たろ

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2/25/2024, 12:38:10 PM


【物憂げな空】

空を見上げて、ため息をひとつ。
「降りそうだなぁ。」
洗濯物は、また部屋干しか。
仕方ない事とは言え、少しだけ青空が恋しくもなる。
「ゆっくり、休むかぁ。」
家の中で出来る事だってあるのだ。
『毎日、良い天気が続いたら、何も育たないよ。たまには、雨も降らないと。』
大好きなあなたが言う事に、嘘はない。
嘘だったとしても、自分は信じている。
「…か、ずま。さむ、い。」
体温が高めの自分に抱きつくように伸びてくる腕が、思うよりも冷たくて焦る。
「冷たっ!何で!?」
少し離れただけで、こんなに?と思う程の冷たさに、急いであなたを布団に納める。
「トイレ行ってきたの?」
布団の中で抱き締めて、背中を擦る。
「急に、布団、剥ぐから。」
奥歯がカタカタと鳴っている様な音がして、枕元に常備してある体温計を引っ掴む。
「奥歯ガタついてんね。風邪引いたかな?」
天気が悪い日は、体調を崩しやすいあなた。
「…うん、ちょっと低いね。暖かくして過ごそう。」
いつもより低い体温を示す体温計。
「お腹は、空いてる?」
エアコンを点けて、部屋を暖める。
「温かい、雑炊でも作るかな!」
2枚程、多めに毛布と布団をかけて、昨夜入れた湯たんぽを、あなたの腕の中に抱き締めさせる。
「美味しいの作るから、待っててね?」
久し振りに、あなたの全てをお世話出来ると、不謹慎にも思ってしまう。
「今日は、ふたりで、のんびりしようね。」
鼻歌混じりで、朝食を用意する。

2/24/2024, 10:01:05 AM

※閲覧注意※
命に貴賤なし。
大きいも小さいもねぇのですよ。
とまぁ、個人的な感想しか出て来ませんでした。
独断と偏見により、お題から逸れます。
完全なる、逸脱行為です。
それでも良ければ、どうぞ。


【小さな命】

冷蔵庫の扉を開けて、衝撃を受けた。
「わぁ、空っぽ!買い出し行かなきゃだ。…何も考えたくないよぉ。」
頭の中が真っ白で、何も出て来ない。
「ねぇ、かっちゃん!何も思い付かない!何食べたい?」
ガタタッ、と物音がして、驚いた顔のあなたが台所に駆け込んで来た。
「…熱、計って。」
体温計を脇に突っ込まれて、空っぽの冷蔵庫の扉を閉めた腕に抱き締められる。
「え、ちょっと、体温上がっちゃう。」
ピピピと電子音が鳴って、体温計を乱雑に回収される。
「…熱は、なさそう。」
表示された数字は、見慣れたいつもの体温。
「どっか、食べに行こう。…帰りに、買い出しして、今日は何も作らない。」
こんな風に、たまに頭が真っ白になると、あなたは気を使って、外へ連れ出してくれる。
「今日と明日は、俺がやるから。甘え過ぎた、ごめん。」
ぎゅうぎゅうと抱き締められて、少し嬉しくなる。
「わぁい、甘えん坊さんだ!嬉しい!」
えへへ、と笑って、少し苦しくなってくる頃、ゆらゆらと揺れてトントンと背中を叩く。
「…っ、ごめん。」
ぱっと離れる体が、気遣わしげにこちらを覗っている様だった。
「取り敢えず、車で行こう。」
ドライブだ!デートだ!と、はしゃいでいると、あなたは顔を紅くして照れてしまう。


今生の人生とやらを、満喫してやるのだと、この命を燃やしている。

2/23/2024, 10:44:15 AM


【Love you】

どんな時も、いつだって、あなたは真っ直ぐに、想いを伝えてくれていた。
いつからか、シンプルな言葉を繰り返して、こちらを酷く赤面させてくるようになった。
恥ずかしくて顔が赤くなるのを、からかっているのかもしれないと、思い込もうとする自分を遮る様に繰り返される言葉たち。
とにかくたくさんの言葉をくれるあなたに、少しでも言葉を返したくて。
「愛してる。」
ようやく口から出てきた言葉は、酷く掠れて蚊の啼くような小さいものだった。
「!?…えっ!嬉しい、まって!幻聴じゃないよね?」
面と向かって言えずに、後ろから掛けた自分の声を拾ったあなたが、勢い良く振り返る。
「―――っ!」
目が合いそうになって、慌てて視線を外す。
「…かっちゃん、もう一回、聴きたい。」
そっと抱きついてくるあなたの腕が、遠慮がちなのに気が付いてしまって、いよいよ恥ずかしさが込み上げてくる。
「夢じゃないって、幻聴じゃないって、言って欲しい。ムリ言って、ごめんね。」
あなたの半分よりもずっと少ない回数しか言えていない言葉を、どうにかして伝えなくてはと思うのに、喉が塞がったように動かなくて、溺れてしまいそうだ。
「…嘘じゃない。本当に、言った。」
その言葉だけが、出て来ないのだ。
「うん、聴いてた。聴いていたんだけど、もう一回聴きたいの。お願い、かっちゃん。愛してる。大好き。」
雨のように落ちてくる言葉たちが、身体に沁み込んでくるような気がした。
「…愛してる。和真の事、愛してる。」
ようやく言葉が音になって、口から滑り落ちて来た。やっと出てきた言葉を、きちんと伝えなくては、とあなたに向き合う様に体を動かす。
「オレも、かっちゃんの事が大好き!愛してるよ!」
ぎゅうぎゅうと力強く抱き寄せるあなたの腕が、喜びの強さを伝えてくれる。
「かず、ま?大好き。」
いつまでも離れようとしないあなたの腕に、そっと口付けをした。

あなたの愛に、包まれている。
そう、想った。

2/22/2024, 10:04:38 AM

【太陽のような】

「かっちゃんは、オレの太陽だよ!」
あなたは、そう言って笑う。
「カズくんの笑顔は、太陽みたいだと思うけど?」
太陽のようなあなたをずっと見つめている自分自身が、太陽を追い駆けている向日葵と重なる。
「かっちゃんにそう言われると、嬉しいけど…。何か、違うなぁ。」
難しい顔をして唸ってしまうあなたが、ぽんっと手を打った。
「オレがヒマワリの方だと思うなぁ。だって、抜けそうに真っ青な空を横切っていく、キラキラして恰好良い太陽みたいなかっちゃん!画になるじゃん!」
断言して、鼻息を荒くしているあなたに苦笑いする。
「ありがとう。…照れる。」
少しだけ、小出しにして欲しいと思った。

2/21/2024, 10:16:17 AM

【0からの】

きっと始まりなんて、なかったと思う。
産声を上げたその日から、もう始まっていたのだから。
運命や必然では表せない何かが、二人を繋いだのだ。
きっと二人は、出会うべくして出逢ったのだろう。

物理的な距離は、限りなくゼロに近く。
精神的な距離も、限りなくゼロにしたい。
そんな風に思いながら、ゼロからの関係を築き上げてきたのだ。


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