「物理的に小さい幸せなのか、運や確率的に小さな幸せなのか、数字として小さい幸せか。
まぁまぁ、それくらいは、一応選べそう」
小さい砂金、丁度ひとつ残っていた半額スイーツ、少しだけ減った体重。
あとは何だろう。某所在住物書きは投稿作業に用いているボードを見ながら、ぽつり、ぽつり。
個人的に「当初考えていた投稿案がそのまま何の問題もなく形になる」などは、小さな幸せだと思う。
今回は以下略。みなまで言わぬ。
「……うん」
――――――
地味に500円玉貯金などしている物書きです。
小さな幸せといえば、最近その貯金総額が、やっと1万円を超えたこと。
『これを競馬に突っ込めば』
『これをパチンコ、スロットに突っ込めば』
それを考えている頃くらいが、実際に突っ込むその直前より、「幸せ」なのかもしれません。
今回はそんなレベルのおはなしをご用意しました。
最近最近のおはなしです。とある厨二ふぁんたじー組織、「世界線管理局」の経理部、
1年中置きっぱなしのコタツの中のおはなしです。
ふわふわ不思議なリネン製の毛糸で、せっせと猫耳ポンチョを編んでいるおばあちゃんがおりまして、
静かに優しい鼻歌などする温厚おばあちゃんは、ビジネスネームを「ノラ」といいました。
「ほら、スフィンクスちゃん。そろそろあなたの分のリネンポンチョ、完成するわ」
ノラばあちゃんの編み物は不思議な編み物。
ノラばあちゃんが編んでくれたマフラーやストール等々には、不思議なおまじないが為されていて、
それを付けて外を歩けば、悪い心や良くない事件、都合のよろしくない不調等々から、
ほんの少しだけ、守ってくれるというウワサ。
だけどぶっちゃけウワサを信じて、ノラばあちゃんに編み物製品を頼む局員なんて居ません。
ノラばあちゃんのマフラーの素朴なデザイン、ストールの優しい肌触り、毛糸帽子のあたたかさを求めて、管理局員は「作ってくれ」と頼むのです。
「ほら」
パッ、と完成したリネンリボンの猫耳ポンチョを、ノラばーちゃんがスフィンクスに見せますと、
出てきた刺繍の図柄は、スフィンクスの大好きなミカンの花と、それによく似たカラタチの花。
ノラばーちゃんが編んでいたのは、初夏と春の花が一緒に咲く、キレイな猫耳ポンチョでした。
「羽織ってみせて」
「おー、ミカン!」
ノラばーちゃんが入っていたコタツの持ち主、経理部の天才エンジニア、スフィンクスがガバチョと昼寝から起きて、完成したポンチョに大興奮!
友達の収蔵部局員、ドワーフホトが可愛い可愛いウサ耳ポンチョを着ておったので、
羨ましくなったスフィンクス、「俺様のも作れ」とニャンニャン!ワガママ言ったのです。
「良い!良いぞ!こいつは俺様の宝物とする」
猫耳ポンチョを頭にかぶって、肩に羽織って、
くるくる回ってみせますと、ポンチョの花の刺繍が、美しくヒラヒラ、ひらひら。
スフィンクスの動きの風に、明るく揺れます。
「ホトのやつに、自慢してこよっと」
ノラばーちゃんのポンチョがよほど気に入ったらしく、コタツでやってた自分の仕事を放り出して、友人が居るであろう部署にひらぁり、はらぁり。
「帰ってきたら、ちゃんと残りの仕事やるのよ」
編んであげたポンチョをわざわざ自慢しに行くスフィンクスを、見送るノラばーちゃんは、
小さな幸せでいっぱい、いっぱい。
幸福な微笑を、しておったとさ。
3/29/2025, 7:58:15 AM