たろ

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4/8/2024, 11:15:45 PM


【これからも、ずっと】

今までと、これからと。
どちらも、ずっと。
だから、これからも、ずっと。

「一緒がいい。離れないし、離れたくない。本当は、全部まとめて、ひとつになれたら良い。」
ふたりの変わらない願いが、これからもずっとふたりの間にあります様に。

4/7/2024, 2:15:08 PM


【沈む夕日】

「海が見たい。…海に沈む夕日が見たい。」
焦点の合わない虚ろな黒い瞳が、ぼんやりと壁を凝視したままで、口元からはポツリと独白の様な呟きが零れ落ちた。
「うん。ちょっと行ってくる。かっちゃんは、どうする?」
ふたつ返事で、同行すると決めた。

お出かけ日和の昼下がりに、軽食と軽い着替えを乗せた車を出して、ふたりで海を目指した。

休憩の為に立ち寄ったサービスエリア。
「見たいと思ってた?ただ、出掛けたかった?」
急な思い付きもままあるが、あまり突拍子もない事をするタイプでは無いと思っていたので、確認したかった。
「ん?急に思い付いただけだよ。見たいなぁって思ったら、居ても立っても居られなくてさ。天気も良いし、すぐ行こう!って。」
体良く誤魔化したつもりなのだろう。
「…こないだのドラマ、綺麗な夕日が海に沈んでったもんな。」
ゴホッと咽るあなたを尻目に、くすりと笑う。

「うわぁ、キレイ…。」
海に沈む夕日を見届けて、美しい夕暮れを堪能した。

4/6/2024, 10:34:36 AM


【君の目を見つめると】

いつでも、どんな時でも、ずっとあなたの事を見ていられる。
色素の薄い、綺麗な瞳が大好きで、いつだって見ていたくて、じっと見詰めてしまう。
(あぁ、綺麗だなぁ。)
きらきらと陽だまりを反射して輝く、瞳とお揃いの色素の薄い髪の毛。
「…何か、付いてる?」
あなたは、不意に視線を逸らす。
さらさらの髪の毛が揺れて、赤く染まった耳が見え隠れするのを、結局目で追っている。
「何も付いてないよ。キレイだなぁって、見惚れてた。」
そっと近付いて、あなたの目を見たくて、赤くなった頬に手を添えて、顔を上げてもらう。
「…恥ずかしい。」
やっと目が合ったのが嬉しくて、その瞬間に泳ぐ視線が愛おしくて、赤く染まった頬に唇で触れた。

4/5/2024, 10:43:55 PM

※閲覧注意※
ちょっと大人な時間を演出したかったので、
センシティブなシーンを匂わせています。
何でも許せる人向け。

【星空の下で】

一番、星空に近いと言われている場所。
満天の星が瞬くその場所で、静かに夜に包まれていた。
「わぁ、たくさん…。キレイだねぇ。」
星の光が静けさに揺らぐ様で、うっとりと見上げる横顔越しに、満天の星空を見上げる。
「普段見えない子まで、よく見えるなぁ。」
嬉しそうに話す優しい声が、愛おしそうに艶を帯びている。
「あれ、見える?あれはね、―――座。」
あなたが語る神話のエピソードは、穏やかに緩やかに、激情と苛烈な諍いを含む、壮大な愛を物語る。

「…聴いてないでしょ?」
ひとつ口吻けを落として、あなたの体に跨った。
「星、見てて。普段見えない子まで、見えるんでしょ?ちゃんと、見てあげないと。」
観察の邪魔にならないように、視界を遮らないように気を付ける。
「―っ、そういうとこだぞ?かっちゃん!」
知り合いから借りたキャンピングカーで、遠路はるばる乗り付けていても、大好きなあなたと一緒の夜にさしたる変化はない。
「…ごめん。頭、冷やしてくる。」
むしろ、美しく広がる満天の星空に、あなたが楽しげに語る神話に、あなたを盗られてしまう様な気がした。
「かっちゃん、待って!ごめん、大丈夫だから、離れないで?もう少し待ってくれる?」
すぐに切り上げると言って、セットしていたカメラを操作して、あなたが戻って来る。
「お待たせしました。夜はこれから。だからね、かっちゃん。目一杯楽しも♪」
透明な特殊ルーフ越しに、神々の愛が詰まった満天の星空。時折、流れて消える光を追い掛けながら、夜は更けていった。

4/4/2024, 11:16:34 PM

※閲覧注意※
IF歴史?軽率なクロスオーバー?
タイムトラベラーなモブちゃんが、普通に居るよ。

《それでいい》

(挨拶をして返事が無かったら、妖かし。)
それでいいのだと言ってくれた人が、部屋を出て行ってからしばらくして戻ってきた。
「…暁、変わりは無いか。」
留守番の間は手習いを、と用意された綺麗な和紙を、筆を置いた手に取って部屋に入ってきた人に掲げて見せる。
「下に置け。裏書きが透けて、読めぬ。」
書き損じや裏紙で充分なのに、綺麗な真っ白な紙が用意されるので、両面にびっしり書くことにしていた。
「良く書いたな。…これは、来客か。」
文机に置き直した紙を眺める人が、紙の上に指を走らせる。
(書いて頂きました。また来てくださるそうです。)
部屋に入るなり着崩した着物の端を捕まえて、その人を見上げた。
「そう、か。書いて貰ったか。」
頷き、喉を鳴らして嗤う姿が様になっていて、少しホッとする。

真似るのが上手な親族が居て、まるで悪戯好きな妖かしなのだ、と言われた時は驚いた。
「話しかけよ。応えがなければ、妖かし。そう思えば、良い。」
本当にそっくりな見た目の人が2人並んだ時は、急に手合わせが始まって、更に驚いた。

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