かたいなか

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9/17/2023, 2:58:03 PM

「お題としては『花』は4回目だけど、花をネタにした投稿は、他にも複数回書いてるのよな……」
今回ばかりは、「花」ひとつのモチーフに今まで頼りすぎてきた自分のせいだな。
某所在住物書きは、今回ばかりは物語の書きづらさを、己の失態によるものと認めた。
桜吹雪を流れ星に見立てたり、ポットの中に工芸茶の花を咲かせたり、名字に埋め込んだ花とその花言葉を連動させたり。
フクジュソウ等々、季節の「花畑」を物語に登場させたこともあった。

「花畑を星空に例えたこともあった、かな?」
そういえば。物書きは苦し紛れに、ひとつ物語を仮組みする。
「逆に星空を花畑に例えるとか」
つまり、こういうことなんだがな。物書きはメモ帳アプリを呼び出し、投稿文の下書きを打ち始めて……

――――――

「花」のモチーフを何度も使いまわして、段々花ネタの尽きてきた物書きがお送りするおはなしです。
困った時の、童話頼みなおはなしです。
せっかくの3連休に、それでも特別な予定無き物書きの、以下は、いわばちょっとした、イジけ節です。

最近最近の都内某所、某稲荷神社に、不思議なお餅を売り歩く、不思議な子狐が住んでおりました。
子狐は、時折神社の参拝客の、過去の祈りや現在の思い出、未来の願いなんかを夜の夢に見るのですが、
連休だったり、夏休みだったり冬休みだったり、行楽シーズンの丁度終わった頃合いに、
たまに、それはそれは、美しい夢を見るのでした。

『光害、こうがい、と言うんだ』
昔々父狐が、子狐に言ってきかせました。
『お外が暗いと、お空の星がよく見える。お外が明るいと、お空の星は見えづらい。
ここから遠い、とおい、人間も明かりも少ない田舎には、そういう夜空を、毎日見られる所もあるんだよ』

それは、子狐の知らない夜の空。子狐の知らない土地の風景。
東京から地方へ旅行なり帰省なりした面々が、主に子供たちが見た、田舎や里山の星空の記憶。
高層ビル無き広い広いお空に、キラキラ小ちゃな星がいっぱい輝いて、お月さまが満月だったり三日月だったり、いつもより明るく見えるのです。
子狐はその美しい空を、誰かの思い出を、彼等が東京に戻ってくる頃夢に見るのです。

『お花畑だ!』
東京から一歩も出たことのないコンコン子狐。
広い空も、満点の星も、ましてや天の川や、LED照明無き真っ暗な夜など、絵本の中でしか見たことがないのです。
『お空に、お花畑がある!』
そんなコンコン子狐です。なにより想像力豊かなガキんちょ子狐です。おまけに、今日のお題が「花畑」なのです。
旅行や帰省から戻ってきた子供たちが持ち帰ってくる星空を、
その星空知らぬ子狐は、空の草原にカスミソウかワスレナグサか、アキカラマツかもしれません、
ともかく大きな花畑ができたと、かわいらしく、想像するのでした。

子狐は夜空の夢を見るたび、お肉もおやつもお餅も全部忘れて、ぴょんぴょんぴょん、飛び跳ねます。
お空に咲くあの花々が、コンコンコン、どうしても欲しいのです。
だけどお空のタニギキョウだかスズランだかは、遠くて遠くて、掴めず触れず、
ゆえに子狐は、心をモニョモニョさせるのでした。

『お花、おはな!』
ぴょんぴょんぴょん。
今日の夜も子狐は、知らない誰かの思い出の中で、一生懸命飛び跳ねて、小ちゃい両手を伸ばします。
『今日こそは、あのお花で花束作るんだ!』
ぴょんぴょんぴょん。
その美しい勘違いと努力は、リアルの朝日がのぼって、母狐が子狐を優しく愛しく起こすまで、ずっと、ずっと、続きましたとさ。

