の言葉というのは、世に多々色々、あるもので。
今回は桜とお菓子とグルメと、不思議な子狐が出てくるおはなしをご用意しました。

最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の宿坊に、稲荷の子狐と和菓子屋の化け子狸と、
それから別の世界から仕事でやってきた管理局員が、それぞれ、「春の美味しい」を持ち寄って、
秘密の春爛漫会合を、開催しておりました。

「キツネは、キツネはね、まず、フキの肉づめ」
稲荷神社在住のコンコン子狐、母狐が宿坊の厨房で作ってくれた大きな大きなお弁当箱の、フタをよいしょ、開けました。
「それから、フキの天ぷら、ワラビとおニクのあぶらいため、おあげさんの肉づめ」
子狐が持ってきた春爛漫、「春の美味しい」には、早春の山菜がいっぱい!
「あのね、キツネ、イチバンおいしーのは、コレだとおもう。おニクとキノメ、木の芽」
最後に出したのは鶏肉の甘じょっぱ煮に、山椒の新芽を添えたピリ辛メニュー。

「わぁ……いいよ、イイよぉ……」
秘密会合唯一の人間、「ドワーフホト」というビジネスネームの女性が、幸福のため息をひとつ、
はわぁ。吐きました。
「あたしが持ってきたジュースに、合いそう」

「次は、僕だ」
和菓子屋さんで見習いをしてる化け子狸が、2段の木箱をゆっくり、開けました。
「春だから、僕、お花の和菓子と、おまんじゅう、がんばって作ってきた。
お花のネリキリ、おはなのワサンボンって砂糖菓子、お花見団子、あとサクラのおまんじゅう」

化け子狸が持ってきた春爛漫、「春の美味しい」には、春の花がいっぱい!
「おはぎもあるよ」
みて、みて。白あんをサクラの色に染めたおはぎの上に、本物の桜の花を添えて、季節感もばっちり。

「うぅ〜、どれから食べるか、迷うよぉ」
ドワーフホトは子狸の、一生懸命作った和菓子に一目惚れ。だってすべてが、今日のため、この春爛漫な秘密会合のためだけに、作られたのです。

「よぉし!最後は、あたしだよー!」
唯一の人間のドワーフホト、満を持して、持ってきたものをお披露目です。
「少しずつお湯で溶かして楽しめる、スープ系とか飲み物系とか、持ってきたぁ!
コンちゃんの山菜料理に合いそうな、新玉ねぎとか新じゃがとかのお味噌汁の味噌玉でしょ〜、
ポンちゃんのお菓子に合いそうな、桜の緑茶とか紅茶とかぁ、あと、山椒の香りがするジュースぅ!」

ドワーフホトが持ってきた春爛漫、「春の美味しい」には、花と美味の香りがいっぱい!
「個人的に桜とチェリーの紅茶はマストぉ〜」
タパパトポポ、とぽぽ。
さっそくドワーフホト、ティーセットを引っ張り出して、ティーバッグにお湯をそそぎました。
「あとねぇ、今日来れなかった友達から、ミカンの花とミカンジュース預かってきた〜」

「キツネ、この、おあげさんにする!」
ドワーフホトが持ってきた油揚げ味噌汁の味噌玉に、早春の山菜を並べた子狐は大興奮!
「僕はこれだ、桜のかおりがするお茶!」
ドワーフホトが持ってきた桜緑茶のティーバッグに、花のお菓子を並べた子狸も大喜びです。

さぁさぁ、皆で春爛漫、山菜の天ぷらと花のお菓子を食べながら、それらを繋ぐ飲み物を飲もう。
稲荷の子狐と和菓子屋の化け狸と、それからドワーフホトのビジネスネームを持つ女性は、笑って仲良く秘密の会合。春のグルメ祭り。
次は誰を誘おう、何を持ってこようと、
わいわい、わいわい。語り合ったとさ。

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