たろ

Open App

※閲覧注意※
IF歴史?軽率なクロスオーバー?
タイムトラベラーなモブちゃんが、普通に居るよ。

《それでいい》

(挨拶をして返事が無かったら、妖かし。)
それでいいのだと言ってくれた人が、部屋を出て行ってからしばらくして戻ってきた。
「…暁、変わりは無いか。」
留守番の間は手習いを、と用意された綺麗な和紙を、筆を置いた手に取って部屋に入ってきた人に掲げて見せる。
「下に置け。裏書きが透けて、読めぬ。」
書き損じや裏紙で充分なのに、綺麗な真っ白な紙が用意されるので、両面にびっしり書くことにしていた。
「良く書いたな。…これは、来客か。」
文机に置き直した紙を眺める人が、紙の上に指を走らせる。
(書いて頂きました。また来てくださるそうです。)
部屋に入るなり着崩した着物の端を捕まえて、その人を見上げた。
「そう、か。書いて貰ったか。」
頷き、喉を鳴らして嗤う姿が様になっていて、少しホッとする。

真似るのが上手な親族が居て、まるで悪戯好きな妖かしなのだ、と言われた時は驚いた。
「話しかけよ。応えがなければ、妖かし。そう思えば、良い。」
本当にそっくりな見た目の人が2人並んだ時は、急に手合わせが始まって、更に驚いた。

4/4/2024, 11:16:34 PM