9/17/2023, 4:37:28 AM

「雨のお題はこれで5回目なんよ……」
過去の雨ネタで何書いたかは、8月27日投稿「雨に佇む」のお題冒頭でまとめてあるから、気になったら確認してくれや。某所在住物書きは今日も頭を抱え、重複ネタにどう立ち向かうか思考を巡らせた。

ここで折れてはいられない。きっと、あと2〜3回は対峙することになる「雨」である。
筆投げて、「もう雨は書けません」して、ではいずれ来るであろう次の雨を、どう乗り切るのか。
「……つっても思いつかねぇものは思いつかねぇわ」
秋雨、氷雨、通り雨に豪雨。まだ書いていない「雨」はどこだろう。物書きは思いつく限り、泣く空を表す言葉を挙げ続けた。

――――――

3連休2日目。東京は晴れて相変わらず気温が高い。
太陽が無駄にニッコリご機嫌で、9月中旬って何だっけって暑さをしてる。
もうちょっと落ち着いてくれて良いのよ(懇願)

ただ、ずっとずっと西の方、九州の一部では、空がギャン泣き、大雨が降ってるらしくて、
職場の先輩がスマホの防災アプリで、該当地域の情報をチェックしてる。
先輩がちょこちょこ淹れて飲んでる緑茶、その産地のひとつが朝、ギャン泣きの空の下だったんだって。

「これが、その産地の茶っ葉だ」
先輩が住むアパートの一室。
先輩が食材仕入れて、料理して、私が食費とガス代を半分現金で出すっていう、節約術としてのシェアランチの後。
食後のお茶タイムで、カラリ、氷とお茶の入った白いカップを出してくれた。
「今日は暑いし、冷茶……アイスティーにしてみた」
ちなみに今日はクラッシュタイプのオートミールでとろみをつけた、辛さ控えめの麻婆豆腐だった。
片栗粉使うより、こっちの方が糖質は少ないらしい。覚えた。

「明るい若草色してる」
「私が普段飲んでいる黄色い方より、確実に渋みが少ない。味も優しいから、飲みやすいと思う」

「先輩はどっち好き?黄色い方?」
「お前は、どっちが好きなんだ」
「『両方好きだから答えられない』ね。おけ把握」

お茶飲んで、先輩からお茶菓子としてのチョコチップクッキー貰って、ぱくり。
ペットボトルのお茶とは少し違う、鼻に抜けるお茶の甘さと、爽やかさが、クッキーのチョコに混じる。
「……生クリームどら焼き食べたくなってきた」
このお茶っ葉作ってるところが、今、大変なんだ。
今まさに、空が泣いて、大降りになってる最中だろう地域のあたりを思いながら、私はもうひとくち、お茶を含んだ。

「生クリームどら焼き?」
「どら焼きのあんこの甘さをね、お茶のサッパリがサッパリにしてくれるの。で、お茶のサッパリを生クリームがラテにしてくれるの」
「はぁ、……うん、想像は、できた。同意する」

「ちょっと買ってくる」
「は?」
「生クリームとチョコと、栗と苺あたり買ってくる。先輩お茶、リットルで淹れといて」
「待て。確実に糖質過多だ。ひとつにしておけ。
おい、待てと言ってる、待、おい……

……『お茶、リットルで』……?」

9/16/2023, 5:37:29 AM

「『LINE』はこれで今年3回目なんだわ……」
7月11日の「1件のLINE」、9月1日か2日付近の「開けないLINE」。そして「君からのLINE」。
さすがに4度目のこのアルファベット4文字は無いだろう、多分。某所在住物書きは配信された題目に対して、昨日に続き今日も、頭を抱えた。
ネタの枯渇である。加齢で固くなった頭で、そうそう何度もグループチャットアプリの物語を書けようか。
「『1件のLINE』は、普通にちゃっと風景書いたわな。『開けないLINE』は『開けない、既読を付けない』って話を書いた。……次は……?」
これ、次回のお題も難題だったら、どうしよう。
物書は悩みに悩み、何か突破口は無かろうかと、スマホの中のチャット履歴をそれとなく辿った。

