たろ

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※閲覧注意※
ちょっと大人な時間を演出したかったので、
センシティブなシーンを匂わせています。
何でも許せる人向け。

【星空の下で】

一番、星空に近いと言われている場所。
満天の星が瞬くその場所で、静かに夜に包まれていた。
「わぁ、たくさん…。キレイだねぇ。」
星の光が静けさに揺らぐ様で、うっとりと見上げる横顔越しに、満天の星空を見上げる。
「普段見えない子まで、よく見えるなぁ。」
嬉しそうに話す優しい声が、愛おしそうに艶を帯びている。
「あれ、見える?あれはね、―――座。」
あなたが語る神話のエピソードは、穏やかに緩やかに、激情と苛烈な諍いを含む、壮大な愛を物語る。

「…聴いてないでしょ?」
ひとつ口吻けを落として、あなたの体に跨った。
「星、見てて。普段見えない子まで、見えるんでしょ?ちゃんと、見てあげないと。」
観察の邪魔にならないように、視界を遮らないように気を付ける。
「―っ、そういうとこだぞ?かっちゃん!」
知り合いから借りたキャンピングカーで、遠路はるばる乗り付けていても、大好きなあなたと一緒の夜にさしたる変化はない。
「…ごめん。頭、冷やしてくる。」
むしろ、美しく広がる満天の星空に、あなたが楽しげに語る神話に、あなたを盗られてしまう様な気がした。
「かっちゃん、待って!ごめん、大丈夫だから、離れないで?もう少し待ってくれる?」
すぐに切り上げると言って、セットしていたカメラを操作して、あなたが戻って来る。
「お待たせしました。夜はこれから。だからね、かっちゃん。目一杯楽しも♪」
透明な特殊ルーフ越しに、神々の愛が詰まった満天の星空。時折、流れて消える光を追い掛けながら、夜は更けていった。

4/5/2024, 10:43:55 PM