たろ

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【Love you】

どんな時も、いつだって、あなたは真っ直ぐに、想いを伝えてくれていた。
いつからか、シンプルな言葉を繰り返して、こちらを酷く赤面させてくるようになった。
恥ずかしくて顔が赤くなるのを、からかっているのかもしれないと、思い込もうとする自分を遮る様に繰り返される言葉たち。
とにかくたくさんの言葉をくれるあなたに、少しでも言葉を返したくて。
「愛してる。」
ようやく口から出てきた言葉は、酷く掠れて蚊の啼くような小さいものだった。
「!?…えっ!嬉しい、まって!幻聴じゃないよね?」
面と向かって言えずに、後ろから掛けた自分の声を拾ったあなたが、勢い良く振り返る。
「―――っ!」
目が合いそうになって、慌てて視線を外す。
「…かっちゃん、もう一回、聴きたい。」
そっと抱きついてくるあなたの腕が、遠慮がちなのに気が付いてしまって、いよいよ恥ずかしさが込み上げてくる。
「夢じゃないって、幻聴じゃないって、言って欲しい。ムリ言って、ごめんね。」
あなたの半分よりもずっと少ない回数しか言えていない言葉を、どうにかして伝えなくてはと思うのに、喉が塞がったように動かなくて、溺れてしまいそうだ。
「…嘘じゃない。本当に、言った。」
その言葉だけが、出て来ないのだ。
「うん、聴いてた。聴いていたんだけど、もう一回聴きたいの。お願い、かっちゃん。愛してる。大好き。」
雨のように落ちてくる言葉たちが、身体に沁み込んでくるような気がした。
「…愛してる。和真の事、愛してる。」
ようやく言葉が音になって、口から滑り落ちて来た。やっと出てきた言葉を、きちんと伝えなくては、とあなたに向き合う様に体を動かす。
「オレも、かっちゃんの事が大好き!愛してるよ!」
ぎゅうぎゅうと力強く抱き寄せるあなたの腕が、喜びの強さを伝えてくれる。
「かず、ま?大好き。」
いつまでも離れようとしないあなたの腕に、そっと口付けをした。

あなたの愛に、包まれている。
そう、想った。

2/23/2024, 10:44:15 AM