――――――

3連休初日だっていうのに、心の中が嵐だ。
理由は2個ある。ひとつは金曜の昼休憩。私が読んでた推しの二次創作、「書きかけ」タグが付けられたやつの完結編が、推しの死ネタで幕を下ろしたこと。
なんか涙出そうになったけど、コレはコレで別に良い。二次創作だし、なにより物語そのものは感動できる終わり方だったから。
もうひとつがクソだ。職場のゴマスリ上司、後増利係長が、その日の夜に私達の仕事の成果を盗んでった。
コレのせいで、せっかくの土曜の、先輩のアパートでの美味しいシェアランチが、
ランチが、
……でも美味しい。

後増利係長。課長にその名のとおり、ゴマスリばっかりしてるエロクソ上司。
面倒な仕事は全部部下に丸投げして、その成果だけ横取りしてく、悪い上司の見本その2。
ちなみにその1はゴマスリの前任。今年の4月に成敗されたオツボネ係長だ。
ゴマスリは、私と先輩が、頑固なお客さん相手にコツコツ信頼関係結んで、何度も足運んで修正して、そうやって契約間近まで持ち込んだ仕事を、
最後の最後、あとは契約書にサインするだけって段階になって、「本来は自分の仕事だから」って。
うん(言葉にならない憤り)

「茶が入った。飲むか」
どちゃくそ頑張ったのに、その頑張ったのが、全部全然頑張ってないゴマスリの物になった。
それが金曜日。3連休前日の夜。
「おちゃ……」
私はもう、二次創作の感動と、悲しみと、色々かきむしりたくなる仕事の怒りとで、情緒がぐっちゃぐっちゃのまま土曜日に突入して、
朝ごはんも、昼ごはんも作る気無くて、そのぐっちゃぐっちゃを先輩に心配されて、チャットアプリのメッセでランチに誘われた。
『飯を作り過ぎたから食いにこないか』って。

「ごめん。機嫌悪いから、貰っても飲めない」
「そう言うな。ミント入りの、台湾烏龍だ。スッキリするぞ」
「無理ったら、無理。気持ちだけ」
「連休明けに赤っ恥確定のゴマスリをツマミに飲む茶は美味いと思わないか?」
「へ?」

「先方のご意向だ。大分お怒りになられてる」
火曜まで内緒だぞ。軽く人差し指を唇に当てて、スマホのチャット画面を見せながら、先輩が言った。
「金曜日、後増利係長に、仕事の成果を取られただろう。つまりあの件の担当者が、私とお前から、後増利係長に移るわけだ。
よって『担当が変わる』と、金曜の夜すぐ、あの客に連絡を入れたら、『お前らだから話を進めたんだ』、『担当を戻せ』とお叱りを受けてな」
ほら、コレだ。
先輩が見せてくれたチャット画面には、担当が私と先輩から、ゴマスリ係長になるって事実に対して、荒れに荒れまくってるお客さんのメッセが怒涛の勢いでブチ込まれてた。
わお(言葉にならない浄化)

「火曜日、朝イチで、電話によるご連絡を先方から」
氷の入った薄琥珀色、それで満たされたカップを、先輩が私に差し出した。
「スッキリするぞ。きっと」
しっとり汗かいたカップを受け取って、例のお客さんから来たメッセを見ながら飲んだお茶は、
確かにミントが鼻に抜けて、すごく、すっごく、スッキリした。

9/15/2023, 4:47:10 AM

「8月12だか13日以来の、絶対エモネタ書かせるマンなお題が来た……」
日常ネタ風の連載形式で投稿を続けてきた某所在住物書きは、配信された題目に天井を見上げ、長く深いため息を吐いた。
命を火、炎、灯とするようである。それを燃やし尽くすらしい。
例として「今の社会は一部、あるいは大半で、雇い主が、労働者の命を使い捨てろうそくの如く使い潰してるんだぜ」と、世の不条理を嘆くことは可能だが、
それはそれで、筆が乗らぬ気分であった。

「じゃあ何書くって?」
物書きは再度、今度は羞恥とともに息を吐く。
「先月の『君の奏でる音楽』同様、バチクソ不得意なエモとファンタジーに極振りすんのよ」
前回それをした8月13日投稿分は、未だに自分で読み返すことができていない。

――――――

薄暗闇の室内。外に向けられた窓は無く、中央にひとり、黒い制服の男が倒れ伏しており、
は、 は、 と弱々しく、浅い呼吸を繰り返している。
力無い手の、指の2〜30センチ程度先には、闇によって色の判別がつかぬ手提げランタンがひとつ。
ゆらり、ゆらり。ゆらり、ゆらり。小さい灯火を内包し、周囲を僅かだけ、照らしている。

「世界線管理局収蔵、癒やしのランタン:レプリカ」
その光源少ない室内に、嬉々とした嗜虐で男声を投げる者がある。
「便利な拷問器具だよな。ぇえ?半径1メートル以内の生物から、命を吸い上げて、それを燃料に火を燃やすってのは?」

放置しとけば、それこそ命が「燃え尽きる」まで、周囲を照らし続ける。
毒も薬も残らねぇから、完全犯罪が可能ってワケだ。
嗜虐の声の主は唇の片端を吊り上げ、倒れ伏す男を少し離れた距離から見下ろす。
「これはそんな道具じゃない」
息絶えだえの男が反論した。
今室内を照らしているランタンは本来、ストレスや病によって生じた「魂の傷」、命の表層の炎症や膿だけ吸い上げるための、名前通り、癒やしの器具。
表層どころか深層まで燃やし尽くす使用法は想定外であった。

「コレが最後だ、ツバメ。いい加減質問に答えろ」
カキリ。小首を鳴らし、しゃがみ込んで問う嗜虐を、
「ツバメ」と呼ばれた男が、精一杯、睨みつける。
「テメェの上司、ルリビタキ部長は今どこにいる。どこで何をしている?」

「……ご本人に聞け」
部長なら今、管理局を裏切ったお前と、お前を引っこ抜いた犯罪組織を叩くために、ココに向かっている最中だよ。
遠のく意識を必死に繋ぎ止めながら、ツバメは不敵に笑った。

…………………………

「――なるほどね。たしかにこれは、難しい……」
都内某所、某アパート。
かつての物書き乙女、元夢物語案内人であった社会人が、某ポイポイ創作物投稿サービスに投稿された物語を、スマホで楽しんでいる。

乙女が読むのは「書きかけ」のタグが付けられ、キャプションで「兎→燕→瑠璃鶲は確実だけど、兎×燕なのか瑠璃×燕なのかと聞かれると難しい書き散らし」と弁明されている二次創作。
投稿作を先に読んだ別の同志からは、某呟きックスアプリにて、「曲解して兎×瑠璃の可能性が微粒子」と感想を投稿されていた。
上記にて最初に倒れていたのが燕(ツバメ)、
後から出てきたのが兎(ウサギ)、
最後名前だけの登場が瑠璃鶲(ルリビタキ)である。

「『書きかけ』のタグってことは、ちゃんと続きも出るのかな」
すなわち過去作8月13日投稿分の、まさかまさかの第2弾だが、詳細は割愛する。
「コレ、まさかツー様の命が燃え尽きちゃって、ツルの死ネタになっちゃったりしないよね?」
要するにこの乙女の心の滋養であり、妙薬である。

「……続き、はよ、はよ……」
ぽん、ぽん、ぽん。
投稿者に感想のスタンプを連打し、ため息を吐く物書き乙女。
完結編への渇望と、結末予測の衝動をそのままに、書きかけ作品の2周目を、じっくりと始めた。

9/14/2023, 12:48:07 AM

「3月7日が『月夜』、5月17日付近が『真夜中』、それから8月16日か17日あたりが『夜の海』で、今回のお題は『夜明け前』か」
「星空」とか「流れ星に願いを」とか、星系のお題も含めれば、夜系これで何度目だろうな。
某所在住物書きは今回配信分の題目に目を通し、今まで通過してきた夜を、ネタが浮かばず寝過ごした夜明けを、別に思い返したでもなく、ただ息を吐いた。

「月夜」は夜に餅をつく話を、「真夜中」は深夜に悩み相談をするシチュエーションを、「夜の海」は明かり無き地方の海を書き、「星空」と「流れ星」は花弁を星に見立てて夜を回避した。他に何が書けようか。
「ホント、頭の柔軟さ、大事……」
だって俺もう年だもん。物書きは言い訳を呟き、再度ため息を吐く。

――――――

眠れなくて眠れなくて気がついたら夜明け前、
夜明け前なんて酷い時間帯にダイレクトメッセージ、
例として、沖縄と東京と北海道では夜明けと日没の時刻が分単位で違う。
どれもなかなか物語に落とし込めず、結果放っぽり出して寝た物書きの、
以下は、いわば毎度恒例の苦し紛れです。

都内某所にある某稲荷神社は、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、ウカノミタマのオオカミに仕える、不思議な不思議な古神社。
敷地内の森に、いつか昔の東京を残し、花と水とキノコと山菜を抱き、酷暑の夏にも木陰で涼しい、ご利益豊かな神社です。

その稲荷神社在住の、末っ子子狐。
くっくぅーくぅー、くっくぅーくぅーと、鼻歌軽やかに夜明け前の縄張り巡回、もとい神社敷地内のお散歩中です。
コンコン子狐はお花とお星様が大好き。最近はリンドウ科の、白い星の形の花、アケボノソウのツボミにご執心です。

「まだ咲かない。まだ咲かない」
「夜明け」、「今日も元気で」、「静寂」等々の花言葉を持つアケボノソウ。
罰ゲームの苦いお茶で名高い、あのセンブリのお仲間さんです。
花の先っぽの黒い点々が、至近距離で見る人をほんの少しだけ選びますが、遠くから見る分には、ちっとも気になりません。
「来週かなぁ。明日かなぁ」

白い星咲く予定のツボミは、まだちょっと、開花の準備が済んでいない様子。
どうやら、ぎりぎり夜明け数分前のようです。
「あっためたら、早く咲くかな」
そのぎりぎり数分前が、どうにもこうにも、コンコン子狐はもどかしい様子。
しまいには温かいフサフサ尻尾で、株のひとつをぐるり囲んで、お昼寝ならぬ夜明け寝を、

「……困った時の、神頼み、か」
しようと思ったら、こんな時間の稲荷神社に、ひとり参拝者がやって来て、
ぐるりアケボノソウを尻尾で囲む子狐に気付かず、通り過ぎて、お賽銭箱に小銭をジャリン。
「普段信仰していない私に、授かるご利益など無いだろうけれど、」
ぱん、ぱん。
清い、力強いかしわ手の二拍が、薄闇の森にこだまします。
「どうか。……どうか」

あの「ジャリン」は500円玉だ。しかも2枚だ。
子狐は自慢のかわいいふたつの耳で、即座に、正確に判別しました。
一番おっきいキラキラです。最近金銀2色になったキラキラです。
子狐のまんまるおめめが、明けの明星か、満月のように輝きました。

「私が、私の大事な親友と後輩を守るために為す精一杯を、どうか見守ってください。
私の親友と後輩を、悪いものから遠ざけるためのチカラと勇気を、どうか、私に授けてください。
かしこみ、かしこみ、申し上げます」

この参拝者が、具体的にどういう境遇で、何を為そうとしているのか、子狐の耳にはしっかり、声無き決意の祈りとして、届いていました。
そんなことより参拝者です。腹を撫で、おやつをくれる参拝者です。逃がしてはなりません。
「エキノコックス・狂犬病対策済み」の木札を首からしっかりぶら下げ、顔見知った参拝者の意味深な涙ひとつも知らんぷり。
コンコン子狐は一直線、夜明け前の参拝者に、全速力で突撃してゆきました……

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